FM-7/FM-NEW7 買って決して損しないは誉めすぎ

FM-8の後継機種は、FM-7とFM-11ですが、バブルカセットやアナログ入力ポートは削除、RS-232Cはオプションにして価格を引き下げ、代わりにSSG3重音源を搭載したFM-7は128,000円と安く、PC-8801に迫るベストセラー機になります。

後継機種はFM-NEW7ですが、機能面は変わりなく、カスタムLSI化によってコストダウンを図っており、99,800円にまで下げています。

イメージキャラクタにはタレントのタモリを起用しています。

FM-7/FM-NEW7のスペック

  1. CPU:MBL68B09(8/4.9MHz)
  2. サブCPU(グラフィックス用):MBL68B09(8/4.9MHz)
  3. ROM:F-BASICver.V3.00/3.01(ROM-BASIC32KB)
  4. メインRAM:64KB(増設不可)
  5. ビデオRAM:48KB
  6. テキストRAM:なし
  7. テキスト画面なし(グラフィック画面に表示)
  8. グラフィック画面:640*200ドット1画面/8色表示/カラーパレット機能/640×200 モノクロ 3画面/テキスト文字は80×20/25、40×20/25表示
  9. 漢字表示:JIS第一水準漢字ROM(拡張スロットに実装可)※グラフィックス画面に40字×12行表示できる。
  10. サウンド:SSG音源3重和音
  11. 拡張スロット:2スロット(不足の場合はI/O拡張ユニットで増設可)
  12. Z80スロット:1スロット(FM-8用のものとの互換性はない)
  13. 主な添付品:ユーザーズマニュアル/システム解説書/ユーザーズマニュアル システム仕様書/F-BASIC 文法書/F-BASIC ポケットブック/New VIP(簡易言語ソフトカセット。FM-7のみ)/NEW VIP操作マニュアル(FM7のみ)

FM-8では不必要な機能が省略されていますが、FM-7ではCPUクロックの向上やカラーパレット機能の追加、PSG3重和音の追加など、ゲームユーザーにも歓迎される機能が追加され、後継機種のFM-NEW7も含めベストセラーになっています。

デザインは8ビット機としてはちゃちな印象で、カラーリングもそれに輪をかけてしまっていました。外見ではなく中身で勝負、の根性ものという印象で、キーボードの配列は上級機並です。

グラフィックスは640*200ドット8色表示で当時の8ビット機では標準的出来映え、しかもグラフィックス用に別途CPUをおいたことで、高速描写が可能となっています。但し、BASICの命令語が少なく、この機能を生かし切れていないという向きもありました。ハードウェアの技術情報や内部情報はショールームなどから比較的簡単に入手できたので、ハードウェアを生かしたソフトを自分で開発しようという人に人気がありました。

また、テキスト画面がなく、テキスト文字もグラフィック画面に描くため、グラフィックスの上にテキスト文字を描くとその部分のグラフィックスが消えてしまいます。

Z80カードはFM-8との互換性はありません。勘違いされるのは、Z80カードを入れれば、他社のパソコンソフトを動かせると思うことで、これは、CP/MというOSを動かすためのもので、他社のパソコンソフトを動かすためのものではありません。また、CP/Mを使うには、Z80カードの他、FDDも必要になります。

OSとしては、CP/M、FLEX、OS-9、DISK-BASICが用意されています。ソフトも自社、他社共に多数ありました。ハードウェアのオプションが非常に多く、ジョイスティックポート2個付きのFM音源カード(ジョイスティック1個付属)、RS-232Cカードなどがありました。また、富士通が発売していたFM-X(MSX1)と接続するカードも用意されました。FDDは5インチのみでしたが、FM-NEW7の頃あたりから3.5インチのものも用意されました。但し、ハードウェアオプションは富士通に限ったことではありませんが、どれも高価です(誰が言ったか知らないがオプションは夢が膨らむ分お財布かしぼむという的を射た発言)。逆に言えば、ベーシックなハードを提供し、後は決して安くないオプションを買い揃える仕掛けになっています。下手をするともう1台パソコンが買える金額になります。

FM-7:1982年11月8日 128,000円

FM-NEW7は機能/デザイン共全く同じですが、ROM-BASICはF-BASIC V3.01/3.02になったことと、添付品から簡易言語プログラムが廃止されています。上位にFM-77が登場したので、FM-NEW7は初心者向けのオールラウンドな8ビット機の入門機という位置づけになりますが、これは万能、という意味ではありません。

FM-NEW7:1984年5月10日 99,800円

最初の頃、FM-7とFM-NEW7はマルチCPUを前面に出して広告していましたが、次第にこれはやめるようになりました。マルチCPU、といってもグラフィックス用に別途CPUをおいただけですし、このように設計すれば高いLSIを使う必要はない(Z80を例にすると当時秋葉原では1個300円程度で買える等CPUの方が値段が安い)、設計が楽といった面があります。複数個CPUを置くといっても、どのPCでもキーボードや各種インタフェースには別途CPUをおいています。

1982年当初は目新しい設計で他社PCにも影響を与えましたが、1985年になるとグラフィックスでは同時発色数の増加、サウンドはFM音源というのが常識となりつつあり、性能面で見劣りするようになります。こういったことも、マルチCPUを前面に出すのをやめた理由でしょうか。

1985年になると、富士通はFM-77シリーズの方に力を入れるようになり、特にホビー性を強化したFM-77L2では3.5インチFDD内蔵済み、JIS第一水準漢字ROM標準搭載、FM音源内蔵、ジョイスティック1個付属と、FM-NEW7にオプションで買い足すよりもずっと安く揃えられるようになり、本体価格の安さだけでFM-NEW7を買うと損することになります。この頃になるとFM-NEW7はモデルチェンジ自体行われなくなりました。

FM-NEW7は、FM77AVが1985年11月に発売される前には生産終了/在庫販売となっています。ソフトや周辺機器は後継機種のFM77AVでも使えるものが多かったので、1990年頃までは店頭に並んでいたと思います。

あとがき
よいパソコン悪いパソコンの著者(大庭俊介)は1987年前期版でFM-7/NEW-7を「買って決して損しないと保証できる、マニュアルが充実している」とべた褒めしたが、いくらなんでも誉めすぎ、何か私情がこもっているようにも感じられた。1986年にはすでに市場在庫さえもなかったのにこの記述は絶対におかしいと思うのは筆者だけだろうか。
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