MB/S1は、8ビットベーシックマスターシリーズの最後の機種として、MSXパソコンMB-H1が発売された1983年の翌年、1984年に発売され、「よいパソコン悪いパソコン(大庭俊介)」では、国産ベストパソコンだと絶賛されたことがあります。1984~1987年度版です。
CPUには68B09Eを搭載し、CRTコントローラーにはそのファミリーであるCRTCを用いた他、12個の専用ゲートアレイ(カスタムLSI)を開発し、6809の処理能力を極限まで引き出したパソコンでした。。速さと先進性を誇示するかのごとく、ワイヤーフレームで描かれた疾走する馬がイメージシンボルに使われていました。多くの8ビット機で使われていたザイログのZ80Aのメモリ空間は64KBしか扱えず、それ以上はバンク切り替えという手法を使わなければならなかったのに対し、モトローラ社の6809は18ビットCPUのi8086よりも広い1MBまでメモリを扱うことができました。
レベル3から大幅な機能強化を図り、独自のメモリーコントローラーを搭載することにより最大1Mバイトのメモリ空間を実現しており、グラ フィックに関しても、当時の8ビットパソコンの中でも最高速の部類にはいるものであり、性能的に最強の8ビット機として挙げられたのでしょう。しかし、時代は既に16ビットパソコンへと移行しつつあり、かつ漢字表示能力においてライバルとなるべきPC-8800シリーズより劣っており、先鋭的であったとはいえ、市場を覆すまでには至りませんでした。日立が発売した横浜テレビ事業部からのホビーパソコンとしては最後のシリーズとなります。
ゲートアレイとその機能
YGM001 : システム制御を行う。S1モードとL3モードでクロック周波数を切り替えたり、RAMやI/Oなどのタイミング信号を作る。
YGM002 : アドレスデコード用。20本のアドレスバスをメモリーマップにしたがってコントロール。
YGM003 : YGM002に収まらなかったデコード回路とI/Oレジスタ機能とPSGの制御を行う。
YGD001 : グラフィックのメモリ制御とパラレル/シリアル変換を行う。
YGD002 : ビデオスーパーインポーズの機能(YGD001と003から出力されるパラ/シリ変換されたビデオ信号を取り入れてRGB信号として外部に出力する。
YGD003 : テキスト画面とIG(イメージジェネレーター)のパラレル/シリアル変換を行う。
YGD004 : グラフィック表示とS1で増えたI/O部分のデコードを行う他、IG(イメージジェネレーター)の制御を行う。
YGD005 : 画面表示用のデータやアドレス出力をCPUとのサイクルスチールで行うためのバッファリング。
YGD006 : YGD005と同様の機能。
YGD007 : グラフィックのスーパーインポーズなどのためにCRTCから出力されるアドレスを取り込んでアドレスパターンを出力する。
YGP001 : オプションのマウスに同梱されるLSIで、ソフトの負担を軽くするためカウンター回路が入っている。
YGP002 : カセットとRS-232CをACIAとともに制御する。OS-9 Level2が動作可能。
MB/S1 10のハードウェアスペック
最初に発売されたモデルです。
| CPU |
68B09E 2MHz(レベル3互換モードでは1MHz) 68008(オプション) Z80(オプション) |
| ROM |
LEVEL-3 BASIC:24KB S1 BASIC:64KB キャラクタジェネレータROM:6KB(キャラクタジェネレータ) 第一水準漢字ROM:160KB(オプション) |
| RAM |
メイン:48KB VRAM:48KB テキストRAM:4KB イメージジェネレータRAM:6KB |
| テキスト文字 |
8×8ドット 8×16ドット |
| グラフィック表示 |
640*200ドット単色 640*200ドット 320*200ドット ※15色中8色を選択 |
| I/F |
セントロニクス準拠プリンタ RS232C マウス(オプション) カセット |
| サウンド | PSG 3重和音8オクターブ |
| 拡張スロット |
インタフェース拡張コネクタ2組内蔵 ビデオスーパーインポーズカード拡張コネクタ内蔵 マウスインタフェース用ソケット1組内蔵 |
独自のマッピング機能が特徴であるカスタムICにより最大1Mバイトのアドレス空間を実現。
4KBを単位としてメモリのマッピングが可能。マッピングレジスタは16ページ分用意されており、例えば文字列の領域を12ページ目、グラフィッ クメモリを9ページ目などに自由に割り当てることができ、それらをシステムコールでメモリ空間を切り替えながらアクセスするといった処理をすることができた。メモリ空間の簡易保護も可能。
VRAMはグラフィックを利用しない場合はS1 BASICのフリーエリアとして利用可能。
オプションの68008カード、Z80カードを搭載することにより、OS-9/68000、CP/Mの動作が可能。
S1-BASICの特徴
S1-BASICは従来のL3-BASICに比べて大幅にアルゴリズムの見直しがされたBASICで、マイクロソフト社の純正BASICを日立により改良したものとなっている。
コマンド・ステートメントが新設され、かつ機能も拡張された。グラフィック関係、プリンター関係、音楽演奏関係、マウス関係など強化。
ユーザー領域が大幅に増えた。標準実装で36KBまたは84KB、RAM拡張時で100KBまたは132KBのメモリー領域が解放され、変数領域、文字列領域がそれぞれ44KBずつ確保できる。
ハードウェアの機能向上と相まってアルゴリズムの見直しにより処理速度が大幅に向上。
シリーズ
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MB-S1/10 1984年5月 |
基本モデル | 128,000円 |
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MB-S1/20 1984年5月 |
漢字ROM搭載 | 178,000円 |
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MB-S1/30 1984年12月 |
1MB FDD1基搭載 | 198,000円 |
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MB-S1/40 1984年12月 |
1MB FDD2基、漢字ROM搭載 | 298,000円 |
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MB-S1/10AV 1985年 |
スーパーインポーズ、6和音サウンド、ジョイスティックインターフェイス搭載 | 178,000円 |
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MB-S1/15 1985年 |
モデル20+通信ソフト内蔵 | 148,000円 |
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MB-S1/45 1985年 |
モデル40+通信ソフト内蔵 | 298,000円 |
他社OEMされた製品には、来夢来人(Limelight Interfield Systems)JB-806E1-2があり、1985年発売、320KB FDD1基/再生専用データレコーダ1基内蔵。明記されていないが、S1互換。
ベーシックマスター16000
16ビットベーシックマスターとして発売された。CPUには8088を搭載し、グラフィックアクセラレータを使用しない構成であったが、高速のグラフィックスを実現し、ビジネス用途向けに発売された。独特の筐体を持ち、その当時にしては珍しくIBM-PC互換機でもあった。
よいパソ悪パソでは基本部分を換えずにモデルチェンジしたことで互換性が保たれ、10モデルでも最新のソフト/ハードが使えたこともあるのか、またはころころモデルチェンジを繰り返したNECへの反発からか、その両方ということも考えられますが、国産ベストパソコンと絶賛された訳ですが、性能はよくてもソフトがいかんせん少なく、自分で何もかもソフトを作れる人でなければ使いこなせないPCでした。何時まで販売されていたのかは分かりません。


