NECがかつて発売していたPC-9801は、日本標準機として1980年代後半から1990年代前半の10年以上に渡りもっとも普及していたPCです。初代機は、1982年11月に発売されます。CPUにはインテルの8086を採用しましたが、これは内部処理/データバスとも16ビットであり、当時のIBM PC/XTが内部処理16ビット/データバス8ビットの8088を採用したのとは対照的です。
PC-8801の上位機という位置づけ
これを満たすため、ROMにはN-BASICとN88(86)-BASICを搭載していますが、CPUの違いから、機械語レベルでの互換性はありま せんが、BASICレベルでは上位互換性があります。勿論16ビット機ですから、BASICプログラムの動作はずっと速くなります。
このように下位のPC-8801とはうまい具合に上下関係が作れていたのですが、8ビット機全体のラインはお世辞にも良いとはいえなかったと思います。
拡張スロット
IBMのPC/XTでは、筐体をあけなければいけなかったのですが、PC-9801では本体バックに簡単に抜き差しができる16ビットのCバスが採用されました。ここへ挿し込むためのボードは各社から発売されましたが、仕様も例によって公開されていたので、自作ボードも取り付けられたし、また Oh!PCではPC工作入門と題した規格が連載されたのは覚えている人も多いことでしょう。
グラフィックスの高速化
PC-8801では、グラフィックスはメインCPUが行いましたが、PC-9801では自社開発のGDC(Graphic Display Controllerの略、μPD7220)をグラフィックス画面とテキスト画面に1個ずつ採用し(計2個)高速性を実現させると同時に、メインCPUの 負担を軽くさせています。
グラフィックスは、640×400ドット1画面、640×200ドット3画面で8色表示が採用されました。テキスト画面は80×25行/80×20行/40×25行/40×20行の4つのモードがあり、切り換えて使うようになっています(8色表示)。
PC-8801でもグラフィックスとテキストの画面合成ができましたが、常にテキスト画面が上位にくるのに対し、PC-9801ではテキスト画面を下位に順位付けすることができます。
漢字表示
オプションでJIS第一水準漢字ROMを搭載して漢字表示をさせることができます。PC-8801ではグラフィックス画面に漢字表示させますが、PC-9801ではグラフィックス/テキスト両方に漢字表示させることができます。
記録メディア
8インチ2DFDDを接続させるのが前提なので、カセットインタフェースは搭載されません(オプション)。
初代機のスペック
| CPU | μPD8086(8086コンパチブル)を5MHzで稼働 |
| ROM | N88(86)-BASICとモニタ96KB |
| RAM |
メインメモリ:128KB、最大640KBまで増設可能 ビデオRAM:96KB(増設不可) テキストRAM:12KB |
| テキスト表示 |
80×25行/80×20行/40×25行/40×20行 切り換えて使用 |
| グラフィックス表示 | 640×400ドット1画面8色表示、640×200ドット2画面8色表示 |
| 漢字ROM | JIS第一水準漢字ROMをオプションで取り付け可能 |
| サウンド | BEEP音のみ |
| インタフェース |
シリアル:RS232C プリンタ:セントロニクス社仕様 8インチ2DのFDD:オプション カセット(CMT):オプション(300ボー/1200ボー) |
| CRT出力 |
デジタルRGB モノクロディスプレイ(ライトペン接続可) |
| 拡張スロット | 16ビットのCバス(5個搭載) |
後継機種であるPC-9801E/F/M登場後、ビデオRAMが倍増化され、初代機では動かないソフトが大半を占めるようになります。
システム構成
簡易なシステムは本体+カセット(オプションのカセットインタフェースが必要)+家庭用テレビ(RFコンバータが必要)となりますが、まさかこのようなことをする人はいなかったでしょう。標準的なシステムでは、本体+専用CRT+8インチFDD+プリンタに漢字ROMを搭載、というのが標準的なシステムで、こうすると100万円近い金額になりました。それでも、当時そういったシステムを保有していた人がいたのも事実で、月刊マイコンなどに紹介される度うらやましく思ったのはいうまでもありませんが・・・。
| PC-9801 | FDDは外付けオプション | 298000円 |


