PC-9801/PC-9821のまとめ

1982年に発売されたPC-9801。当初はPC-8801の16ビット版という位置づけで発売。その後はMS-DOSマシンとして日本標準機としての地位も確立。これはEPSON互換機が存在したことが大いに貢献しています。

1993年に21世紀も通用するという意味合いを込めたPC-9821を発売されたものの、5年経たずでPC/AT互換機であるPC98-NXを発売。

PC-9821は2003年に受注終了、2010年にすべてのサポートが終了していますが、ここでその歴史を簡単にとりまとめておきます。

1982年:初代PC-9801(無印)発売。PC-8801の16ビット版という意味合いが込められており、CP/M86か、N88-BASIC(86)を基本的に使用する。なお、FDD接続が前提でありカセット(データレコーダ)I/Fはオプション。

1983年:PC-9801E/Fがラインナップされる。この頃から、MS-DOSが基本に使用されるようになった。また、このラインから、VRAMが2枚装備されるようになり、ソフトにはPC-9801(初代)/U2を除くという表示がされるようになる。

1984年:PC-9801Mをラインナップ。FM16β対策として急遽ラインしたともいわれ、初めて2HDFDDを標準搭載した。なおこの頃にはPC/ATとその互換機が事実上世界標準機としての地位を確立している。

1985年:PC-9801VF/VM。V30をCPUに採用。VMでは2DD/2HD両用FDDを採用。このシリーズでPC-9801の仕様が制定された形になり、 以降、CPUのクロック周波数を上げたり、メモリを増やしたり、オプションを標準装備するといったマイナーチェンジが多くなってくる。
PC-98XA。2DD/2HD両用FDDを採用したが、ハイレゾモードのみ搭載し、価格も高額なためあまり売れなかった模様。

1986年:PC-9801UVをラインナップ。3.5インチ2DD/2HD両用FDDを採用、FM音源を標準搭載し、拡張スロットが2個の他はVMと同じ仕様となり、ソフトにはVM/UV以降という表記が多くなった。PC-9801VXをラインナップ。i286を採用した他はVMと同じ。PC-98XL発売。ハイレゾ表示とノーマル表示を切り替え方式にした。PC-98LT発売。PC-9801との互換性がないためシリーズとしては短命に終わる。

1986年頃、PC-9801の希望小売価格遵守を販売店に求めたため問題になる。特に新製品のUV2が対象とされた。後に公正取引委員会から注意勧告されたらしい。

1987年:エプソンが98互換機を始めた。NECはBIOSに対する著作権侵害で民事提訴したが、和解勧告に応じる。以降、性能や価格もそれを意識したようなラインナップが出始める。実売価格も希望小売価格から30~40%引きというのも当たり前になってきつつあった。この頃から、市販ソフトの動作条件には「NEC PC-9801 VM/UV以降 EPSON PC-286シリーズ」という表示がされるようになる。
PC-98XL2でi386DXを採用したが、価格は100万円近いためごく一部の企業などで使用された程度だったらしい。

1988年:ノーマル表示機で初めてi386DXを採用したPC-9801RAを発売。PC-9801LV/CVをラインナップ。LVはPC-9801と互換性のあるラップトップ機、CVはCRT一体型だったが、後者はあまり人気はでなかったとも言われている。プラズマ液晶搭載のPC-9801LS発売。
※一太郎(ジャストシステム)を使うために、PC-9801を買う例が多くなったとも言われる。一太郎マシンと呼ぶ人までいたようで、ソフトはそのマシンの生命線を握っているという例。

1989年:PC-9801ES/EXを発売するが、数ヶ月後のRシリーズよりも価格が上回った。PC-9801RA/RS/RXをラインナップ。2年近く標準的な地位を維持。初めてのノートPCであるPC-9801Nを発売。PC-9801LX発売。カラー液晶のLX/Cも発売。
大企業ユーザー向けにNESAバス装備のPC-H98を発売開始したが、PC-9801RA/RS/RXの方が売れていたという。これは、すでにPC- 9801を利用していた社員の意見を参考にしているためであり、高価なPC-H98が選ばれることがなかったためだとされる。なおEPSONもNESAのライセンスを得ていたといわれるがNESAバスを搭載したマシンは出していない。
PC-88VAの失敗から、PC-98DOをPC-9801への橋渡しとして発売。

1990年:PC-8801が終了し、PC-9801への橋渡し役としてPC-98DO+を発売。PC-9801Tを発売するが、このラインナップは短命に終わる。日本IBMが漢字ROMを使わずに日本語を扱える「PC-DOS/V」を発表。当初はPS/2用だったが、パソコン通信などでPC/AT互換機でも動作することが続々報告され、1991年にはPC/AT互換機でも動作することを公式に認める。

1991年:PC-9801DA/DS/DXをラインナップ。内蔵FDDの違いだけで発売が数ヶ月ずれるということはなくなる。3.5インチFDDモデルには「/U」の型番がつく。PC-9801UR/UF発売。ノーマル表示だけ搭載したPC-H98sをラインナップ。
マルチメディア指向のPC-98GSラインナップ。のちにPC-9821に引き継がれる。
この頃から、ラップトップやトランスポータブルは発売されなくなり、全面的に98NOTEに移行した。

1992年:PC-9801FA/FS/FX発売。FAはi486SX16MHzで価格が高い割にはよく売れていたが、末期には実売価格が半額近くにまで下げられていた。PC-9801US発売。
PC-9821(98MULTI)発売。カラー液晶を採用したPC-9801NA/C発売。両機種ともOh!PCのベストイヤーに選ばれる。PC-H98の最終モデル発売。
※この頃から、日本でも低価格なPC/AT互換機がDOS/Vマシンの名前で、続々発売されてくる。

1993年:PC-9821A(98MATE/A-MATE)とPC-9801B(98Fellow)をラインナップ。Windows3.1を指向したのがPC-9821Aだったが、バスにはNESAバスのサブセットである98ローカルバスを採用した。
Windows3.1発売。
PC-9821C(98MULTiCanbe)発売。
PC-9821B(B-MATE)を発売。翌年にX-MATEに引き継がれる。

1994年:PC-9821Xをラインナップ。PCIバスを採用した。この頃から、PC/AT互換機との共通部分が多くなってくる。
PC-9821Aの最終モデルを発売。
OS/2について、IBMとの契約に変更。
WindowsNT3.5発売。

1995年:PC-9801BXの新モデルを発売し、PC-9801の歴史にはピリオドが打たれ、以降PC-9821に統一。この頃から、PC-9821乱造(?)戦略が始まった。
Windows95の発売に合わせて、PC-9821V(バリュースター。V-MATE)を発売。
ノートPCのラインナップに、Laviを加える。
※エプソンはPC-9801互換機を終了。以降PC/AT互換機に移行する。

1996年:PC-9821Ra(R-MATE)ラインナップ。ネーミングはPC-9801RAから由来したともいわれる。
WindowsNT4.0発売。

1997年:NEC版PC/AT互換機といえるPC98-NXを発売。MATEやバリュースター等のブランド名はそのまま引き継がれる。
同時に、PC-9821の新製品を発売するが、カタログコピーは従来資産の継承のみが謳われていた。Windows系OSのサポートはWindows98とWindows2000(当時はWindowsNT5.0)まで継続することを正式発表。

1998年:PC-9821Xの新機種を発売するも、以降PC98-NXに全面移行することとなり、21世紀に入るとPC-9821は受注生産のみという扱いになる。
Windows98発売。

2000年:Windows2000発売。これをもって、PC-9821に対応するWindows系OSの開発は終了。

2003年:最終ラインナップであるPC-9821Ra43/Nr300の受注を2003年9月30日をもって終了することが正式に発表される。

2006年:2006年7月11日をもってWindows98のサポート終了。

2010年:2010年7月13日をもってWindows2000のサポート終了。

2010年10月末をもってPC-9821すべてのサポート期間が終了。28年に歴史にピリオドが打たれる。

※現在PC-9801/PC-9821は中古機種は、プレミア価格のためなのか、かなり高い値段で取り引きされていること、また故障時の修理は部品取りで行うしかないため、取扱店で確認する必要がある。既にNECでは修理対応は行っていない。一部の蒐集家の間で保存を目的に所有している例も少なからずある。

あとがき
PC98-NXは当初「PC-9800シリーズでもなければPC/AT互換機でもない独自のシリーズ」と謳ったことから、従来資産の継承ができないのかというイメージを持たれ、販売は順当ではなかった。翌1998年にはPC/AT互換機をベースにしていることをカタログコピーに謳い、何とか誤解を解こうとしたが、同じ規格ならNECを選ぶ理由はないと判断されるようになり、結局他社にシェアを奪われる結果になった。21世紀に入るとNXのキーワードはブランド名から外され、PC/AT互換機の一つでありWindowsマシンの一つと認識されるに至っている。
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