高級路線の流れ? AXD/SXP赤道儀

2007年にはすでに次期赤道儀の開発が着手されていた模様で、トナかい会員のSXユーザー対象にアンケート収集していたことがあり、勿論その中には厳しい意見もあったとのこと。

その答えとして出したのが2010年のAXD赤道儀、2011年のSXP赤道儀で、特にAXDについては相当力を入れて広告出稿していたのは記憶に残っている。

共通しているのはパルスモーターで、AXDに使用しているモーターはSXPにも同じものが使われていること、コントローラーは新たにSTARBOOKTEN(SBT)が開発されたことである。

SBTではカラー液晶は画面ドットがSBの320*240に対し、倍の800*480となり、画面サイズも5インチとSBの4.7インチよりも大きくなっている。画面発色数が増加したこと(4096色→65000色)、またCPUのクロック周波数が高くなり(70MHz→324MHz)、応答性が向上したことがある。記憶天文情報はSBの約4万個に対し、SBTでは約26万個と大幅に増えており、天文データが充実し、カラーイメージも収録されるようになった。

PECは、電源を切っても維持されるP-PEC方式に変更され、内部電池が切れない限りは維持される。

操作性もSBTではテンキーが装備され、ダイレクトに機能を呼び出せるなど、かなりの向上がある。やはりデザインとカラーリングがずっとよくなり、こちらの方がコントローラーらしくなっている。試作段階では3つのカラーリング候補があった。

PCとの接続はやはりLANで、PC用プラネタリウムソフトからの制御も可能で、内部プログラムのバージョンアップはPCから行えるようになっている(若しくはメーカーに委託)。

オートガイドはSIBG互換端子があり、ここにオートガイダーを接続して使用できる。

オプションのアドバンスユニットを組み込んで、AGA-1と同方式のCCDビデオカメラを利用してオートガイドを行うことができる。また、CCDビデオカメラの動画をマイクロSDカードに録画/再生/消去する機能、マイクロSDカードの静止画を再生する機能(記録する機能はない)、USB端子が装備されており、USB機器を接続して使用できる予定とされている。

AXD赤道儀

SB版NATは価格面でタカハシを意識したので機能的に中途半端になったが、今回はタカハシを意識せず納得いくものを開発した、価格は50万円台を目指す、と2009年CP+で担当者が語っていたという話があるが、SB版NATの倍以上の100万円にもなってしまった。

AXDではベアリングは25個使用、軸材は超々ジュラルミンを使用、これらにより30kgまで搭載可能となった、PEC機能は工場出荷時に測定して赤道儀側ROMに修正値を記憶させたV-PEC機能とし、±4を実現(これに合格しないと検査落ちになり決して出荷されることはない)し、V-PECは電源を入れると同時に動作する。ベアリングは21個使われている。

デザインはNATがクリーム色だったのに対し、白に変更され、シルバーが入っており、高級感を出しているし、赤経/赤緯メモリ環もシルバーで高級感を出している。一言でいうと

巨大SX

という感じである。

SXP赤道儀

SBTの開発は相当費用がかかっており、AXDだけでは回収が難しいということ、また写真派に人気があるタカハシEM200対策として開発されたのがAXDのダウンサイジング機であるSXP赤道儀で、型番はすでに「D」を使ってしまったことからか、「P」が使われている。白っぽい赤道儀という印象で、デザインはSXDとは同じである。ただモーターカバーも白で、ロゴマークが銀色に黒文字で「SXP」と入っているので区別はできる。筆者はアトラクスジュニアと呼ぶことがあるが、インターネットではプチAXDと呼ぶ人が多い。

アリミゾはプレートホルダーSXをオプションとして使うようにし、直づけ方式に変更されている。これにより、他社製品の鏡筒バンドなども問題なく使えるようになっている。V-PECはなく、SBTのP-PECのみが使用できる。ベアリングはSB版NATよりも多い15個が使われている。

ビクセンクオリティ等といわれることがあるのが、クランプを締めるとカクンと動いてしまうという構造上の問題で、自動導入する大半の人には問題なくても、手動導入する人にとっては問題があると指摘する向きがある。この話は、写真派の人は普通とは違う方法で天体導入するのか、と思う人も少なからずいる。極軸合わせしたら、コントローラーで基準星の設定をして自動導入するのが普通だからで、直接手動で天体導入するのは昔からの天文ファンが多いからである(いうまでもなく自動導入のなかった時代からである)。

この流れを見ると、

AXD→SXP

となっており、これまで普及機を開発し、その上位機を開発するという流れから、逆に上位機を開発し、それのダウンサイジング機を開発するという流れになっている。

高級路線に違和感

AXD赤道儀は単体でも100万円、それに三脚かピラーをセットすると116万くらいになるし、値引きもあまり良くないので、誰が買うのか?という気持ちが出るのも当然と思う。AXDを購入するのは清水の舞台に出るようなものであろう。SXPも例えばGPDやSXDを持っていて、乗り換えるのには下取り価格を設定している店があるが、新規に買うとなるとやはり慎重になってしまうものである。とはいえ、結構売れているという話も目にする。

細菌の海外製品も性能はぐんとよくなっており、GPS機能により時刻・緯度設定も自動で行える。極軸合わせを支援する機能のある赤道儀もある。この支援機能は、最近では専用のCCDカメラが装備され、その指示に従ってネジを調整するようになっているものまで現れており、さらに進めば自動で極軸合わせを行う赤道儀も開発されるだろう。

自動導入コントローラー付き赤道儀は、PC接続が普通なので、市販プラネタリウムソフトを使用して、制御することもごく当たり前に行える。勿論、PCを接続しないことも多いから、そういう意味ではカラー液晶画面に星図を映し出してナビゲーションする意義は大いにあり、他社が追従しないのは不思議である。

こういったことから、どうも最近のビクセンに見られる高級路線(AXD赤道儀やAX103S等)に違和感を感じる。前回も書いたことがあるが、ロングセラーで長く続いているGP/GPD赤道儀シリーズにも早く安価なパルスモーター仕様のカラー液晶画面付き自動導入コントローラーを開発してもらいたいと思う。誰でもいきなり100万円を投資して高級機を買える人ばかりではない。

なお、この原稿執筆時点、AXDとSXP用のピラー脚が発売された。まずAXD用から。

ピラー脚 AXD-P85DX ¥ 210,000 (税抜¥ 200,000) 商品No.25173-5

サイズ : 高さ881.5mm、直径139.8mm、支脚半径450mm 肉厚 : 3.8mm 重さ : 24.5kg

搭載可能機材 : AXD赤道儀、AXDハーフピラー

SX/GP用は以下の通り。

ピラー脚 SXG-P85DX ¥ 157,500 (税抜¥ 150,000) 商品No.25172-8

サイズ : 高さ839.5mm、直径114.3mm、支脚半径450mm 肉厚 : 3.5mm 重さ : 19.5kg

搭載可能機材 : SXW・SXD・SXC・SXP・GP2・GPD2各赤道儀(*)、ポルタⅡ、スカイポッド、HF2各経緯台、SXGハーフピラー、SXハーフピラー2、SXハーフピラー、スカイポッドハーフピラー *

GP2、GPD2赤道儀で接合部突起径60mmの場合はGP60-45AD(別売)が必要です。

重量が増して観測室などに据え付けて使うのには良いが、移動観測には受領面から、やはり体力が必要なのと、価格も大幅に上がっている。ピラーはベランダなどに固定して使うのも良いが、ベランダが狭い人は、やはり三脚にして、庭などで観測した方が良さそうな気がする。

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あとがき
ロングセラー赤道儀GP/GPDにも早くカラー液晶ナビゲーション付き自動導入コントローラーの開発が待たれる。
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