何事も3代目で完成する? Vixen SX三兄弟とSTARBOOKの例

Vixenの赤道儀は、GPシリーズとSXシリーズがメインラインであり、細かく見るとGPに対して上位のGPDがあり、SXに対してSXDがあります。Vixen SXシリーズは、STARBOOK(SB)を搭載して2003年に販売開始、その強化版であるSXDとSB版NAT(ニューアトラクス)は、2007年にそれぞれ発売されました。

SXシリーズは、カラー液晶を搭載したSTARBOOK、単に星本とかSBと呼ばれますが、最新機はSXPとSTARBOOKTEN(SBT)であり、どちらも3代目に当たる、ということで、Windowsでもバージョン3で完成した、とする向きがありますが、SX赤道儀とSBも3代目で技術的に完成した、といえるものがあります。

SBで採用されているコントローラーのカラー液晶画面に星図を出してナビゲーションするシステムは、天文台などの大型望遠鏡ではすでにごく普通に採用されていましたが、アマチュアレベルのコントローラー単体ではこれが最初となっています。

1.初代SX赤道儀と初代SB

2003年の天文雑誌の広告は、Vixenの場合、やたらSS2000PC標準搭載のGP/GPDが多く、今からすると、まるでSS2000PCの在庫を処分するのかのようでした。そして、不思議を思わせる広告、その翌月にSX赤道儀シリーズとSBが発表され、有楽町国際フォーラムで実機の展示会が行われましたが、折しも、望遠鏡・双眼鏡の発表会と同時期でした。

折しも、火星観測ブームだったことから、どこのショップでも品薄気味だった記憶があります。初代SBは、スケルトンブルーをベースにしていますが、どこかゲーム機っぽいデザインで、おそらくそのことが天体写真バリバリ同好会には受け入れ難いものがあったのでしょう。また、眼視中心に考えていたのか、SS2000PCの後継という位置づけでありながら、ユーザー定義天体登録機能や人工衛星追尾機能などが削除されています。当初オートガイド機能は開発中とされており、まもなくしてファームウェアのバージョンアップで搭載されています。

SX赤道儀は、白塗装だが、モーターカバーや極軸望遠鏡のカバーにはスケルトンブルーが使われているカラフルなもので、極軸望遠鏡はオプション、単にねじ込むだけで取り付けられます。これは、NATですでに採用されている方式ですが、GPシリーズのように極軸合わせのとき、赤道儀を回転させる必要(これもビクセンクオリティか)がなく、鏡筒を乗せたままでも楽に設定が行えます。SX赤道儀は、赤経クランプユニットが装備されたSXWとオプションのSXCに分けられており、SXCの単体販売は2013年現在ありません。

SBは、ゲーム機そのもののデザインで、SX赤道儀に合わせたスケルトンブルーが採用され、ボタンと液晶画面部分のみ白となっています。オートガイド端子装備でしたが、当初はまだその機能がなく、プログラムのバージョンアップ待ちとなっていました。PEC機能も当初はなく、後にプログラムのバージョンアップで対応しました。オートガイド端子はSIBG互換であり、AGA-1は内部の切り替えスイッチで対応できるようになっていました。パソコンとの接続は、クロスLANケーブルでつなげるようになっており、すでに搭載されなくなってきたRS232Cに代わるI/Fとなりました。

2.SKYPOD用に開発された2代目SBはGP用にも単体販売

自動導入経緯台、SKYPOD用に開発されたのが2代目に当たるSTARBOOKTypeS、通称SBSは、経緯台での自動導入を前提にしているため、初代SBよりも小型で、かつモノクロ液晶となり、カラー液晶を搭載した初代SBよりも扱いにくいのではないかと思われます。

その後、おそらくGP用にも自動導入の要望があったのか、モーターをセットにした単体販売もされる用になり、GPシリーズ用の自動導入コントローラーとしても提供されています。SKYPOD用としては設定が面倒な部分があるらしいですが、GP赤道儀用として提供されているSBSはこのような問題はないといわれています。

初代SBとSBSはDCモーターを使っており、天体写真バリバリ派にはよく思われていませんが、アメリカで主力のミードやセレストロンもDCモーターが主力で、セレストロンの投稿サイトにはGT赤道儀やCGE赤道儀(これらは勿論DCモーター)で撮影した写真が多数投稿されており、おそらくプログラム次第なのではないのかと思われます。

3.SXD赤道儀

SXシリーズ発表当初から、ユーザーの間では、上位機に当たるSXD赤道儀について予想されており、これについては、メーカーは、ユーザーの意見を参考に判断する、と雑誌記事で答えていたことがあります。

2007年2月に発売開始されましたが、すでに2006年の胎内星祭りやドイツの展示会フォトキナで参考出展されていました。デザインは変わらず、カラーリングは青は一切入らず白そのもので、ロゴマークは黒地に赤文字でVixen、金色文字でSXDの文字が入り、高級感が演出されており、NATの小型版というイメージでした。ベアリングは9個使われ、軸材はスチール製、ギア部分は真鍮材を使うなど、材質の大幅な見直しが行われています。SBはプログラムのバージョンアップが行われて、オートガイド機能とPEC機能、PC用のプラネタリウムソフトとの連動機能が追加されました。

4.SB版ニューアトラクス(NAT)

2007年2月には早くもカタログに掲載、、同年6月に一部望遠鏡販売店では先行販売、11月から正式に発売されました。ベアリングは13個使用、デザインはSS2000PC版NATと同じでしたが、SBや電源のコネクタ位置がピラー部分に移動しました。フラット化したので、収納が横向きでもよくなった、としていましたが、逆に持ちにくくなった面があります。ロゴマークがSX赤道儀と同じ青地に赤文字となったのはやはり良くないと思えます。SXDと同じ黒地に金色文字とするべきであり、カラーリングで損した部分があります。価格は、SS2000PC版NATよりも数万円程度安くなっています。

SXD/SB版NATが出た頃には、すでにSBのプログラムがバージョンアップされており、初期の未対応版でもメーカーに依頼するか、Vixenのウェブからプログラムをダウンロードしてバージョンアップすることで対応しました。

ここまで見ると、

SX→SXD→SB版NAT

というように、まず普及機から開発し、その上位機が開発される、という流れがあることが分かります。

SXD/SB版NATは機能的に中途半端

SBは使いやすいのだが、PEC機能は一度電源を切ると消えてしまうため、使う度に設定しなければならない、SS2000PCであった人工衛星追尾機能がない、ユーザー天体設定機能がないなど、機能的に中途半端なところがあり、写真撮影よりもあくまでも眼視中心に考えられている部分があります。最初は肉眼で観測していても、段々興味が出てきて、写真を撮りたくなってくることもあり、そうなると、タカハシなど他社製品に移行していく傾向が出てきます。

SXDやSB版NATは、機械精度は優れていても、コントローラーが機能的に中途半端になってしまっていました。すでに次期赤道儀の開発は始められており、トナかい会員向けのアンケートをSXシリーズ所有者に対して行うなど、意見収集を行っていました。

その答えとして登場したのがAXDとSXPのシリーズです。

SX三兄弟とAXD赤道儀

先にSB版アトラクスの後継機種であるAXDが発売された後、これをダウンサイジングしたSXP赤道儀、SXDをモデルチェンジしたSXD2が発売されました。

これまでは、GPシリーズやSXシリーズが先に開発され、それをベースに機能アップしたアトラクスが開発される、という形でしたが、3代目にあたるSXPとSTARBOOKTEN(SBT)は、先にアトラクスが開発され、その技術がダウンサイジングされる、という逆の形になっています。

SXPではモーターはパルスモーター、M8ビスによるOTA直付け方式、最大搭載重量は16kgと、タカハシのEM200を十分にターゲットに捕らえています。SXP、というより、アトラクスジュニア、という方が合っているかと思います。SXPは他のSXシリーズとは異なり、アリミゾオプションのため本体と三脚だけ買って手持ちのOTAを載せる、ということはできないので、必ずプレートホルダーSXか、サードパーティの金具を忘れずに購入して下さい。SXPの望遠鏡セットを買うのであれば問題ありません。なお、乾電池稼働はできないので、バッテリーも忘れずに購入して下さい(もっとも、初代SBやSS2000PCでも乾電池稼働は実用的ではない)。

2012/6/4に、SXD赤道儀シリーズは生産終了となり、同年12月からはSXPと同じパルスモーター、SBTを搭載してモデルチェンジしたSXD2が発売されました。SXPとの違いは、アリミゾ標準装備、ベアリング9個、P-PECはなく観測の都度記録するPEC機能、等となっています。

こうしてみると、VixenではSX三兄弟をメインに据えているものと考えられます。

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あとがき
STARBOOK Type Sも単体及び赤道儀組み込み機も在庫販売のみとなることがアナウンスされました。これにより、GPシリーズ用の自動導入コントローラーはなくなりますが、今後どうなるのか、動向が注目されます。
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