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FM-11は8088内蔵型のEXモデルがあり、発売1年後のモデルチェンジ機がFM-11BSである。メインメモリは256KBに増量され、FDの容量は2HD(1MB)となったが、FM CALC(表計算ソフト)が削除されている。F-BASICは8088対応のF-BASIC 86を添付。
同時に発売されたFM-11AD2は6809系で、CPUが異なるので、別途解説済み。
カタログにはイメージキャラは載っていない。
FM-11シリーズのスペック表
- CPU
8088 8MHz - サブCPU
68B09E 2MHz - ROM
ブート4KB - メインRAM
256KB。
最大1MB。 - グラフィックVRAM
192KB - テキスト表示
文字数最大2,000文字
80字×25行、80字×20行
ブリンク、リバース、16色表示 - カラーグラフィックス
640×400ドット2画面。
640×200ドット4画面。
※8色または16色表示 - モノクログラフィックス
640×400ドット4画面。
640×200ドット16画面。 - 画面合成
テキスト画面とグラフィックス画面の合成可 - 漢字表示
JIS第1水準漢字2965種、JIS第二水準漢字3384種(オプション)、非漢字453種
表示構成40字×25行(専用CRT使用時)、40字×20行
文字構成16×16ドット
ユーザー定義文字約1,000種
拡大表示機能 - FDD
2HD(1MB)のFDDを2台内蔵済み。
8インチFDD接続可 - カードスロット
CPU:1
汎用:4 - パラレルI/F
セントロニクス社規格準拠 - シリアルI/F
RS232C準拠。19200bps - ライトペンI/F
内蔵 - カセットI/F
内蔵。1600bps - HDD
I/F別売 - バブルカセットホルダ
I/F別売 - CRT出力
デジタルRGB、モノクロディスプレイ。
家庭用テレビ出力可(別売アダプタが必要)
テキスト画面とグラフィックス画面をモノクロCRTとカラーCRTに分けて出力可。 - サウンド短音8オクターブ
- 外寸
本体(W)464x(D)360x(H)153㎜
キーボード(W)464x(D)193×39.5(H)㎜ - 重量
本体:13.3kg
キーボード:1.7kg - 添付ソフト
CP/M-86
F-BASIC 86
FM-JWP/V11(日本語ワープロ) - 主な添付品
カラーCRTケーブル
グリーンCRTケーブル
プリンタケーブル
各1本 - 価格
398,000円 - 発売
1984/2
オプションソフト
- MS-DOS
- 漢字LEVELⅡ COBOL
8088は外部バス8ビットで完全な16ビットとは言えない
FM-11BSモデルは、後にFM-16βに発展、その後のFMRシリーズ・FM TOWNSにもそのI/O構成等に名残が見られる。
CPUがソケットを用いて実装されていたため、8088からNEC V20への交換が流行した。
8088は8086より数字が大きいから上位CPUと勘違いする人がいる。この二つのCPUの違いは外部バスである。8086は外部バス16ビットなのでデータ通信は16ビットを一回で行うが、8088は外部バス8ビットなのでデータ通信は16ビットを8ビット2回ずつ行うことになる(命令セットは同じ)。これは、後の386DXと386SXの関係に似ており、8088は8086の廉価版だといえる。内部処理は16ビットでもデータパスは8ビットなので、8ビットCPUととらえる人もいる。NECのV20は外部バス8ビットの8088互換で、そのまま換装することができた。
当時NECのPC-9801初代/E/F/MではCPUはけちらずに8086を採用したが、他の国内メーカーは外部バスが8ビットのままで設計が楽ということもあるのか、16ビットCPUには8088を採用する例が多かったが、主流となることはなかった。
なお、FM-16β発売後もFM-11BSの販売は暫く続けられていたという。
寸評:8088ではいくらいじり回しても無駄