FM-7 ※1982/11/8発売

「先端技術が夢中にさせる興奮パソコン」
「CMコピー 青少年は興奮する/息もつかせぬ盛りあがり」

FM-8の後継機種は、FM-7とFM-11で、バブルカセットやアナログ入力ポートは削除、RS-232Cはオプションにして価格を引き下げ、代わりにSSG3重音源を搭載したFM-7は128,000円と安く、PC-8801に迫るベストセラー機になった。

イメージキャラクタにはタレントのタモリを起用。

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FM-7スペック

  1. CPU
    メインCPUMBL68B09(8/4.9MHz)
    サブCPU(グラフィックス用):MBL68B09(8/4.9MHz)
    Z80:オプション(CP/Mを稼働させる場合必要)
  2. ROM
    F-BASICver.V3.00/3.01(ROM-BASIC32KB)
  3. メインRAM
    64KB(増設不可)
  4. ビデオRAM
    48KB
  5. テキストRAM
    なし
  6. テキスト画面
    グラフィック画面と共用。
    80×20/25、40×20/25表示
  7. グラフィック画面
    640×200ドット1画面8色表示、カラーパレット機能
    640×200ドットモノクロ表示時は3画面
    テキスト文字は80×20/25、40×20/25表示
  8. 漢字表示
    JIS第一水準漢字ROM(拡張スロットに実装可)
    ※グラフィックス画面に40字×12行表示できる。
  9. サウンド
    SSG音源3重和音
  10. シリアルI/F
    オプション(拡張スロット内実装)
  11. フロッピードライブI/F
    オプション(拡張スロット内実装)
  12. 拡張スロット
    2スロット(不足の場合はI/O拡張ユニットで増設可)
  13. Z80スロット
    1スロット(FM-8用のものとの互換性はない)
  14. 主な添付品
    ユーザーズマニュアル/システム解説書/ユーザーズマニュアル システム仕様書/F-BASIC 文法書/F-BASIC ポケットブック/New VIP(簡易言語ソフトカセット)/NEW VIP操作マニュアル
  15. 発売
    1982年11月8日
  16. 価格
    128,000円

FM-7ではCPUクロックの向上やカラーパレット機能の追加、PSG3重和音の追加など、ゲームユーザーにも歓迎される機能が追加され、1984年4月の生産終了までに、22万台が出荷されたベストセラー機となった。

デザインはいまいちでも中身で勝負の根性もの

デザインは本体キーボード一体型で、安っぽい印象があり、色も寝ぼけたようで、いまいちな感じだ。外見ではなく中身で勝負、という根性ものの印象である。

グラフィックスは640×200ドット8色表示で当時の8ビット機では標準的出来映え、しかもグラフィックス用に別途CPUをおいたことで、高速描写が可能となっていた。但し、BASICの命令語が少なく、この機能を生かし切れていないという向きもよくあった。ハードウェアの技術情報や内部情報はショールームなどから比較的簡単に入手できたので、ハードウェアを生かしたソフトを自分で開発しようという人も中にはいた。

また、テキスト画面がなく、テキスト文字もグラフィック画面に描くため、グラフィックスの上にテキスト文字を描くとその部分のグラフィックスが消えてしまう。

Z80カードはFM-8との互換性はない。Z80カードを入れれば、他社のパソコンソフトを動かせると思う人も中にはいた。勘違いされがちなのだが、Z80カードは、CP/MというOSを動かすためのもので、他社のパソコンソフトを動かすためのものではないこと、CP/Mを使うには、Z80カードの他、FDDも必要である。勿論、それだけの働きはしてくれる。

  1. Z80カード
    型番MB28021
    5.25インチFD版CP/M-80が付属。
    価格35,000円
  2. 5.25インチ外付けFDD(2基内蔵)
    型番MB27611
    価格128,000円

OSとしては、CP/M、FLEX、OS-9、DISK-BASICが用意されている。ソフトも自社、他社共に多数あった。ハードウェアのオプションが非常に多かった。

変わったところでは、富士通が発売していたFM-X(MSX1規格)と接続することもできる(FM-X側にFM-7カードを取り付けることが必要)。FM-7とFM-Xを接続すると以下の機能が使える。

  1. FM-X側より
    FM-7のメモリーを増設メモリーとして使用し、メインメモリーを32KBに拡張できる。
    別売りのパラレルインターフェイス搭載時にプリンターバッファとして利用可能。
    FM-7のシリアルポートを使用可能。
    FM-7側の一部のキー入力をサポート。
    call monとしてコールすると、マシン語モニタが利用可能。
    PSGを共有し、6和音の発音が可能。
  2. FM-7側より
    デジタルRGB出力をFM-XのデジタルRGB入力端子に接続することでスプライト機能が利用できる。
    PSGを共有し、6和音の発音が可能。
    FM-X側のジョイスティックポートが利用可能。
    3CPU協調動作が可能。

但しどれだけの人がこの機能を使ったかは分からない。

オプションで夢は膨らむ、お財布はしぼむ

ハードウェアオプションは富士通に限ったことではないが、どれも高価で、誰が言ったか知らないがオプションは夢が膨らむ分お財布かしぼむという的を射た発言も頷ける。逆に言えば、ベーシックなハードを提供し、後は決して安くないオプションを買い揃えるコンセプトである。下手をするともう1台パソコンが買える金額になる。

Z80カードは、専用スロットに取り付けるが、RS232C、漢字ROM、音声合成、ひらがな表示、FM音源等は汎用の拡張スロットに取り付けるので、使い方によってはスロット数が足りなくなることもあり得る。そのために、I/O拡張ユニットがオプションで用意されている。

  1. I/O拡張ユニット
    型番MB26002J
    最大4枚までのモジュールを装着可能。
    価格49,800円

寸評:目新しい設計で他社PCにも影響を与えたマシン

富士通の8ビット機の最終機種FM77AV40SXに至るまで、基礎を確立したマシンである。同価格帯で人気を二分していたNECのPC-8001MKIIと比較すると、個人用途にはFM-7の方が向いているし、グラフィックスに別途CPUをおいたおかげで高速描写が出来る。FDDを接続すれば「座右の機種」として長く使えたマシンだと思う。
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