富士通の8ビット機がFM77AVシリーズだけとなって1年後。AV20は前モデルFM77AVのモデルチェンジ機、AV40はすでに生産中止になったFM-77L4をベースに開発された。
FM77AV40では同時発色数が増え、262,144色表示が可能となっているが、FM77AV20では4096色表示のままだ。AV40で売りとなった320×200ドット262,144色はAV20ではできないことになっており、予算の関係上AV20を購入する人にとってみれば不親切な設計だ。
デザインは旧型機とほぼ同じでブラックカラー。AV40ではFDD2台が標準装備となり、AV20はFDD1台と2台とがあるが後からFDDを増設するよりも、僅か3万円の差だから、FDD2台のAV20-2が標準といえる。RS-232Cはユーザーの要望が強くようやく標準装備された。また、FDDの容量が2DD(640KB)に増量された。
FM-77AV40/20スペック
- CPU
MBL68B09E(2MHz) - サブCPU
MBL68B09E(2MHz) - ROM
F-BASIC V3.02 - メインRAM
FM77AV40:192KB(最大448KB)
FM77AV20:128KB(最大192KB)
※拡張メモリスロットに増設可 - ビデオRAM
FM77AV40:144KB
FM77AV20:96KB - テキストRAM
なし - テキスト画面※グラフィック画面と共用
■FM77AV40
80×20/25/40/50、40×20/25表示
■FM77AV20
80×20/25、40×20/25表示
文字種:英数カナ文字、英数字、特殊記号など257種 - グラフィック画面※カラーパレット機能あり
■FM77AV40
640×400ドット8色 1画面
640×200ドット8色 2画面
320×200ドット262144色 1画面
320×200ドット4096色 1画面
■FM77AV20
640×200ドット8色 2画面
320×200ドット4096色 1画面 - 漢字表示
■FM77AV40
JIS第1水準、JIS第2水準、非漢字、辞書ROM
※グラフィックス画面に40字×20行表示できる。
■FM77AV20
JIS第1水準、非漢字
※グラフィックス画面に40字×12行表示できる。 - サウンド
FM音源3重和音,PSG3重和音・8オクターブ。外部オーディオ接続端子付き - キーボード
赤外線ワイヤレスまたはワイヤード接続。JIS配列準拠、総数100キー。 - 内蔵FDD
AV40:3.5インチ 640KB 2台
AV20-1:3.5インチ 640KB 1台
AV20-2:3.5インチ 640KB 2台 - 拡張スロット
2スロット。不足の場合はI/O拡張ユニットで増設可(I/O拡張コネクタに接続) - ビデオディジタイズスロット
ビデオデジタイズカード搭載用 - CRT接続
21ピンRGB/8ピンRGB - プリンタI/F
セントロニクス社仕様準拠 - オーディオカセットI/F
あり - ジョイスティックI/F
2ポートあり - シリアルI/F
RS-232C準拠 - マウスI/F
オプション - MIDI I/F
オプション - 電源
AC100V。50/60Hz - 使用条件
温度5~35℃、湿度20~80%。ただし結露しないこと - 外寸
本体:(W)355㎜×(D)380㎜×(H)100㎜
キーボード:(W)410㎜×(D)193㎜×(H)45.5㎜ - 重量
AV40:8.9kg
AV20-2:7.9kg
キーボード:1.35kg - 添付ソフト
入門ディスク、F-BASIC V3.4 L10(AV40)、F-BASIC V3.3 L10(AV20) - 発売
1986年10月 - 価格
FM77AV40:228,000円
FM77AV20-2:168,000円
FM77AV20-1:138,000円
ビデオカード(24,800円)を取り付ければ、テレビやビデオの画面をデジタイズして静止画像をフロッピーに保存することができる。これを生かすには320×200 262,144色表示のAV40を選んだ方がよいということだろうか。しかしテレビやビデオの絵をフロッピーにしまってみても、それだけではすぐに飽きが来るのは目に見えている。別売ソフトのFMグラフィックエディタを駆使したいところだ。
テレビ画面やビデオ画面とのスーパーインポーズは、専用ディスプレイテレビのみ対応である。
サウンド機能は、別売ソフトのFMミュージックエディタ(2万円)を使えば、本体FM音源66音を利用してかなりのことが出来る。感動するようなサウンドとなると、別売FMAV-401ステレオミュージックボックス(58,000円)が必要で、これはMIDI I/Fを介してシンセサイザーを接続することもできる。
当時、シャープのX1ターボZが発売されており、何かと比較されたが、ビデオデジタイズ機能は標準装備、すぐに楽しめるようにグラフィックスとサウンドのソフトが標準装備されていたのに対し、FM77AVではベーシックなハードを提供し、後は決して安くないオプションを買いそろえるようになっていた。FM77AV40では本体と専用ディスプレイだけで35万円を軽くオーバーする。さらにマウスだ、別売ソフトだとなるとあっという間に40万円を超えてしまった。こうなると16ビット機と比べるとどうしても割高に思えてしまう。
漢字ROMや辞書ROMはビジネス用ではなく、あくまでも付録と考えることだ。
寸評:オプションを買いそろえるだけでもう1台パソコンが買える