FM-8 ※1981/5発売

「高級ホビーからビジネスまでの多才パソコン」
8ビット機全盛期は、NECが圧倒的なシェアを誇っていたとは言え、他社も多数参入しており、NEC・富士通・シャープはパソコン御三家と呼ばれたこともあった。

ここで取り上げるFM-8は、富士通が発売したマシンであり、本体キーボード一体型だった。PC-8001対抗機としては価格が5万円の差があった。

多くのメーカーは、ザイログ社のZ80をCPUに採用していたが、富士通はモトローラの6809系を採用した。また、グラフィックス用に別途CPUをおくことで高速化を図り、マルチCPUマシンとも呼ばれた(もっとも、他社ではグラフィックスはメインCPUに描かせたが、キーボードやカセットなど入出力部分にはサブCPUをおく設計にした)。

当時は、FDDの値段が非常に高額だったため、もっぱらプログラムやデータの読み書きにはカセットテープを使っていたことは他社製品と同じだ。

イメージキャラクターは伊藤麻衣子を起用。

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FM-8ハードスペック

  1. CPU
    ■メインCPU
    MBL68A09(4.9152MHz)
    ■サブCPU
    MBL6809(4MHz)
  2. ROM
    32KB(F-BASIC V1.04/1.05)
  3. RAM
    64KB
  4. VRAM
    48KB
  5. テキスト表示
    グラフィックス画面と共用で80×20/25、40×20/25から選択
  6. グラフィック表示
    640×200ドット1画面/8色表示
  7. 漢字ROM(オプション、本体基盤に実装可)
    JIS第一水準漢字2965種、非漢字453種
  8. 日本語表示
    漢字ROMを実装すれば、グラフィックス画面に40字×12行表示できる。
  9. サウンド
    BEEP音のみ
  10. 本体内蔵オプション
    Z80カード
    8088カード(メインCPUと切替使用)
  11. バブルカセットホルダ
    空き部分には鉄製の箱が取り付けられており、俗に小物入れと呼ばれた。
  12. 外部拡張オプション
    8インチ/5インチFDD/拡張ボックス 他
  13. 動作するOS
    OS-9
    FLEX
    CP/M-80(Z80カード搭載時)
    CP/M-88(8088カード搭載時)
    F-BASIC(DISK-BASIC)
  14. 発売
    1981年5月
  15. 希望小売価格
    218,000円

拡張スロットはなく、別途拡張ボックスを用意する必要があった。バブルカセットやRS232Cが標準装備だったことから、ビジネスマシンとして想定されていたようだ。アナログポートが装備されており、ここに接続できるジョイスティックが他社から発売されていた。

CPUは6809系だが、オプションでZ80カードが用意されており、CP/Mを稼働させたり、8088カードを取り付けてCP/M-86を稼働させたりすることもできた。

  1. Z80カード
    品番MB22401
    価格11,700円
  2. 8088カード(5.25インチFD版CP/M-86が付属)
    品番MB28011
    価格50,000円
  3. 8088カード(8インチ版CP/M-86が付属)
    品番28013
    価格50,000円
  4. 8088カード(5.25インチ版CP/M-86が付属)
    品番MB28012
    拡張RAMモジュール付き
    価格50,000円
  5. 8088カード(8インチ版CP/M-86が付属)
    品番28014
    拡張RAMモジュール付き
    価格50,000円

翌1982年12月にはまだ一般的でなかったRS-232Cはオプションとし、ほとんど不必要といえるバブルカセット、アナログ入力ポートを削除し、コストダウンを図ったFM-7が発売された。これを見たマニアの中には、PC-8801をそのまま安くした機種を想像して、またNECの勝ちか…と思った者もいたようだが(月刊マイコン1983年)、残念ながらPC-8001MKIIの発売になった。

寸評:実際は企業でビジネス用途を想定していた

個人ユーザーには当時としては価格が高すぎ、個人向けに設計を変更したFM-7が1年後に登場する。ビジネス用途にはFM-11シリーズへと展開されていった。
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