FM-77シリーズのAV指向機がこのFM77AV。単なるFM-77のモデルチェンジ機、ではなく、富士通の8ビット機全体のモデルチェンジで、その証拠にFDDドライブ1台あたりの価格は3万円であり、FDD1台モデルの価格からその分を引くと99,800円であり、FM-NEW7と同一価格である。なお型番にはFM77AVであり、FM-77のように-(ハイフン)が入らなくなった。
富士通の8ビット機で特徴的だったZ80スロットは廃止され、Z80カードは使えなくなり、CP/Mを動かすことは不可。
FM77AVでは640×200ドット8色表示の他、320×200ドット4096色表示という当時としては画期的なグラフィックス機能を持っていた。このことから、FM77AVはかなりアミューズメント色の強いマシンといえる。
FM77AVはFM-77L2をベースにAV機能強化したマシンだが、1年後にはFM-77L4をベースにAV機能強化したFM77AV40も登場した。
FM77AVスペック
- CPU
MBL68B09E(2MHz) - サブCPU
MBL68B09E(2MHz) - ROM
F-BASIC V3.02 - メインRAM
128KB。拡張メモリスロットに増設可(最大192KB) - ビデオRAM
96KB - テキストRAM
なし - テキスト画面
なし(グラフィック画面に表示)
80×20/25、40×20/25表示。
文字種:英数カナ文字、英数字、特殊記号など257種 - グラフィック画面
640×200 8色 2画面
320×200 4096色 1画面
カラーパレット機能あり - 漢字表示
JIS第一水準漢字2965種及び非漢字453種標準装備。グラフィックス画面に40字×12行表示できる。 - サウンド
FM音源3重和音,PSG3重和音・8オクターブ。外部オーディオ接続端子付き - キーボード
赤外線ワイヤレスまたはワイヤード接続。JIS配列準拠、総数100キー。 - 内蔵FDD
3.5インチ 320KB 1台(AV-1)/3.5インチ 320KB 2台(AV-2) - 拡張スロット
2スロット。不足の場合はI/O拡張ユニットで増設可(I/O拡張コネクタに接続) - ビデオディジタイズスロット
ビデオデジタイズカード搭載用 - CRT接続
21ピンRGB/8ピンRGB - プリンタI/F
セントロニクス社仕様準拠 - オーディオカセットI/F
あり - ジョイスティックI/F
2ポートあり - シリアルI/F
オプション、RS-232C準拠 - マウスI/F
オプション - MIDI I/F
オプション - 電源
AC100V。50/60Hz - 使用条件
温度5~35℃、湿度20~80%。ただし結露しないこと - 外寸
本体:(W)363㎜×(D)380㎜×(H)101.5㎜
キーボード:(W)410㎜×(D)192㎜×(H)45㎜ - 重量
AV-2: 9.3kg
AV-1:8.5kg
キーボード:1.1kg - 添付ソフト
F-BASIC V3.3 L10
ラインナップ
- FM-77AV-1(FDD1台)
発売1985年11月11日
価格128,000円 - FM-77AV-2(FDD2台)
発売:1985年11月11日
価格:158,000円 - FM77FD301
FM77AV-1増設用FDD。
価格35,000円
デザインはこれまでのFM-77シリーズとは変わってイメージチェンジされ、カラーリングもブラックに変わった。FDD1台では使いづらいので、後からFDDを増設するよりも、僅か3万円の差なので、FDD2台のAV-2が標準といえる。
日本語表示はJIS第一水準漢字が標準装備されているが、オプションの日本語カード(29,800円)を取り付ければ、JIS第2水準漢字、辞書ROMと64KB RAMが利用できる。ビジネスにも利用できる、なんて考えない方がよく、あくまでも付録と割り切ることだ。RS-232Cは変わらずオプションとなっている。
専用ディスプレイテレビを接続して、テレビ画面やビデオ画面とのスーパーインポーズも可能である。
320×200ドット4096色表示を生かすためのビデオデジタイズカード(24,800円)を取り付ければ、テレビやビデオの静止画面をデジタイズしてフロッピーに保存することができる。しかし、テレビやビデオの画面をとってフロッピーにしまってみても、それで終わり、ではすぐに飽きが来るだろう。ここはやはり、「FMグラフィックエディタ」や市販ソフトを使って画像処理を行いたいところだ。
FM77AVの発売により、他の8ビットのFMシリーズは生産終了。在庫販売のみとなった。
秋葉原の富士通のショールームには生産終了した8ビット機も展示/稼働しており、いろいろな面でユーザーはそれほど困ることもなかったようで、これは他社も見習うべきことだった。
寸評:X1ターボシリーズの後を追ってみたが…