「手軽なBASIC学習機」
ナショナルがMSXに参入する前に発売していたのが、JRシリーズで、メインにはJR100とJR200があった。
最終的にMSX路線に転ずるまでの間、ポケットコンピュータになるJR800、Z80CPUとJR200のハイブリッド機JR800もリリースされた。開発は松下通信工業電卓事業部。
最初に発売されたJR100は、価格が当時59,800円と安価で、モノクロ画面、基本的にモノクロディスプレイに接続するが、RFモジュール内蔵なので、家庭用テレビにも接続できる。但し家庭用テレビでは色がにじむもので、モノクロ画面のにじみとはどんなものだったろうか。やはりモノクロディスプレイに接続して使いたい。
JR100スペック
- CPU
MN1800(6802相当) 890kHz※実際はMB8861 - ROM
8KB(JR-BASIC) - RAM
16KB(ユーザーメモリ8KB)※拡張バスを通じて32KBまで拡張可能 - VRAM
1KB - 画面構成
24行×32文字:モノクロ表示
5×7ドットマトリックス文字:64種
8×8ドットセミグラフィック文字:64種
ユーザ定義文字:8×8ドットマトリックス文字32種 - ディスプレイ
モノクロディスプレイ
RFコンバータ(家庭用テレビ) - キーボード
ソフトウェアスキャン。45キー。SHIFT, CTRL併用による5段シフト。テンキーなし - カセット
FSK方式1200Hz(スペース)、2400Hz(マーク)ボーレート600ボー - 電源
ACアダプタ
AC100V±10%。50/60Hz
2W - 寸法
(W)296×(D)154×(H)45㎜ - 重量
約700g - 添付品
ACアダプタ、カセットケーブル、モノクロディスプレイケーブル、ユーザーズマニュアル、デモンストレーションプログラムテープ、保証書
モノクロ画面のみで、この価格帯では珍しいユーザー定義文字機能があり、8×8ドットの大きさでキャラクタ文字をユーザーが作ってプログラム中で使うことができる。正数計算のみサポートするBASICであり、あくまでもゲームパソコンである。
JR200発売後は存在感が薄れたマシン
システム構成では、拡張ユニットA(バスアンプ内蔵)を接続してプリンタ、ジョイスティックを接続できる。拡張ユニットB(16KBRAM内蔵)を接続すれば、ジョイスティック、プリンタ、ミュージックアダプタ、RS232C、アナログ変換、音声合成、音声認識、FDアダプタ、増設I/Oユニットの接続可、となっている。
1982年末にJR200が発売後は、広告などには「手軽なBASIC入門機」というコピーが入るようになり、事実上短期間で終わった感がある。JR100とJR200では互換性がないので、ソフト流用は不可。
カラーは白で、キーボードはBASICの命令語が割り振られた通称「消しゴムキーボード」と呼ばれるもの。デザインはヨーロッパで発売された格安マイコン「Lambda 8300」に酷似しているという人もいる。
JRシリーズはキーボードにはBASICの命令語が割り振られているので、プログラムを書くのが楽になっている。消しゴムキーボードと呼ばれるゴム製のキーボードなので、耐久性が気になるところではある。
寸評:存在自体が不思議なマシン