JR300 ※1983/10発表

JR300はごく限られた台数しか販売されず、以降はMSXパソコンに置き換わっている。

これまでのJRシリーズとは異なり、メインCPUをZ80に採用しており、デザインはシルバーとブルーをベースとしながらもキーボードと本体を分離したセパレート型になった。実際にはJR200も同居させており、立ち上げ時に選択するようになっている。ハードスペックを見ると当時の8ビット機の標準的な仕様を備えている。デザインはシルバーと青、本体とキーボードが分離されたセパレート型で、その後ナショナルブランドで発売される豪華デザインのMSXマシンの原型デザインといえる。

一般にはほとんど出回らなかったことから、幻の機種ととらえる人も多い。

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JR300のスペック

  1. CPU
    JR300モード:Z-80A(4MHz)
    JR200モード:MN1800A(6802コンパチブル)
  2. サブCPU
    MN1544/MN1542(キーボード等用)
  3. ROM
    IPL ROM:8KB(JR300モード)
    JR-200 BASIC:16KB (JR200モード)
    I/O ROM:16KB (JR200モード)/(40KB) (JR300モード)
  4. RAM
    64KB (JR300モード)
    16KB (JR200モード)
  5. コモンRAM
    2KB
  6. VRAM
    48KB(JR300モード)
    4KB (JR200モード)
  7. 表示テキスト画面
    80×25文字、40×25文字(JR300モード)
    32×24文字(JR200モード)
  8. グラフィック画面(JR300モード)
    640×200(8色×1画面)
    320×200(1色×3画面)
    640×400(1色×1画面)。
  9. スーパーインポーズ
    パソコンテレビTH15-M300との接続により, テレビ画面の重ね合わせ可能 [JR300モード]
  10. 出力
    RGB同期分離方式
    [JR300モード,JR200モード]
  11. キーボード
    本体分離構成,スカルプチャータイプ 98キー。テレビコントロールキー有。12ファンクションキー(6キーとのSHIFTキーの併用)。独立10キー。
  12. ジョイスティックI/F
    あり
  13. ミュージック機能
  14. 8オクターブ 3重音,エンベロープ制御,音量制御有。外部入力とのミキシング可能。外部スピーカ出力。テレビへの音声出力機能有
  15. カセットI/F
    1200/2400Hz FSK方式600/2400ボー
  16. プリンタI/F
    セントロニクス準拠
  17. FDD I/F
    JR-F01直結可
  18. シリアルI/F
    RS-232C、全二重75~9600ボー(ソフトウェアで設定)
  19. パソコンテレビコントロールパワーのオン/オフ制御
    チャンネル設定,ボリューム設定機能。スーパーインポーズ オン/オフ制御。
    モード切換制御(TV,Video,RGB)
  20. 別売品I/O拡張ボード
    拡張RAM、漢字ROM、BASIC ROM、フロッピーディスクユニット、RFコンバーター他
  21. 時計機能
    バッテリーバックアップ付時計チップ内蔵
    周辺機器等のタイマー制御可能
  22. 電源
    AC100V 50/60Hz
  23. 寸法
    本体:幅390×奥行350×高さ80mm
    キーボード:幅390×奥行198×高さ38mm。
  24. 重量
    本体:約4.8kg
    キーボード:約1.6kg
  25. 付属品
    ユーザーズマニュアル、ベーシックマニュアル、ニューメディアケーブル、キーボードケーブル、カセットケーブル、デモンストレーションプログラムテープ
  26. 本体価格
    159,000円

シャープのX1を意識したような内容で、JR300モードでは専用ディスプレイテレビTH15-M300を接続してテレビ画面とのスーパーインポーズができる。

JR200/JR300用純正周辺機器

  1. JH-600:音声認識装置”パナボイス” 135,000円
  2. JR-F01:5inch FDD ユニット(2D) 129,800円
  3. JR-F02:5inch 増設用 FDD ユニット(2D) 119,800円
  4. JR-F03:3.5inch(?)FDD ユニット(2DD) (未発売)
  5. JR-F04:3.5inch(?)増設用 FDD ユニット(2DD) (未発売)
  6. JR-F11:フロッピーディスクアダプタ(JR-F01用) 19,800円
  7. JR-DA01:システムディスク(JR-BASIC 5.3) 9,800円
  8. JR-DA11:空ディスク10枚(2D) 26,000円
  9. JR-U07:ジョイスティック(ATARI準拠) 4,980円
  10. JR-C02:プリンタケーブル 4,950円
  11. JR-C04:コンポジットケーブル 500円
  12. JR-C05:RGBケーブル 1,900円
  13. JR-C09:FDDケーブル 3,500円
  14. JR-P01:グラフィックプリンタ(GP-80M相当) 74,800円
  15. TX-12T1:12型CRTディスプレイ(ディジタル8色) 64,800円
  16. TH14-NM2G:14型CRTディスプレイ(ディジタル8色) 69,800円
  17. TH15-M300:15型CRTディスプレイ&テレビ 139,000円
  18. RQ-8300:カセットレコーダ(2400baud) 18,000円
  19. RQ-8200:カセットレコーダ(600baud) 15,800円

未発売で終わったオプション機器も見られる。

JR300は1984年のビジネスショーで展示されたものの、一般にはごく限られた数量しか販売されなかったことから、幻の機種といってもよい。

そういうことから、専用のソフトは出回らなかったはずだが、JR200モードで使用すれば劣化した「消しゴムキーボード」の代替品にはなっただろう。もっとも、JR200のソフトはナショナルからゲームを中心にカセットで数本出た程度だった。この後ナショナルは独自規格のパソコンはやめ、1983年に発表されたMSXマシンに完全移行している。

寸評:幻のテレビパソコン。

8ビットパソコン市場はNEC、シャープ、富士通のパソコン御三家による寡占が進んだこともあるが、JRシリーズは短命なシリーズに終わっている。以降ナショナルはMSX規格に移行したが、MSX2/MSX2+/MSXturboRとかなり遅くまでMSX規格のマシンを製造販売していた唯一のメーカーである。
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