JR300はごく限られた台数しか販売されず、以降はMSXパソコンに置き換わっている。
これまでのJRシリーズとは異なり、メインCPUをZ80に採用しており、デザインはシルバーとブルーをベースとしながらもキーボードと本体を分離したセパレート型になった。実際にはJR200も同居させており、立ち上げ時に選択するようになっている。ハードスペックを見ると当時の8ビット機の標準的な仕様を備えている。デザインはシルバーと青、本体とキーボードが分離されたセパレート型で、その後ナショナルブランドで発売される豪華デザインのMSXマシンの原型デザインといえる。
一般にはほとんど出回らなかったことから、幻の機種ととらえる人も多い。
JR300のスペック
- CPU
JR300モード:Z-80A(4MHz)
JR200モード:MN1800A(6802コンパチブル) - サブCPU
MN1544/MN1542(キーボード等用) - ROM
IPL ROM:8KB(JR300モード)
JR-200 BASIC:16KB (JR200モード)
I/O ROM:16KB (JR200モード)/(40KB) (JR300モード) - RAM
64KB (JR300モード)
16KB (JR200モード) - コモンRAM
2KB - VRAM
48KB(JR300モード)
4KB (JR200モード) - 表示テキスト画面
80×25文字、40×25文字(JR300モード)
32×24文字(JR200モード) - グラフィック画面(JR300モード)
640×200(8色×1画面)
320×200(1色×3画面)
640×400(1色×1画面)。 - スーパーインポーズ
パソコンテレビTH15-M300との接続により, テレビ画面の重ね合わせ可能 [JR300モード] - 出力
RGB同期分離方式
[JR300モード,JR200モード] - キーボード
本体分離構成,スカルプチャータイプ 98キー。テレビコントロールキー有。12ファンクションキー(6キーとのSHIFTキーの併用)。独立10キー。 - ジョイスティックI/F
あり - ミュージック機能
- 8オクターブ 3重音,エンベロープ制御,音量制御有。外部入力とのミキシング可能。外部スピーカ出力。テレビへの音声出力機能有
- カセットI/F
1200/2400Hz FSK方式600/2400ボー - プリンタI/F
セントロニクス準拠 - FDD I/F
JR-F01直結可 - シリアルI/F
RS-232C、全二重75~9600ボー(ソフトウェアで設定) - パソコンテレビコントロールパワーのオン/オフ制御
チャンネル設定,ボリューム設定機能。スーパーインポーズ オン/オフ制御。
モード切換制御(TV,Video,RGB) - 別売品I/O拡張ボード
拡張RAM、漢字ROM、BASIC ROM、フロッピーディスクユニット、RFコンバーター他 - 時計機能
バッテリーバックアップ付時計チップ内蔵
周辺機器等のタイマー制御可能 - 電源
AC100V 50/60Hz - 寸法
本体:幅390×奥行350×高さ80mm
キーボード:幅390×奥行198×高さ38mm。 - 重量
本体:約4.8kg
キーボード:約1.6kg - 付属品
ユーザーズマニュアル、ベーシックマニュアル、ニューメディアケーブル、キーボードケーブル、カセットケーブル、デモンストレーションプログラムテープ - 本体価格
159,000円
シャープのX1を意識したような内容で、JR300モードでは専用ディスプレイテレビTH15-M300を接続してテレビ画面とのスーパーインポーズができる。
JR200/JR300用純正周辺機器
- JH-600:音声認識装置”パナボイス” 135,000円
- JR-F01:5inch FDD ユニット(2D) 129,800円
- JR-F02:5inch 増設用 FDD ユニット(2D) 119,800円
- JR-F03:3.5inch(?)FDD ユニット(2DD) (未発売)
- JR-F04:3.5inch(?)増設用 FDD ユニット(2DD) (未発売)
- JR-F11:フロッピーディスクアダプタ(JR-F01用) 19,800円
- JR-DA01:システムディスク(JR-BASIC 5.3) 9,800円
- JR-DA11:空ディスク10枚(2D) 26,000円
- JR-U07:ジョイスティック(ATARI準拠) 4,980円
- JR-C02:プリンタケーブル 4,950円
- JR-C04:コンポジットケーブル 500円
- JR-C05:RGBケーブル 1,900円
- JR-C09:FDDケーブル 3,500円
- JR-P01:グラフィックプリンタ(GP-80M相当) 74,800円
- TX-12T1:12型CRTディスプレイ(ディジタル8色) 64,800円
- TH14-NM2G:14型CRTディスプレイ(ディジタル8色) 69,800円
- TH15-M300:15型CRTディスプレイ&テレビ 139,000円
- RQ-8300:カセットレコーダ(2400baud) 18,000円
- RQ-8200:カセットレコーダ(600baud) 15,800円
未発売で終わったオプション機器も見られる。
JR300は1984年のビジネスショーで展示されたものの、一般にはごく限られた数量しか販売されなかったことから、幻の機種といってもよい。
そういうことから、専用のソフトは出回らなかったはずだが、JR200モードで使用すれば劣化した「消しゴムキーボード」の代替品にはなっただろう。もっとも、JR200のソフトはナショナルからゲームを中心にカセットで数本出た程度だった。この後ナショナルは独自規格のパソコンはやめ、1983年に発表されたMSXマシンに完全移行している。
寸評:幻のテレビパソコン。