MB/S1 国産ベストパソコンと評されたが…

MB/S1は、8ビットベーシックマスターシリーズの最後の機種として、1984年に発売された。

CPUには68B09Eを搭載し、CRTコントローラーにはそのファミリーであるCRTCを用いた他、12個の専用ゲートアレイ(カスタムLSI)を開発し、6809の処理能力を極限まで引き出している。

速さと先進性を誇示するかのごとく、ワイヤーフレームで描かれた疾走する馬がイメージシンボルに使われていた。この8ビット機では独自のメモリーコントローラーを搭載することにより16ビットCPUのi8086よりも広い1MBまでメモリを扱うことができた。

日立が発売した横浜テレビ事業部からのホビーパソコンとしては最後のシリーズとなった。

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MB/S1のスペック

  1. CPU
    68B09E 2MHz(レベル3互換モードでは1MHz)
    68008(オプション)
    Z80(オプション)
  2. ROM
    LEVEL-3 BASIC:24KB
    S1 BASIC:64KB
    キャラクタジェネレータ:6KB
  3. RAM
    メインRAM:48KB。最大512kB。
    VRAM:48KB
    テキストRAM:4KB
    イメージジェネレータ:6KB
    第一水準漢字ROM:160KB(10:オプション。20/30/40標準装備)
  4. テキスト文字
    8×8ドット/8×16ドット
  5. グラフィック表示
    640×200ドット15色中8色を選択
    320×200ドット15色中8色を選択
    640×200ドット単色
  6. FDD
    10/20:外付け可
    30:2HD仕様1台内蔵(最大2台)
    40:2HD仕様2台内蔵
  7. パラレルI/F
    プリンタ用。セントロニクス社準拠
  8. シリアルI/F
    RS232C準拠
  9. マウスI/F
    オプション
  10. カセットI/F
    あり
  11. サウンド
    PSG 3重和音8オクターブ
  12. 拡張スロット
    インタフェース拡張コネクタ2組内蔵
    ビデオスーパーインポーズカード拡張コネクタ内蔵
    マウスインタフェース用ソケット1組内蔵

独自のマッピング機能が特徴であるカスタムICにより最大1Mバイトのアドレス空間を実現。

4KBを単位としてメモリのマッピングが可能。マッピングレジスタは16ページ分用意されており、例えば文字列の領域を12ページ目、グラフィッ クメモリを9ページ目などに自由に割り当てることができ、それらをシステムコールでメモリ空間を切り替えながらアクセスするといった処理をすることができた。メモリ空間の簡易保護も可能。

VRAMはグラフィックを利用しない場合はS1 BASICのフリーエリアとして利用可能。

オプションの68008カード、Z80カードを搭載することにより、OS-9/68000、CP/Mの動作が可能。

MB/S1シリーズラインナップ

  1. MB-S1/10:1984年5月基本モデル 128,000円
  2. MB-S1/20:1984年5月漢字ROM搭載 178,000円
  3. MB-S1/30:1984年12月1MB FDD1基搭載 198,000円
  4. MB-S1/40:1984年12月1MB FDD2基、漢字ROM搭載 298,000円
  5. MB-S1/10AV:1985年スーパーインポーズ、6和音サウンド、ジョイスティックインターフェイス搭載 178,000円
  6. MB-S1/15:1985年モデル。20+通信ソフト内蔵 148,000円
  7. MB-S1/45:1985年モデル。40+通信ソフト内蔵 298,000円

※他社OEMされた製品には、来夢来人(Limelight Interfield Systems)JB-806E1-2があり、1985年発売、320KB FDD1基/再生専用データレコーダ1基内蔵。明記されていないが、S1互換。

国産ベストパソコンと絶賛されたが…

レベル3から大幅な機能強化を図り、独自のメモリーコントローラーを搭載することにより最大1Mバイトのメモリ空間を実現しており、性能的に最強の8ビット機として挙げられたのだろう。とはいうものの、時代は既に16ビットパソコンへと移行しつつあったこと、かつ漢字表示能力においてライバルとなるべきPC-8800シリーズより劣っており、先鋭的であったとはいえ、市場を覆すまでには至らなかった。

「よいパソコン悪いパソコン」では基本部分を換えずにモデルチェンジしたことで互換性が保たれ、10モデルでも最新のソフト/ハードが使えたこともあるのか、またはころころモデルチェンジを繰り返したNECへの反発からか、その両方ということか、国産ベストパソコンと賞賛されたのだろう。しかしこの価格では大多数のユーザーはPC-9801の方に流れることだろう。

「中古機パソコンをねらえ」という本(やはり大庭俊介+PUG編著)では「1987年の8ビットパソコンを振り返ると」のコラムで、お勧めの8ビット機としてあげられており、8ビット機の限界を超える能力を有しているが、ソフトは自分で作らざるを得ないことを覚悟することだ。とあった。ごくごく普通にパソコンを使いたい人には向いていないということだろう。

寸評:ベーシックマスターシリーズはこれでおしまい

「よいパソコン悪いパソコン」の88年前期版にも紹介されてはいたが、やはり他社がモデルチェンジを続けていく中、長年モデルチェンジのなかった本機種は完全に時代遅れになってしまった、と評しており、巻末の採点表の寸評でも「ついに時代遅れに…」と結んでいた。正確には分からないが、1986年を迎えることはなく生産終了になっていたものと思われる。

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