MULTI16 実は国産16ビットPC第一号

国産16ビットパソコンは、PC-9801が一大勢力を開きましたが、PC-9801が発売される前にすでに国産16ビット機として三菱電機からMULTI16が登場していました。

しかし、熱意の低さから、MULTI16は、16ビット機の主流になることはありませんでした。初代機は1981年末に発表され、1982年1月より営業活動を開始、その後量産出荷が開始されました。

初代機のスペック

※すべてCRT一体型です。

型番:MULTI 16(MP-1601,1602,1605)

  1. CPU:Intel 8088 4.44MHz
  2. FPU:Intel 8087(オプション)
  3. ROM:2KB(ブートストラップローダー、診断プログラム)
  4. メインRAM:MP-1601は128KB/MP-1602は192KB/MP-1605:256KB
  5. VRAM(メインRAMと共有):MP-1601,1602は32KB/MP-1605は96KB
  6. テキスト画面:40文字×20行、40文字×25行、80文字×20行、80文字×25行
  7. グラフィック画面:640×400ドット
  8. 画面表示色:MP-1601,1602はモノクロMP-1605は8色カラー(ドット単位で色指定可能)
  9. 補助記憶装置:5.25インチ2D FDD(両面倍密度:320KB)内蔵/MP-1601:1台標準装備/MP-1602,1605:2台標準装備/8インチ2D FDD(両面倍密度:1MB)(オプション)/5.25インチ FXD(10MB)(オプション)
  10. キーボード:JIS配列準拠、一体型
  11. オプションI/Oスロット(計5スロット):MP-1601,1602は4スロット使用可能(1スロットをFDDインターフェイスカードで占有)/MP-1605は3スロット使用可能(2スロットをFDDインターフェイスカードとメモリーカードで占有)
  12. インターフェイスカード:GP-IB、RS-232C、ジョイスティック、プリンター、プロッター (オプション)
  13. OS:CP/M-86
  14. サポート言語:BASIC(M-BASIC)、COBOL(CIS-COBOL)、FORTRAN(FORTRAN-77)

2代目機

型番:MULTI 16-II(MP-1642,1645)

  1. CPU:Intel 8086 7.4MHz
  2. FPU:Intel 8087(オプション)
  3. ROM:16KB(ブートストラップローダー、診断プログラム)
  4. JIS第1水準漢字ROM標準搭載(128KB)/JIS第2水準漢字ROMオプション(128KB)
  5. メインRAM:256KB
  6. VRAM(メインRAMと共有):MP-1642は64KB/MP-1645は192KB
  7. テキスト画面:40文字×20行、40文字×25行、80文字×20行、80文字×25行
  8. グラフィック画面:640×400ドット 2画面、640×450ドット 1画面
  9. 画面表示色:MP-1642はモノクロ/MP-1645はカラー(8色、ドット単位で色指定可能)
  10. 補助記憶装置:5.25インチ2HD FDD(両面高密度:1MB)または 8インチ2D FDD(両面倍密度:1MB)
  11. 5.25インチ FXD(オプション)
  12. キーボード:JIS配列準拠、分離型
  13. オプションI/Oスロット(計5スロット):MP-1601,1602:4スロット使用可能(1スロットをFDDインターフェイスカードで占有)/MP-1605:3スロット使用可能(2スロットをFDDインターフェイスカードとメモリーカードで占有)
  14. インターフェイスカード:FDD、RS-232C、プリンター、拡張用インターフェイス(5.25インチハードディスクユニット接続用)
  15. OS:CP/M-86、MS-DOS、コンカレントCP/M

640×400ドットと当時としては高解像度のビットマップグラフィック画面を備え、ROM BASICマシンではなくスタンドアローンで動作するOSマシンとしてデザインされた日本では最初のビジネスパソコンであり、本シリーズのOSで用いる日本語文字コードとしてシフトJISが三菱電機の提案で制定されるなど、その後の日本におけるビジネスパソコンの方向性を決定づける様々な仕様が盛り込まれていた。

本シリーズは当初、パーソナルユースからビジネスユースまで幅広い展開を期して商品展開が行われた。だが、ROM BASICを搭載せずフロッピーディスク上でのOS使用を前提とするなど、その後のパソコンの発達史からすれば正攻法のシステム構成は、当時の市場においてはあまりに重装備かつ高価であったことから、当初の手厚いソフトウェアサポートにもかかわらず、幅広く受け入れられるには至らなかった。

しかも、ビジネスとしては後発のNEC PC-9800シリーズが内部バスの完全な16ビットアークテクチャ化やグラフィック表示機能の高速化と いった本シリーズの弱点を補うアーキテクチャを備えて発表され、BASICマシンとしては先行するPC-8801シリーズとの一定の互換性を有し、周辺機器についてもPC-8801用のものの大半が流用可能で、なおかつ本体も充分に廉価な価格設定であった。この結果、性能と価格、それにソフトウェア・ハー ドウェア資産の継承の3点でPC-9800シリーズに劣った本シリーズは一般市場向けパソコンとしては事実上の失敗に終わり、以後は三菱グループの各社で 使用される程度にとどまった。

シリーズとしては8086-2搭載で完全に16ビットアーキテクチャ化されたMULTI 16 II、その後継で本体に5インチ2HDフロッピーディスクドライブが内蔵されたMULTI 16 III、Intel 80286を搭載し輸出向けPC/AT互換機との設計共通化が進んだMULTI 16 IV、と続き、それぞれMULTI 16 II・IIIの筐体に初代機と同等の機能を備えた廉価版のMULTI 16 カスタム・MULTI 16 Sも販売されたが、1987年発売開始のAX規格準拠パソコンMAXYと交代する形でシリーズ終了となった。

本シリーズはデスクトップモデルのみの展開であり、ラップトップモデル(後継機種であるMAXYでは提供された)やノートブックモデルといった可搬モデルは存在しない。

なお、MAXY発表直前に発表された三菱電機製PC/AT互換機であるM3300シリーズでは、一部モデルで本シリーズ用拡張カードのサポートが謳われていた。

※wikipediaより

Multiシリーズは、8ビット機にはMulti8がありましたが、Mluti16はMulti8と直接結ぶ上位機ではありませんから、周辺機器の流用はできません。東芝のPASOPIAにもいえましたが、これではユーザーは他社製品に流れるのもごく自然だった、ということです。PC-8801とPC-9801とではBASICに関してはマシン語レベルを除いて互換性があり、周辺機器の多くはそのまま利用できました。要するに、8ビット機と16ビット機との関係が実にうまく作れてあり、16ビット機への移行も自然と自社製品へと流れたということです。

良いパソコン悪いパソコン(大庭俊介著)では、「個人ユーザーはこんなパソコンに手を出してはいけない。耐久性が他社と違うといっているがどうせパソコンは5年もしないうちに陳腐化するものだ。他のパソコンを検討するべきだ」と結んでいました。

あとがき
MULTI16シリーズは熱意の低さも災いし、結局自社系列で使用されるに留まった。後に、AXパソコンを事業展開することとなり、MULTIシリーズはMAXYシリーズに後を譲った形に。
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