Oh!PCで連載されたPC-8001MK2機能拡張シリーズ

PC-8001MK2は、発売当初は人気があり、バックオーダー(最初の半年で5万台とか)を抱えていたほどでしたが、上位のPC-8801MK2が登場するとそちらへ流れていきます。これは、グラフィックス関係に機能が不足していることが大きな要因の一つでした。

当時刊行されていたOh!PCという月刊誌(ソフトバンク)では、PC-8001MK2のグラフィックス機能を拡張するためのBASIC命令語を追加する「PC-8001MK2機能拡張シリーズ」が連載されていて、PC-8801MK2用の独自Disk-BASICを作る企画であるスーパー88シリーズ(SS88)と並んで、かなり好評だったようです。追加された命令語は、タイリングペイント命令・タイリングライン命令が主で、グラフィックスが4色表示しかできなかったマシンですから、ユーザーから歓迎されたわけです。

タイリングペイントとは、現在ではすでに常識となっていますが、通常のペイント命令が単色で塗りつぶすのに対し、複数の色を混ぜて塗りつぶすように見せる方法です。これは、ドット毎に色を変えて模様のようにペイントさせる方式です。同じように、タイリングで線を引いたり、タイリングで円形を描く命令も同じ方法で行います。また、マシン標準の命令語よりも高速に動作するので、これもかなり受けたようです。

機能拡張シリーズで発表されたグラフィクス命令

PC-8801で使われていた命令語を移植したようなものですが、タイリング関係の他では、高速グラフィッククリア命令、高速グラフィック取り込み命令などがありました。また、PC-8801MK2で採用されたタートルグラフィックスやミュージック機能をPC-8001MK2で使えるようにさせた機能も発表されました。

また、ユーティリティとして、マシン語モニタ、各社から発売されていたプリンタで印刷させるソフト、キャラクタパターンエディタ等がありました。

開発者の小林秀一氏のところにはかなり応援や要望があったのですが、答えきることはできなかったようです。これは一人で毎月開発を行っていたわけなので無理もなかったのですが・・・。好評だった理由の一つはバグがなかったこととも関係しています(スーパー88シリーズはバグだらけだった)。

因みに、PC-8001MK2にはROMソケットが一つあり、ここにマシン語モニタを焼いたROMを搭載させることも考えていたようですが実現しませんでした。なおこの連載とは無関係でサードパーティからグラフィック命令を追加したROMやマシン語モニタのROMが発売されていたようですが詳細は分かりません。

PC-8001MK2でタイリングペイントをさせると・・・

PC-8001MK2のグラフィックス命令は、ハードウェアの性能に合わせたのか貧弱なものでした。さらに低速度でした。この連載で紹介された命令語を打ち込んで使うと、普通よりも早くペイントができ、しかもタイリングペイントができますから、色不足の問題はとりあえず解決しました。

最初の連載は、1983年9月から始まる予定でしたが、実際には10月からとなり(最初は高速画面クリア命令ともう一つは忘れた)、タイリングペイント命令は12月号で掲載されています。

しかし、実際問題として、好評だったとはいえ、何ページもあるマシン語プログラムのダンプリストを打ち込むのは大変な作業であったのはいうまでもありません。そのため、1985年と1986年にフロッピーに収録したプログラム集が発売され、一緒に収録されています。

但し、当時はまだディスクユーザーが少ない時代だったので、カセットテープ版を望む声も実際にありました。

PC-8000シリーズの終焉と共に・・・

グラフィックス関係の命令語を中心としたBASIC機能拡張はPC-8001MK2SRが登場する1985年初頭まで継続されました。それ以降は、文字通りSRシリーズの時代となったので、PC-8801MK2用の別企画スーパー88シリーズにもいえることですが、この連載企画ももはや意味をなさなくなってきていました。その頃にディスク版が発売されています。

その後キャラクタパターンエディタの発表の後はPC-8801MK2のグラフィックスの高速化命令が番外編的に発表されました。その後は休載という名目の元にいつの間にか終了となりました。読者の中には再開を望む声も少なくはなかったのですが、連載を再開させるほど題材もなくなっていたことに加え、担当者も熱意が薄れていた感もあります。実質的な終了は1985年9月。その後同年10月と11月にPC-8801MK2の記事としてマシン語モニタとグラフィックスの高速化が載っています。

作者の小林氏は1986年2月からMS-DOS機能拡張シリーズへと移行していきました。PC-8001MK2機能拡張シリーズは終了したのではなくネタ切れで苦しんでいるだけなので、良いテーマがあったら再開したい、とMS-DOS機能拡張シリーズ開始時書いていましたが、再開されることはなく終わりました。時期的にはPC-8000シリーズが終焉を迎え、NECとしては8ビット機はPC-8801シリーズに1本化させた時期と重なっておりユーザーも徐々に16ビットのPC-9801へと流れていく時期です。

購入前から前提とするなかれ

確かに、機能拡張シリーズによるグラフィック関係の機能拡張は大変なものですし、連載も好評だったのはうなずけます。しかし、PC-8001MK2のグラフィックス機能は320×200ドットで4色表示であり、オレンジ色でペイントしたいとすると、この状態でタイリングペイントを行ったら目が粗くてきれいなオレンジ色表示にならないのは無理もないのです。それなら上位のPC-8801MK2でタイリングペイントを行う方が余程きれいにできます(同時発色数の多さとドットの細かさ)。

それなら、最初からPC-8801MK2の方を選べばいいわけで、モデル10ならPC-8001MK2とは4万円の差ですし、漢字ROMはPC-8001MK2ではオプション(35,000円)なのに対し、PC-8801MK2では全モデル標準装備なので、そうなると価格差は2万円ほどでしかなくなります。

あとがき
確かにダメなやつほど可愛くなるという側面もあるのか、このシリーズは人気を博していた。確かにこうすればグラフィックスの貧弱な問題は解決できるのだが、機能拡張シリーズはすでにもっている人が致し方なく利用するもので、購入前から前提とするものではないといえる。そんなことを前提にパソコンを買う人はいないだろうが…。
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