PC-6001「パピコン」 ※1981/10発売

NECの初代パソコンはPC-8001だったが(TK80シリーズは含まない)、発売から約3年後に兄弟機種を発売した。それが、PC-8801とここで取り上げるPC-6001だ。

1981年に発売開始、定価は89,800円。日本国外はイラクの国営メーカー、「Al Warkaa」がアラビア語版のPC-6001を発売している。

パピコンの愛称で親しまれたので、覚えている人も多いだろう。CMのイメージキャラには俳優の川津祐介を起用。

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PC-6001スペック

  1. CPU
    メインCPUμPD780C-1(Z-80Aコンパチブル)4MHz
    サブCPU:μPD8049
  2. ROM
    N60-BASIC(Microsoft 16K BASIC)16KB(最大32KBまで拡張可)
  3. RAM
    16KB(最大32KBまで拡張可)
  4. 表示能力
    スクリーン構成:32文字×16行
    文字構成テキスト表示:32桁×16行
    文字及びグラフィック記号(248種)
  5. グラフィック機能
    256×192ドット(白、緑の2色の組み合わせ)
    256×192ドット2色
    128×192ドット4色1画面(RAM拡張時は最大3画面)
    64×48ドット(カラー9色セミグラフィック)
    カラー機能:9色(黒、青、赤、マゼンタ、オレンジ、緑、シアン、黄、白)
    グラフィックスと文字の混在可
  6. 音声出力
    8オクターブ3重和音
  7. キーボード
    JIS標準配列準拠、コントロールキー、5ファンクションキー
  8. カセットI/F
    FSK方式(600、1200ボー)
  9. プリンタI/F
    パラレルI/F内蔵(セントロニクス仕様に準拠)
  10. シリアルI/F
    RS232C仕様準拠、オプション(300、600、1200、2400、4800ボー)
  11. FDD I/F
    5インチFDD接続可
  12. CRT
    デジタルRGB
    モノクロディスプレイ
    RFモジュール(家庭用テレビ)
  13. カートリッジスロット
    1個内蔵、増設可
  14. ジョイスティック
    ATARI仕様のものを2個接続可
  15. 電源
    AC100V±10%、50/60Hz、25W
  16. 寸法
    416(W)×273(D)×90(H)㎜
  17. 重量
    約4.3kg
  18. 発売年
    1981年10月
  19. 本体標準価格
    89,800円

PC-6001の特徴

アイボリーとブラウンを基調としたプラスチック製の筐体に、オレンジ色の特殊キー群をアクセントとしたポップなデザインで、楽しそうなイメージを演出。ただキーボードはプラスチック製とはいえ、キャラメルキーボードと揶揄されることもよくあった。性能的には当時の家庭用としては画期的だった8色のカラー表示、ひらがな表示、三重和音も可能なPSG音源、ジョイスティックI/Fを内蔵。標準搭載ゲームはカートリッジをカセットポン!で差し込めばすぐにできることなどが特徴だった。

本体のキーボードは、全てのキーが横長の直方体に近い形で、相互に離れて並んでいる独特の形状である(輸出用の6001Aは通常のキーボード)。これは、アプリケーションごとにオーバーレイシートを載せて使うことを意図したもので、かなキーの横に赤いランプがあり、かな入力モード時に点灯するようになっている。

VDP(ビデオプロセッサ)はモトローラのMC6847とモジュレータを採用し、 映像出力はテレビ接続を用いたためあまり鮮明なものではないが、色のにじみを逆手にとって表現力を高めるというApple IIなどと類似のテクニックがよく使われていた。VRAMは主記憶上に配置され、最大2画面分もつことができ(うち1画面はテキスト専用、RAMを拡張すると最大4画面分)、画面(ページ)を切り替えながら使えるという当時としては珍しいものだった。画面数は、BASICの起動時にHow many pages?という問い合わせがあり、ユーザーが1?4の数字を入力することで設定する。なおPC-8800シリーズなどとは異なり、テキストとグラフィックの重ね合わせは不可(グラフィックモードでの文字表示はグラフィックとして描画)。

カートリッジスロットを1個持ち、RAMを32Kバイトまで拡張可能。純正なオプションとしては、拡張ユニット(カートリッジを複数接続可能とする、背面にFDD I/Fを持つ)、拡張BASICカートリッジ(ディスク関係のBASIC命令の強化や、CIRCLE/GET/PUTなどの拡張)、フロッピーディスクユニット(FDD。5.25インチ、片面倍密度)、ボイスシンセサイザー(音声合成)等があった。

いうまでもなく、サードパーティからはいろいろなソフトやハード、出版社などからは入門書も多数発売され、すがやみつるのパソコン入門漫画「こんにちはマイコン」の教材ともなり、多くのパソコン少年が育った。後に開発されるMSXは当機の強い影響を受けている。但し、NECとしてはMSXは敢えて出さず、1985年12月に8ビット機をPC-8801mkIIに一本化するまでシリーズを継続している。

寸評:ホームパソコンの先駆けマシン。

本機の用途は主にゲームではあったが、それ以外にもいろいろなソフトが開発された。PC-6001はパソコンを購入する敷居を下げたという点でも、ホームパソコンの先駆けといえる。
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