「またしても進歩はNECから。」
このシリーズから、 NECではイメージキャラとしてタレントの武田鉄矢を起用している。中学生・高校生が販売対象であることと関係しているようだが、幾ら中学高校生とはいえ、タレントのイメージでPCを買う程馬鹿ではない。
なお、前機種の愛称だった「パピコン」の名は本機には引き継がれなかった。
PC-6001MKIIスペック
- CPU
メインCPUμPD780C-1(Z80A相当品) 4MHz
サブCPU4MHzμPD8049 8MHz - ROM
BASIC+マシン語モニタ32KB、漢字ROM32KB、キャラクタジェネレータ16KB - メインRAM
64KB、但しテキストエリア最大32KB - ビデオRAM
1ページ2KB、2~4ページ16KB - BASIC
N60m-BASIC,N60-BASIC,N60-拡張BASIC
※N60m-BASICは本機にしか搭載されていない。PC-6601以降は、N66-BASICという名称になった(主な違いは歌う機能の有無)。 - 表示能力
40桁×20行
表示文字496種1024字 - グラフィック表示
320×200ドット4色
160×200ドット15色最大3面
80×40ドット15色セミグラフィック - 漢字表示
教育用漢字1024文字
JIS第一漢字オプション(カートリッジスロット) - サウンド
PSG8オクターブ3重和音 - 音声合成
任意語合成出力2オクターブ、2音 - キーボード
JIS標準配列準拠、コントロールキー、5ファンクションキー、キャピタルロック可 - モニタ
RGB
モノクロディスプレイ
RFモジュール(家庭用テレビ) - カセットI/F
FSK方式600、1200ボー - FDD
接続可(1D) - プリンタI/F
セントロニクス準拠 - RS-232CI/F
オプション - カートリッジスロット
1個、増設可 - ジョイスティック
ATARI仕様x2個接続可 - スーパーインポーズI/F
PC-60m54専用 - 外寸
365(W)×360(D)×87(H)㎜ - 重量
3.3kg - 添付品
取扱説明書、Nm60-BASICマニュアル、Nm60-BASIC活用書、CMTケーブル(PC-6093)、テレビモニタ用ケーブル(Video,RF用PC-6092)、ソフトウェアカセットテープ(デモンストレーション、英文カナワープロ、グラフィックジェネレータ、ミュージックコンポーサー、ゲーム)、保証書 - 本体価格
84,800円 - 発売
1983/6
機能を盛り込んだコンセプト
PC-6001に対し、PC-6001MKIIではキーボードが通常タイプのものに変更され、デザインも一転して硬質になった感がある。また比較的コンパクトな大きさになり、カラーリングは共にシルバーとアイボリーが用意されている。
グラフィックス機能はアナログ出力に変更されたことで、専用ディスプレイ使用時は最大15色表示が可能となった。これによって色のにじみが解消された為、にじみを逆用して擬似的に着色していたソフトは白黒表示(本来は白黒が正常)となってしまった。ページ切り替えのシステムも継承されている(最大4画面、うち1画面はテキスト専用)。また、通常の英数字・カタカナ・ひらがなのキャラクタセットとは別に、絵文字のキャラクタセットが追加された。また、漢字ROM搭載により、教育漢字を含む1,024種の漢字をグラフィックで表示できるようになった。この漢字ROMには、都道府県所在地の市名も入っており、如何に教育を重視していたか物語っている。
PC-6001のさまざまなハードウェア構成(拡張BASICの有無、拡張RAMの有無)と互換性を持たせるため、起動時にBASICのモード(1-5)を選択する以下のようなメニューが表示される。
N60-BASIC (RAM 16K)
N60-BASIC (RAM 32K)
N60拡張BASIC (RAM 16K)
N60拡張BASIC (RAM 32K)
N60m-BASIC (RAM 64K)
モード決定後はページ数(前述)の入力があり、FDD使用時はさらに最大ファイル数 (How many files?)と3回も入力してようやくBASICのプロンプトに入る。
160×200ドット15色という画面モードは、程良い解像度の低さで処理速度を稼ぐことができ、吟味された15色は豊かな色彩を提供したため、独特な味のある優れたゲームソフトが多数制作されていた。
カートリッジスロットにカートリッジを差し込むだけでゲームができるのは旧PC-6001から引き継がれている。
この価格帯のマシンでは珍しい拡張スロットが用意されており、Oh!PC連載のPC工作入門などで企画された自作ボードの取り付けもできた。
スーパーインポーズ機能
テレビやビデオの画面とパソコンの画面を合成する機能で、合成画面のビデオ録画も簡単にできた。これを実現するためのスーパーインポーズユニット(PC-60m54)は5万円ほどの価格だった。
NECはもっとも低価格なシステムとしてカタログなどでアピールしたが、グラフィックス機能を考えればやはりPC-8801MKIIの方で実現するべきだった。
CRT表示等
これまで通り、家庭用テレビにも接続できるが、専用CRTを使う方がきれいになる。グラフィック画面は320×200ドットで4色だが、160×200ドットなら15色表示できる。
サウンド機能はPSG音源で、内蔵の音声合成により日本語を発声でき、しかもBASICからコマンドで簡単に発声内容を作ることができる(音声合成機能自体は、PC-6001にもオプションで提供されていた)。
PC-8001MKIIに迫った弟機
上位機であるはずのPC-8001MKIIにはサウンド機能や15色表示はないし、漢字ROMもオプションなので、こうなってくると兄機を上回った弟機、ということもでき、PC-8001MKIIの存在は明らかに中途半端なものとなってしまった。
なお、FDDには従来の5.25インチFDDの他、後に3.5インチのものも用意された。
このパソコンが発売された5ヶ月後にはPC-6601が発売され、こちらはディスク内蔵で、音声合成は歌うこともできるようになったので、どうせならこちらのPC-6601を考えた方が良いだろう。
寸評:パソコンの楽しさを味わってもらうという姿勢は評価できる。