「先進の、ワイヤレスキーボード&テレビパソコン。」
PC-6601SRは、スーパーインポーズとテレビコントロール機能を搭載して、「六本木で流行っているMr.PC」という愛称がつけられた。
当初NECの証券番号に因み「PC-6701」の名前が予定されていたが、六本木六丁目計画が具体化し「PC-6601SR」となった。イメージキャラは引き続き武田鉄矢が起用された。
PC-6601SRスペック
- メインCPU
μPD780C-1 Z80Aコンパチブル クロック3.58MHz - サブCPU
μPD8049カセット、RS-232C入出力。
μPD80C49:タイマー、テレビコントロール、リモコン受信。
μPD80C49:キーボードスキャン、リモコン送信 - ROM
N66SR-BASICインタプリタROM:32kバイト
N66-BASICインタプリタROM:32kバイト
漢字ROM:32kバイト(1024文字)
キャラクタジェネレータROM:16kバイト
音声合成、番組予約他ROM:32kバイト - RAM
メインRAM/VRAM:64kバイト(共用)
FDバッファRAM:2kバイト - 表示能力
N60-BASIC、N60-拡張BASICモード/N66-BASICモード/N66SR-BASICモード
■文字モード
40文字×20行、15色
40文字×25行、15色
80文字×20行、15色
80文字×25行、15色
■15色グラフィックモード:320×200ドット、15色
■4色グラフィックモード:640×200ドット、15色中任意4色
■キャラクタジェネレータ
N60-BASIC、N60-拡張BASICモード:256種類
N66-BASIC、N66SR-BASICモード:456種類 - マイクロフロッピィディスクドライブ
片面倍密度倍トラック(1D)1ドライブ標準装備(本体内2ドライブ内蔵可) - キーボード
JIS標準配列準拠。コントロール、特殊キー、カーソルキー、5ファンクションキー。赤外線ワイヤレス接続。カールコードケーブル接続可 - パラレルI/F(プリンタ)
セントロニクス社仕様準拠 - シリアルI/F
RS232C準拠、オプション - スーパーインポーズ
I/F内蔵(PC-TV151用) - カートリッジスロット:あり(増設可)
- 音楽機能
PSG+FM音源内蔵ワンチップLSI。3和音+3和音 8オクターブ。スピーカ内蔵。 - 音声合成任意語合成出力
音階機能付、2声 - 外形寸法(㎜)
本体 360(W)×345(D)×90(H)㎜
キーボード 330(W)×195(D)×32(H)㎜ - 重量
本体5.4kg
キーボード0.92kg (電池別) - 本体価格
158,000円 - 添付ソフト (マイクロフロッピーディスク3枚)
日本語ワードプロセッサ (例文集付)
ユーティリティ
ゲーム「ミッド・ナイト・マジック」 (DAVID’S MIDNIGHT MAGIC※)
ミュージックシステムソフト「MUSIWRITER (ミュージライタ)」
ビデオテロッパ作成ソフト
※DAVID’S MIDNIGHT MAGICは米BRODER BUND社の登録商標です。
PC-6001MKIISRとの違いは内蔵FDDとテレビコントロールの有無のみ
下位のPC-6001MKIISRと比べた場合、1D(160KB)のFDDが搭載されたことでがぜん使いやすくなっている。セパレート型で、この上に専用のディスプレイテレビを載せるとちょうど良い大きさになる。カラーはワインレッドとブラックメタリックが用意されており、専用ディスプレイテレビも同じである。
添付のワープロは、東海クリエイトのユーカラと同じもので、フロッピーに漢字と辞書データが入っているので、JIS第一水準漢字ROM搭載しなくても日本語変換に問題はないようだ。
本体内蔵漢字ROMは1024文字なので、ちょっと変わった地名になるとひらがな書きに変わってしまう。オプションのJIS第一漢字ROMを搭載することもできるが、この場合は本体漢字ROMと置き換える形になる。但しこれはあくまでも付録でありビジネスにも利用できる、なんて考えないことだ。
スーパーインポーズは前モデルのPC-6601もオプション機器を取り付ければ可能だったが、本機からは標準装備となった。但し、専用ディスプレイテレビ「PC-TV151」を使うことが必須条件である。
キーボードと本体が赤外線ワイヤレスなのも売りだったが、赤外線の指向性は強くしっかり本体に向けなければならない(ケーブル接続も可)。
FDDを接続すると下位機種のPC-6001MKIISRの方が高くなるとはいえ、本体価格は安いしFDDを接続すること自体例外なので、PC-6001MKIISRの方が売れていたというショップもあったという。
PC-6001MKIISRとのFDD互換性
PC-6001MK2SRとは互換性があるのはいうまでもないが、FDDに関しては外付けFDDと内蔵FDDでは、BASICやROMを介さずに直接FDDを操作する場合、両者に互換性はない。これは、外付けFDDではFDDに内蔵されたCPUを介してFDDを制御するのに対し、PC-6600シリーズの内蔵FDDではコスト削減のためPC側のCPUが直接FDDを制御しているためである。もっとも、PC-6001MK2SRにFDDを接続すること自体例外で、これが問題になったのは市販ソフトでコピープロテクトがかかっている場合やCP/Mを稼働させる場合に限定される。このクラスのマシンでCP/Mを稼働させること自体例外中の例外だから、全く問題になることはなく、ほとんど知られていないことだった。
PC-6601SRはオリジナリティがない
BASICモードが5個もあるのは下位機種と同じで、互換性を保つためとはいえ、このパソコンを買った人が次もこのパソコンを買うだろうか。
スーパーインポーズは当時人気があったシャープX1シリーズの後追いだし、ワイヤレスキーボードはJX(かつて日本IBMが個人向けに作ったが売れなかったマシン)で採用されていたもので、オリジナリティはほとんどなかった。
1985/8頃まではNECも力を入れてCMをバンバン流していたが、以降CMはパッタリ流れなくなった。NECではPC-6601SRとMSX2規格を合体させたマシンが計画されていたが中止された。すでにPC-8800シリーズや他社の上位8ビット機に主流が移っており、PC-6600シリーズの開発は終了した。
寸評:X1の後追いだけでは苦しい