迷機、PC-8001mk2 栄光のマシンも時代遅れ

「名機、PC-8001の後継パソコン。」

1983年に発売されたPC-8001MK2は文字通りPC-8001の二代目マシンで、これまでのソフトがそのまま使える、というのも一つの宣伝文句でした。

何が変わったのか、という点ではデザインの多少の変更(キーボード部分が薄くなる)、インタフェースの追加(RS232C、フロッピー、拡張 スロット2個)、グラフィックス機能の追加、漢字ROM搭載可能、といったところです。

BASICモードはPC-8001のN-BASIC、PC-8001MK2用のN80-BASICを1個のROMで共用しています。N80の方はグラフィックス機能を搭載させたもので、グラフィック関係の命令語は頭に「CMD」という文字がついていることが特徴です。

テレビCMでは、「名機、PC-8001MK2」等と頻繁に流されましたが、他社の同価格帯マシンと比較すると性能もコストパフォーマンスもかなり悪く、今からすれば「迷機、PC-8001MK2」と言った方がふさわしく思います。

PC-8001MK2スペック

  1. CPU:Z80A相当品を4MHzで稼働。
  2. ROM:N-BASICとN80-BASICを搭載
  3. メインRAM:64KB
  4. ビデオRAM:16KB
  5. テキスト表示40桁×20行/80桁×25行 ※切り換えて使用
  6. グラフィック表示640×200ドット2色表示(モノクロ)/320×200ドット4色表示
  7. シリアル:RS-232C
  8. プリンタ:セントロニクス社仕様
  9. フロッピードライブ:2Dのものが接続可能
  10. カセット:300ボー
  11. 汎用I/O(独自規格でありアタリ社仕様ではない)
  12. CRT出力デジタルRGB
  13. モノクロディスプレイ(ライトペン接続可)
  14. 拡張スロット2個搭載
  15. 漢字表示:JIS第一水準漢字ROM(オプション、本体内専用スロットに実装)※グラフィック画面に表示
  16. PC-8001MK2本体価格:123,000円

もう一つのキャッチコピーは、「ソフト数千、高感度パソコン。」であり、「名機、PC-8001の後継パソコン」と一緒にカタログや雑誌広告で使われていました。

以下に書くように、グラフィックスやサウンド機能は同価格帯8ビット機である富士通のFM-7と比べ、大幅に劣るものの、NECのパソコン、ということからか、人気を二分していました。

1.グラフィック画面が追加されたが・・・

当時のマシンは、テキスト画面とグラフィックス画面が別々になっていて、画面合成することが可能でした(テキスト画面が上)。下位のPC-6001では曲がりなりにも実現していましたが、今回PC-8001MK2でも実現されました。但し、このグラフィックスは、NECから発売されていたものではなく、PC-8001用として、サードパーティから発売されていたものと同等品です。

とはいえ、640×200ドット画面で2色表示、320×200ドットで4色表示であり、当時の同価格帯のマシンに比べると明らかに見劣りがしています(当時の8ビット機は640×200ドット時8色表示が標準)。これは、上位のPC-8801との競合を避けようとしたという人もありますが、いうまでもなくBASICのグラフィックスの命令語は明らかに貧弱でしたから、このことは他社のマシンに大きく水をあけられることになりました。

月刊マイコン1983年4月号のメーカー担当社員インタビューでは以下のように述べています。

640×200ドット8色表示グラフィックスに対応しなかったのは、市販の320×200ドット4色表示のアプリに対応するためとコストの問題があった。

ユーザー定義文字機能は設計段階では考慮したが、コストの問題で見送った。

2.サウンド機能がない

PSGと呼ばれるサウンド機能が標準的でしたが、サウンド機能がなく、貧弱なBEEP音しか使えない状態でした。中には、BASIC-ROMを解読して音楽演奏させた強者もいますが、BEEP音で音楽演奏しても全くつまらないものだったのではないでしょうか。

やはり月刊マイコンの担当者インタビューでは担当社員インタビューではコストの問題から見合わせたが拡張スロットを使えば容易に搭載できると述べています。

栄光のマシンも時代遅れと揶揄される

接続インタフェースとしてはRS-232C、プリンタ、汎用 IOポート(ジョイスティック用等)、拡張スロットが2個、漢字ROM専用スロット、カラーディスプレイ、モノクロディスプレイ(ライトペン接続可能)が揃えられました。キーボードの配列は、リターンキーが小さい上、カーソル移動キーがシフト変換なのでブラインド入力がしづらい面があります。カラーリングはPC-8001と同じですがデザインは拡張スロットが搭載されたのでその分縦が広くなり、キーボード部は薄目になっています(どちらかというと古くさいデザイン)。

しかし、シリーズ全体で見れば何度も指摘するとおり、特にグラフィックス関係の機能はハードウェア・ソフトウェア共に時代遅れで、このマシンを買ったら後で上位機にしておけばよかったと後悔するのは目に見えていました。

また、汎用I/Oポートはアタリ規格の形状をしていますが、ピンアサインを合わせなかったため、アタリ規格のジョイスティックなどの接続ができず、「先見の明がない」といわれても仕方のないものでした。

フロッピーを購入するとPC-8801MK2よりも2万円以上も高くなる...!

同年にはPC-6001MK2が登場してPC-8001MK2に迫ってきたのですが、下位機種とはいえ、音楽演奏もできないよりはできる方がまし、というものでしょう。

以下は良いパソコン悪いパソコンに書かれていた項目なのですが、重要なことなので趣旨を失わないようにまとめておきましょう。

また同年秋にはPC-8801MK2が登場しますが、モデル30の価格はフロッピードライブ搭載機であり275,000円です。一方、PC-8001MK2の本体価格は123,000円ですが、フロッピードライブの値段は168,000円であり、合計291,000円になり、これに接続ケーブルとディスクBASICが必要ですから、PC-8801MK2よりも2万円以上も高くなってしまいます。つまり、PC-8001MK2を本体価格の安さで買った人はフロッピーがほしくなった時に後悔する仕掛けになっています。PC-8801MK2の方が性能が格段に上なのだから、PC-8001MK2を買った人のことをメーカーはどう思っているのか問いかけたいし、ユーザーが遅かれ早かれ、フロッピーを使うことは分かり切っているはずでしょう。また、PC-8801MK2のモデル10やモデル20を買ったユーザーには組み込み専用のフロッピードライブ(1ドライブあたり60,000円)が用意されていて、下位のPC-8001MK2用の機器よりも安く買えるということになっているし、提供されるオプションやハードも圧倒的にこちらの方が豊富という有様でした。

※漢字ROMはオプション取り付けなので、そうなると全モデル標準搭載のPC-8801MK2と比べ、たとえばモデル10と比較すると2万円程度しか差がなくなります。

あとがき
発売当初はモデルチェンジ機、ということでバックオーダーを抱えるほど人気を集めたものの、その後PC-6001mk2/PC-6601の登場で下位機種にも性能面で著しく見劣りし、さらにPC-8801MK2の登場で中途半端な性能が目につき、完全に存在意義がなくなってしまった。また、ソフトが充実している、というのも宣伝文句だったが、PC-8801MK2発売後は何処のPCショップにもPC-8001MK2用ソフトは置かれなくなっている。
関連記事