現在のノート型パソコンのご先祖中のご先祖様、といえるのはハンドヘルド型コンピュータと呼ばれるもので、この分野ではエプソンが強く、1983年にその存在を知ったのだが、レシートくらいの大きさに印刷できる小型プリンタが内蔵されていたのは印象的だった。
NECからは、ポケットコンピュータPC-2001が発売されていたが、PC-8201は京セラがOEMしたハンドヘルドパソコンである。
但し、用途は専用ソフトが少なかったこともあり、バーコードリーダーを接続してデータ収集機として使うことが主なものだったようだ。
PC-8201スペック

- CPU
80C85(8085のCMOS版)約2.4MHz - ROM
CMOS ROM 32KB標準装備 - 拡張ROM
32KB(本体内実装) - RAM
CMOS RAM 16KB標準実装/最大RAM容量64KB(本体内実装 8KBごとの増設) - 液晶画面
LCD。有効表示面積:191.2(W)×50.4(H) - テキスト表示
40文字×8行 - グラフィックス表示
240×64ドット - ブザー
圧電式ブザー仕様 - CMT
(カセット)600ボー(フォーマットN-BASIC仕様準拠) - シリアルI/F
RS232C準拠(±5V)。パリティNON 偶数 奇数75/150/300/600/1200/2400/4800/9600/19600ボー - プリンタI/F
セントロニクス社仕様 - バーコードリーダI/F
HP社仕様インタフェース1ch標準装備(コントロールプログラムはオプション) - システムスロット
ROMカートリッジ
RAMカートリッジ(32KB)
CRTアダプタ
外部拡張用インタフェース - 電源
3電源方式。単3電池×4本/専用Ni-Cd電池パック(3電源方式)/ACアダプタ - 温湿度条件
0~35℃、20~80%RH(ただし結露しないこと) - 外寸
300(W)×215(D)×35(H〔前部〕)㎜(H〔後部〕)61㎜ - 重量
約1.7kg - 発売
1983/2 - 価格
138,000円
カラーリングはメタリックシルバー、アイボリー、ワインレッドの3色が用意された。
別途オプションのグラフィックス表示は、拡張ボックスを購入して、そこへ320×200ドット4色表示させるためのボードが別売され、JIS第一水準漢字ROMも組み込めるようになっていた。そうすれば、N80-BASICで利用できたようだ(詳細不明)。拡張ボックスのカードはPC-8001MKIIのものと同じ。
オプション
- インテリジェントテレホン:PC-8269
モデムと電話機を一体化。価格80,000円。取り付け工事費は含まない。 - 音響カプラ:PC-8268
ハンディ型で、持ち運んで使用可。価格48,900円
ハンドヘルド型の分野ではEPSONに軍配が上がっていて、PC-8201はモデルチェンジ自体行われることもなく終了した。
PC-2001
ポケットコンピュータで、大きさは葉書と同サイズ。CPUにはμPD7907が使われている。文字行は液晶画面2行のみの表示。プリンタには PC-2021が用意され、本体とプリンタ両方を合わせても1kg程度と軽かったようだ。なお、内蔵BASICはN-BASICとの互換性も高く、収集したデータを上位機で使うことができることが説明されていた。
画面は40文字の2行表示でカナ表示も行える。BEEP音だが31音階の音楽機能もあった。
- CPU
μPD7907を4MHzで稼働 - ROM
20KB。N20-BASIC - RAM
8KB。最大16KB - テキスト表示
40桁×2行。かな表示(5×7ドット) - サウンド
BEEP音。31音階可 - 寸法
(W)225×(D)130×(H)32㎜ - 重量
600g - 電源
単3電池×4 - 消費電力
0.1W - 発売
1982/12 - 定価
59,800円
ポケットコンピュータの分野ではシャープの方に軍配が上がっており、どれだけユーザーがいたのが疑問だ。
PC-2001とPC-8201はいつ頃まで発売されていたのか正確には分からないが、PC-8801MK2FR/MRが発売される1985年11月より早く生産終了となっていたと思われる。
寸評:存在自体が不思議だ
メモ
PC-8201はバーコードリーダーを接続してデータ収集に使う位しか用途がなく、存在自体が不思議なラインナップだった。どちらもいつの間にか消えていったマシンである。