PC-8801MA/FA ※1987/11発売

PC-88VAが登場して、いよいよPC-8801も16ビット機に変わったのか、と思われたが、PC-88VAが思ったほど売れなかったのか、NECは再び8ビット機を出してきた。

今回のモデルチェンジでは、すべてFDD内蔵モデルとなり、サウンド機能の強化で、FM音源6重和音+リズム6音+SSG音源3重和音+ADPCM1声の演奏が可能となった。

グラフィックスは変わらず、640×200ドット時512色中8色表示のみだ。ビデオアートボードを取り付ければ320×200ドット65,536色表示が可能となるが、これくらいは標準装備としてほしかった。

デザインやソフトウェアディップイッチの機能は変わりない。なお、今回からは全機種FDD内蔵モデルのみのラインナップとなった。

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PC-8801MA/FAスペック

  1. CPU
    メインCPU:μPD70008AC-8(Z-80Hコンパチ、8/4MHz切り替え)
    サブCPU:μPD780C-1(ディスクコントロール、4MHz)
  2. ROM
    メインROM:BASICおよびモニタ、他128KB
    サブROM:ディスク・コントロール用:2KB
    漢字ROM:256KB
    辞書ROM:512KB※MAのみ
  3. RAM
    メインRAM:MAは192KB。FAは64KB。
    ※スロット内増設可能(32KB単位でバンク切り替え)
    テキストエリア:32KB
    変数・ワークエリア・テキストVRAM:31KB
    VRAM:48KB
    テキストVRAM:4KB(ハイスピードモード時のみ使用)
    サブRAM:ディスク入出力用バッファ・ワークエリア 16KB
  4. テキスト表示
    80文字×25行、80文字×20行、40文字×25行、40文字×20行
    ※いずれかを選択可
    文字及びグラフィック記号(248種)
    キャラクタ単位にアトリビュート設定可。リバース、ブリンク、シークレット、カラー8色(デジタルRGBディスプレイ使用時)または512色中8色(アナログRGBディスプレイ使用時。N-88BASICのV2モードのみ可能)
  5. カラーグラフィックス表示
    640×200ドット1画面
    512色中8色(アナログRGBディスプレイ使用時)※V2モード動作時
    8色(デジタルRGBディスプレイ使用時)
    ※ドット単位に指定可
  6. モノクログラフィックス表示
    640×400ドット1画面(専用高解像度ディスプレイ使用時)
    640×200ドット3画面
    ※いずれかの画面を選択
  7. 画面合成
    可(グラフィックス画面にテキスト画面の上が来る)
  8. バックグラウンドカラー
    512色中1色指定可(アナログRGBディスプレイ使用時)※V2モード動作時
    8色中1色指定可(デジタルRGBディスプレイ使用時)
  9. ビデオ出力
    R.G.B セパレート出力方式(TTL、カラー)
    アナログRGB出力(75Ωアナログ、カラー)
    家庭用TV(別売TVアダプタ経由)に接続可
  10. 漢字表示標準装備
    JIS第一水準漢字2965種,非漢字約700種
    JIS第2水準漢字3,384字
    画面構成:40文字×20行
    文字構成:16×16ドット
    ※グラフィックス画面に表示
  11. キーボード
    JIS標準配列テンキー、コントロールキー、10ファンクションキー、キャピタルロック可、HELPキー、COPYキー。セパレートタイプ(本体とカールケーブルにより接続)
  12. FDD
    MA:2HD/2DのFDDを2台内蔵
    FA:2DのFDDを2台内蔵
  13. オーディオ出力
    FM音源6和音(各音ごとに49種の音色指定可)※ステレオ
    リズム6音※ステレオ
    SSG音源3和音(GI社PSGコンパチブル)
    ADPCM1声(30~120秒録音再生機能)
    ※音源チップ(OPNA)にヤマハ(YM2608)を搭載
    スピーカー内蔵。
    LINE端子(2ch)、LINE OUT端子(2ch)付
  14. 拡張スロット
    MAは2個。
    FAは1個。
    ※PC-8012/13、PC-8801、PC-8001MKII上位コンパチブル。
  15. CMT(カセット)I/F
    オプション。300ボー/1200ボー切り換え式。
  16. カレンダ時計
    月、日、時、分、秒。NiCd電池でバックアップ
  17. 電源
    AC100V±10%、50/60Hz
  18. 消費電力
    平均54W(model30)、最大90W
  19. 使用条件
    10~30℃,20~80%(但し結露しないこと)
  20. 外寸法
    本体:385(W)×343(D)×110(H)㎜
    キーボード:462(W)×194.5(D)×33(H)㎜
  21. 重量
    本体:8.5kg
    キーボード:1.5kg
  22. 主な添付品
    キーボード、電源ケーブル、ユーザーズマニュアル、リファレンスマニュアル、リファレンスブック、システムディスク、デモディスク、お客様登録カード、保証書他
  23. 希望小売価格
    PC-8801FA:168,000円
    PC-8801MA:198,000円
  24. 発売
    1987年11月

前機種向けオプション発売

※MH/FH以前の機種のユーザー向けに、サウンドボードⅡが発売されました。

■PC-8801-23 サウンドボードII 39,800円
FH/MH以前の機種で利用できるFM音源ボード。使用音源はOPNA(YM2608)で、単体でFM音源6重和音+リズム6音+SSG音源3重和音+ADPCM1声の演奏が可能。拡張スロットに実装。

■PC-8801-24 サウンドボードII 39,800円
FH/MH専用FM音源ユニット。
使用音源はOPNA(YM2608)で、単体でFM音源6重和音+リズム6音+SSG音源3重和音+ADPCM1声の演奏が可能。本体内蔵OPNとは排他利用。専用スロットに実装。

サウンド機能を駆使するには別売ソフト「インスタントミュージック」や市販ソフトを使わないとまず無理だ。

8ビット機終焉の予兆

ソフトとして、内蔵辞書ROMの日本語変換に対応したBASIC(MAのみ)、キーボードトレーニングプログラムが添付されている。すでにハード的に改良するところがなくなってきたため、ソフトウェアに力を入れたというのが実情のようだ。

FAではデジタルRGB端子が廃止された。また、FAでもFDD搭載モデルのみ発売となったこともあり、カセットインタフェースは廃止され、オプション扱いとなった。

サウンド機能は当時としては素晴らしいもので、この機能は後に、PC-98GSやPC-9821/A-MATEシリーズにも採用されている。

このマシン前後から8ビット機市場ではPC-8801の一人勝ちになってきており、価格もさらに安くなって買いやすくなっている。

とはいえ、メーカー各社は8ビット機からは相次ぎ撤退する中、NEC・富士通・シャープのパソコン御三家が何とか8ビット機を発売している、という状況であり、すでに8ビット機の終焉が近づいているのは明らかだった。

寸評:平凡な多数決

PC-8801MA/FAは入門機としてはソフトも充実しているし、NECのマシンであるためソフトはかなり遅くまで発売されていた(1991年頃まで?)。しかし、今さら8ビット機を買ったところで、もうハード的には限界に来ていて先も見えていた。ホビーパソコンの分野でもPC-9801への移行が進んでいた時期でもあった。
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