PC-88VAが登場して、いよいよPC-8801も16ビット機に変わったのか、と思われたが、PC-88VAが思ったほど売れなかったのか、NECは再び8ビット機を出してきた。
今回のモデルチェンジでは、すべてFDD内蔵モデルとなり、サウンド機能の強化で、FM音源6重和音+リズム6音+SSG音源3重和音+ADPCM1声の演奏が可能となった。
グラフィックスは変わらず、640×200ドット時512色中8色表示のみだ。ビデオアートボードを取り付ければ320×200ドット65,536色表示が可能となるが、これくらいは標準装備としてほしかった。
デザインやソフトウェアディップイッチの機能は変わりない。なお、今回からは全機種FDD内蔵モデルのみのラインナップとなった。
PC-8801MA/FAスペック
- CPU
メインCPU:μPD70008AC-8(Z-80Hコンパチ、8/4MHz切り替え)
サブCPU:μPD780C-1(ディスクコントロール、4MHz) - ROM
メインROM:BASICおよびモニタ、他128KB
サブROM:ディスク・コントロール用:2KB
漢字ROM:256KB
辞書ROM:512KB※MAのみ - RAM
メインRAM:MAは192KB。FAは64KB。
※スロット内増設可能(32KB単位でバンク切り替え)
テキストエリア:32KB
変数・ワークエリア・テキストVRAM:31KB
VRAM:48KB
テキストVRAM:4KB(ハイスピードモード時のみ使用)
サブRAM:ディスク入出力用バッファ・ワークエリア 16KB - テキスト表示
80文字×25行、80文字×20行、40文字×25行、40文字×20行
※いずれかを選択可
文字及びグラフィック記号(248種)
キャラクタ単位にアトリビュート設定可。リバース、ブリンク、シークレット、カラー8色(デジタルRGBディスプレイ使用時)または512色中8色(アナログRGBディスプレイ使用時。N-88BASICのV2モードのみ可能) - カラーグラフィックス表示
640×200ドット1画面
512色中8色(アナログRGBディスプレイ使用時)※V2モード動作時
8色(デジタルRGBディスプレイ使用時)
※ドット単位に指定可 - モノクログラフィックス表示
640×400ドット1画面(専用高解像度ディスプレイ使用時)
640×200ドット3画面
※いずれかの画面を選択 - 画面合成
可(グラフィックス画面にテキスト画面の上が来る) - バックグラウンドカラー
512色中1色指定可(アナログRGBディスプレイ使用時)※V2モード動作時
8色中1色指定可(デジタルRGBディスプレイ使用時) - ビデオ出力
R.G.B セパレート出力方式(TTL、カラー)
アナログRGB出力(75Ωアナログ、カラー)
家庭用TV(別売TVアダプタ経由)に接続可 - 漢字表示標準装備
JIS第一水準漢字2965種,非漢字約700種
JIS第2水準漢字3,384字
画面構成:40文字×20行
文字構成:16×16ドット
※グラフィックス画面に表示 - キーボード
JIS標準配列テンキー、コントロールキー、10ファンクションキー、キャピタルロック可、HELPキー、COPYキー。セパレートタイプ(本体とカールケーブルにより接続) - FDD
MA:2HD/2DのFDDを2台内蔵
FA:2DのFDDを2台内蔵 - オーディオ出力
FM音源6和音(各音ごとに49種の音色指定可)※ステレオ
リズム6音※ステレオ
SSG音源3和音(GI社PSGコンパチブル)
ADPCM1声(30~120秒録音再生機能)
※音源チップ(OPNA)にヤマハ(YM2608)を搭載
スピーカー内蔵。
LINE端子(2ch)、LINE OUT端子(2ch)付 - 拡張スロット
MAは2個。
FAは1個。
※PC-8012/13、PC-8801、PC-8001MKII上位コンパチブル。 - CMT(カセット)I/F
オプション。300ボー/1200ボー切り換え式。 - カレンダ時計
月、日、時、分、秒。NiCd電池でバックアップ - 電源
AC100V±10%、50/60Hz - 消費電力
平均54W(model30)、最大90W - 使用条件
10~30℃,20~80%(但し結露しないこと) - 外寸法
本体:385(W)×343(D)×110(H)㎜
キーボード:462(W)×194.5(D)×33(H)㎜ - 重量
本体:8.5kg
キーボード:1.5kg - 主な添付品
キーボード、電源ケーブル、ユーザーズマニュアル、リファレンスマニュアル、リファレンスブック、システムディスク、デモディスク、お客様登録カード、保証書他 - 希望小売価格
PC-8801FA:168,000円
PC-8801MA:198,000円 - 発売
1987年11月
前機種向けオプション発売
※MH/FH以前の機種のユーザー向けに、サウンドボードⅡが発売されました。
■PC-8801-23 サウンドボードII 39,800円
FH/MH以前の機種で利用できるFM音源ボード。使用音源はOPNA(YM2608)で、単体でFM音源6重和音+リズム6音+SSG音源3重和音+ADPCM1声の演奏が可能。拡張スロットに実装。
■PC-8801-24 サウンドボードII 39,800円
FH/MH専用FM音源ユニット。
使用音源はOPNA(YM2608)で、単体でFM音源6重和音+リズム6音+SSG音源3重和音+ADPCM1声の演奏が可能。本体内蔵OPNとは排他利用。専用スロットに実装。
サウンド機能を駆使するには別売ソフト「インスタントミュージック」や市販ソフトを使わないとまず無理だ。
8ビット機終焉の予兆
ソフトとして、内蔵辞書ROMの日本語変換に対応したBASIC(MAのみ)、キーボードトレーニングプログラムが添付されている。すでにハード的に改良するところがなくなってきたため、ソフトウェアに力を入れたというのが実情のようだ。
FAではデジタルRGB端子が廃止された。また、FAでもFDD搭載モデルのみ発売となったこともあり、カセットインタフェースは廃止され、オプション扱いとなった。
サウンド機能は当時としては素晴らしいもので、この機能は後に、PC-98GSやPC-9821/A-MATEシリーズにも採用されている。
このマシン前後から8ビット機市場ではPC-8801の一人勝ちになってきており、価格もさらに安くなって買いやすくなっている。
とはいえ、メーカー各社は8ビット機からは相次ぎ撤退する中、NEC・富士通・シャープのパソコン御三家が何とか8ビット機を発売している、という状況であり、すでに8ビット機の終焉が近づいているのは明らかだった。
寸評:平凡な多数決