PC-9801DX ※1990/11発売

「幅広い業務のニーズに応えるデスクトップ98のスタンダードモデル」

DXはRX/EXのモデルチェンジ機で、3.5インチFDD内蔵モデルには/Uの型番がついて区別されることとなった。内蔵FDDの違いだけで型番が変わったりリリースが遅れるといった不思議なこともなくなった。V30の搭載はなくなり、代わって286CPUがV30をエミュレーションする様に変更された。どうやら歴史的なV30にも終わりが来たことを伺わせるのがこのマシンだ。

この他では、FM音源/SSG音源が標準装備されたこと、ソフトウェアディップスイッチへの変更などがある。CPUはクロックアップはなく足踏み状態だ。

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PC-9801DXスペック

PC-9801DXカタログ
  1. CPU
    i286を10/12MHzで稼働。
    ※V30エミュレーションモードあり。8MHz相当。
    ※切り換えて稼働。
  2. コプロセッサ
    i287使用可。
  3. ROM
    N88-BASIC(86)及びモニタ96KB。
  4. メインRAM
    640KB。
  5. メインRAM増設
    14.6MBまで拡張可能。本体メモリ専用スロット12MB。
  6. ビデオRAM
    256KB。
  7. テキストRAM
    12KB。
  8. テキスト表示
    英数カナ80文字×25行 / 80文字×20行 / 40文字×25行文字 / 40文字×20行
    ※切り換えて使用。
    文字及びグラフィック記号(248種)
    文字単位にアトリビュート設定可。リバース、ブリンク、シークレット、8色表示カラー(黒、青、赤、マゼンタ、緑、シアン、黄、白。キャラクタ単位に指定可)
  9. カラーグラフィックス
    640×400ドット2画面
    640×200ドット4画面
    ※アナログRGB接続時4096色中16色
    ※デジタルRGB接続時8色表示
  10. モノクログラフィックス
    640×400ドット4画面
    640×200ドット16画面
  11. 漢字表示標準搭載
    文字構成:16×16ドットゴシック体
    文字種類:JIS第1、JIS第2、非漢字、拡張等約7,600種。
    ユーザー定義文字機能188種
    画面構成:40文字×25行、40文字×20行
    ※グラフィックス/テキスト画面に表示可
  12. 画面合成
    テキスト/グラフィックス画面の合成可(優先順位付け可)
  13. バックグラウンドカラー
    8色表示可(専用高解像度ディスプレイ使用時)
  14. 内蔵FDD
    5.25インチ2HD/2DDのFDDを2台内蔵。
    Uモデルは3.5インチ2HD/2DDのFDDを2台内蔵。
  15. 外付けFDD用I/F
    2HD接続可
  16. HDD
    内蔵可(SASI/SCSI)※内蔵済みモデルあり
  17. キーボード
    (スカルプチャータイプ) JIS標準配列準拠、テンキー、コントロールキー、15ファンクションキー、キャピタルロック可、HELP、COPY、BS、INS、DEL、XFER、NFERキー。
    セパレートタイプ(本体とカールケーブルにより接続)
  18. シリアルI/F
    RS232C準拠
  19. プリンタI/F
    セントロニクス社仕様準拠
  20. マウスI/F
    バスマウス仕様
  21. CRT接続
    アナログRGB、デジタルRGB、モノクロディスプレイ
  22. サウンド
    FM音源3重和音、PSG音源3重和音の計6重和音8オクターブ。
    外部オーディオ端子付き
  23. 拡張スロット
    16ビットのCバス4個
  24. サービスコンセント
    2個
  25. 電源
    AC100V±10%、50/60Hz
  26. 使用条件
    10~30℃,20~80%(但し結露しないこと)
  27. 外寸
    本体 (W)380×(D)335×(H)150㎜。
    キーボード (W)435×(D)180×(H)34㎜
  28. 重量
    DX2:9.3kg。
    DX/U2:8.3kg。
    DX5:10.7kg。
    DX/U5:9.7kg。
    キーボード1.2kg。
  29. 主な添付品
    グリーティングカード、キーボード、電源ケーブル、アース線、保証書、お客様登録カード、ケーブルラベル、ケーブルカバー、サービス網一覧表
  30. 添付FD
    N88-日本語BASIC(86)Ver6.1関連(システムディスク、辞書ディスク(1)、辞書ディスク(2)、PCトレーニングディスク
  31. 添付マニュアル
    N88-日本語BASIC(86)Ver6.1関連3(ユーザーズマニュアル、リファレンスマニュアル、BASIC入門)、ガイドブック、日本語入力ガイド、
  32. 発売
    1990/11

筐体はRシリーズのものが流用されたが、内蔵メモリボードの互換性がないので、流用は不可。また、デジタルRGB端子とモノクロディスプレイ端子は共用となった。

EPSON互換機は、16MHzの286を搭載しているから、本家NECもCPUのクロックアップ位はしても良さそうだが、足踏み状態になっている。

PC-9801DXラインナップ

  1. PC-9801DX2
    5.25インチFDD×2台
    HDDなし(内蔵可)
    価格318,000円
  2. PC-9801DX/U2
    3.5インチFDD×2台
    HDDなし(内蔵可)
    価格318,000円
  3. PC-9801DX5
    5.25インチFDD×2台
    HDD40MB内蔵(SASI)
    価格468,000円
  4. PC-9801DX/U5
    3.5インチFDD×2台
    HDD40MB内蔵(SASI)
    価格468,000円

5.25インチ内蔵型も3.5インチFDD内蔵型も性能や価格は全く変わらない。

ソフトウェアディップスイッチ

従来ディップスイッチで行っていた設定を画面上に出したもの。現代のPCのBIOS設定画面のようなもの。3個あるうち、滅多に使われない1個を除いてソフトウェア化された。

FM音源/SSG音源

5インチFDD/3.5インチFDD内蔵モデルに関係なく標準装備。主にゲーム用なのでEMSメモリ使用時などは設定画面で切り離すことができる。

V30エミュレーションモード

V30を搭載するのをやめて、386/286がエミュレーションする。もっとも、V30に特化したソフトは実質なかったので、あまり利用されることはなかった。

DXは、Dシリーズのトップを切って発売されたが、RXとあまり変更点が見いだせないので、すでにRXを持っている人は買い換える必要性は全くない。

ディップスイッチのソフトウェア化やFM音源を標準搭載していることから、これまでPC-8801に与えられていたホビーニーズをPC-9801に統合したとも言え、PC-8801からのゲームソフトの移植も相次いだといわれている。

PC-9801DXが発売される1ヶ月前にはPC-98DOの欠点を克服したPC-98DO+が発売されたが、多くのPC-8801ユーザーはこれに手を出すことはせず、PC-9801DXの方を購入し、併用することを選択していた。

PC-9801DXはNEC最後の286マシンで、以降はどうやら32ビット機へと移行している。16ビット機はこれで終了となった。

寸評:最後の286マシン

結論

Windows3日本語版が発売された年ではあるが、まだこれからという段階で、専用ソフトもでていなかった。まだまだMS-DOSという時代であり、このDXを買ったとしてもがっかりすることはなかった。ベストは3.5インチFDD内蔵型のDX/Uモデル、ということになる。

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