「幅広い業務のニーズに応えるデスクトップ98のスタンダードモデル」
DXはRX/EXのモデルチェンジ機で、3.5インチFDD内蔵モデルには/Uの型番がついて区別されることとなった。内蔵FDDの違いだけで型番が変わったりリリースが遅れるといった不思議なこともなくなった。V30の搭載はなくなり、代わって286CPUがV30をエミュレーションする様に変更された。どうやら歴史的なV30にも終わりが来たことを伺わせるのがこのマシンだ。
この他では、FM音源/SSG音源が標準装備されたこと、ソフトウェアディップスイッチへの変更などがある。CPUはクロックアップはなく足踏み状態だ。
PC-9801DXスペック

- CPU
i286を10/12MHzで稼働。
※V30エミュレーションモードあり。8MHz相当。
※切り換えて稼働。 - コプロセッサ
i287使用可。 - ROM
N88-BASIC(86)及びモニタ96KB。 - メインRAM
640KB。 - メインRAM増設
14.6MBまで拡張可能。本体メモリ専用スロット12MB。 - ビデオRAM
256KB。 - テキストRAM
12KB。 - テキスト表示
英数カナ80文字×25行 / 80文字×20行 / 40文字×25行文字 / 40文字×20行
※切り換えて使用。
文字及びグラフィック記号(248種)
文字単位にアトリビュート設定可。リバース、ブリンク、シークレット、8色表示カラー(黒、青、赤、マゼンタ、緑、シアン、黄、白。キャラクタ単位に指定可) - カラーグラフィックス
640×400ドット2画面
640×200ドット4画面
※アナログRGB接続時4096色中16色
※デジタルRGB接続時8色表示 - モノクログラフィックス
640×400ドット4画面
640×200ドット16画面 - 漢字表示標準搭載
文字構成:16×16ドットゴシック体
文字種類:JIS第1、JIS第2、非漢字、拡張等約7,600種。
ユーザー定義文字機能188種
画面構成:40文字×25行、40文字×20行
※グラフィックス/テキスト画面に表示可 - 画面合成
テキスト/グラフィックス画面の合成可(優先順位付け可) - バックグラウンドカラー
8色表示可(専用高解像度ディスプレイ使用時) - 内蔵FDD
5.25インチ2HD/2DDのFDDを2台内蔵。
Uモデルは3.5インチ2HD/2DDのFDDを2台内蔵。 - 外付けFDD用I/F
2HD接続可 - HDD
内蔵可(SASI/SCSI)※内蔵済みモデルあり - キーボード
(スカルプチャータイプ) JIS標準配列準拠、テンキー、コントロールキー、15ファンクションキー、キャピタルロック可、HELP、COPY、BS、INS、DEL、XFER、NFERキー。
セパレートタイプ(本体とカールケーブルにより接続) - シリアルI/F
RS232C準拠 - プリンタI/F
セントロニクス社仕様準拠 - マウスI/F
バスマウス仕様 - CRT接続
アナログRGB、デジタルRGB、モノクロディスプレイ - サウンド
FM音源3重和音、PSG音源3重和音の計6重和音8オクターブ。
外部オーディオ端子付き - 拡張スロット
16ビットのCバス4個 - サービスコンセント
2個 - 電源
AC100V±10%、50/60Hz - 使用条件
10~30℃,20~80%(但し結露しないこと) - 外寸
本体 (W)380×(D)335×(H)150㎜。
キーボード (W)435×(D)180×(H)34㎜ - 重量
DX2:9.3kg。
DX/U2:8.3kg。
DX5:10.7kg。
DX/U5:9.7kg。
キーボード1.2kg。 - 主な添付品
グリーティングカード、キーボード、電源ケーブル、アース線、保証書、お客様登録カード、ケーブルラベル、ケーブルカバー、サービス網一覧表 - 添付FD
N88-日本語BASIC(86)Ver6.1関連(システムディスク、辞書ディスク(1)、辞書ディスク(2)、PCトレーニングディスク - 添付マニュアル
N88-日本語BASIC(86)Ver6.1関連3(ユーザーズマニュアル、リファレンスマニュアル、BASIC入門)、ガイドブック、日本語入力ガイド、 - 発売
1990/11
筐体はRシリーズのものが流用されたが、内蔵メモリボードの互換性がないので、流用は不可。また、デジタルRGB端子とモノクロディスプレイ端子は共用となった。
EPSON互換機は、16MHzの286を搭載しているから、本家NECもCPUのクロックアップ位はしても良さそうだが、足踏み状態になっている。
PC-9801DXラインナップ
- PC-9801DX2
5.25インチFDD×2台
HDDなし(内蔵可)
価格318,000円 - PC-9801DX/U2
3.5インチFDD×2台
HDDなし(内蔵可)
価格318,000円 - PC-9801DX5
5.25インチFDD×2台
HDD40MB内蔵(SASI)
価格468,000円 - PC-9801DX/U5
3.5インチFDD×2台
HDD40MB内蔵(SASI)
価格468,000円
5.25インチ内蔵型も3.5インチFDD内蔵型も性能や価格は全く変わらない。
ソフトウェアディップスイッチ
従来ディップスイッチで行っていた設定を画面上に出したもの。現代のPCのBIOS設定画面のようなもの。3個あるうち、滅多に使われない1個を除いてソフトウェア化された。
FM音源/SSG音源
5インチFDD/3.5インチFDD内蔵モデルに関係なく標準装備。主にゲーム用なのでEMSメモリ使用時などは設定画面で切り離すことができる。
V30エミュレーションモード
V30を搭載するのをやめて、386/286がエミュレーションする。もっとも、V30に特化したソフトは実質なかったので、あまり利用されることはなかった。
DXは、Dシリーズのトップを切って発売されたが、RXとあまり変更点が見いだせないので、すでにRXを持っている人は買い換える必要性は全くない。
ディップスイッチのソフトウェア化やFM音源を標準搭載していることから、これまでPC-8801に与えられていたホビーニーズをPC-9801に統合したとも言え、PC-8801からのゲームソフトの移植も相次いだといわれている。
PC-9801DXが発売される1ヶ月前にはPC-98DOの欠点を克服したPC-98DO+が発売されたが、多くのPC-8801ユーザーはこれに手を出すことはせず、PC-9801DXの方を購入し、併用することを選択していた。
PC-9801DXはNEC最後の286マシンで、以降はどうやら32ビット機へと移行している。16ビット機はこれで終了となった。
寸評:最後の286マシン
結論
Windows3日本語版が発売された年ではあるが、まだこれからという段階で、専用ソフトもでていなかった。まだまだMS-DOSという時代であり、このDXを買ったとしてもがっかりすることはなかった。ベストは3.5インチFDD内蔵型のDX/Uモデル、ということになる。