PC-9801ES2/ES5 ※1989/5発売

「高速32ビットCPUでパワー増強。実力の3.5インチデスクトップ98。」

PC-9801ESは386SX搭載機種で、E型番はおそらくエントリーという意味だろうが、過去に使っていた型番を再度使用するというのも不思議だ。Sは386SXから採ったか、若しくはスタンダードの意味だろう。

386DXが外部バス32ビットなのに対し、386SXは外部バス16ビットなので、完全な32ビットCPUとは言えないが、搭載するには286マシンを少し手直しするだけでよいので、日本では非常に多く使われたCPUである。

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PC-9801ES2スペック

PC-9801ES2/ES5カタログ
  1. CPU
    i386SX 16MHz
    V30 8MHz
    ※切り替えて使用。
  2. コプロセッサ
    i80387
    ※i80386稼働時のみ使用可
    i8087
    ※V30稼働時のみ使用可
  3. ROM:N88-BASIC(86)及びモニタ96KB。
  4. メインRAM
    1.6MB。最大10.6MBまで増設可能(本体内専用スロット3MB)
  5. ビデオRAM
    256KB。
  6. テキストRAM
    12KB。
  7. テキスト表示
    80文字×25行、80文字×20行 40文字×25行、40文字×20行
    ※上記のいずれかを選択可
    文字及びグラフィック記号(248種)
    キャラクタ単位にアトリビュート設定可。リバース、ブリンク、シークレット、カラー8色(黒、青、赤、マゼンタ、緑、シアン、黄、白)
  8. カラーグラフィックス表示
    640×400ドット2画面
    640×200ドット4画面
    ※アナログRGB接続時4096色中16色表示
    ※デジタルRGB接続時8色表示
  9. モノクロディスプレイ接続時
    640×400ドット4画面
    640×200ドット16画面
  10. モノクログラフィックス表示
    640×400ドット時8画面
    640×200ドット時16画面
  11. 漢字表示標準搭載
    文字構成:16×16ドットゴシック体
    文字種類:JIS第1/第2水準、拡張、非漢字他約7,600文字
    ユーザー定義文字機能188種。
    388文字はオプション
    画面構成:40文字×25行、40文字×20行
    ※グラフィックス/テキスト画面に表示可
  12. バックグラウンドカラー
    8色指定可
  13. 画面合成
    テキスト/グラフィックス画面の合成可(優先順位付け可)
  14. バックグラウンドカラー
    8色表示可(専用高解像度ディスプレイ使用時)
  15. 内蔵FDD
    3.5インチ2HD/2DD両用FDDを2台内蔵。
  16. 外付けFDD用I/F
    2HDのFDD接続可
  17. HDD
    内蔵可能 ※ES5は20MBHDDを内蔵済み(SASI)
  18. キーボード
    (スカルプチャータイプ) JIS標準配列準拠、テンキー、コントロールキー、15ファンクションキー、キャピタルロック可、HELP、COPY、BS、INS、DEL、XFER、NFERキー。
    セパレートタイプ(本体とカールケーブルにより接続)
  19. シリアルI/F
    RS232C準拠
  20. プリンタI/F
    セントロニクス社仕様準拠
  21. マウスI/F
    バスマウス仕様
  22. CRT接続
    アナログRGB、デジタルRGB、モノクロディスプレイ
  23. サウンド
    オプション
  24. 拡張スロット
    16ビットのCバス3個
  25. サービスコンセント
    2個
  26. 電源
    AC100V±10%、50/60Hz
  27. 使用条件
    10~30℃,20~80%(但し結露しないこと)
  28. 外寸
    本体 (W)380×(D)335×(H)128㎜。
    キーボード (W)435×(D)180×(H)34㎜
  29. 重量
    ES2:7.5kg。
    ES5:8.8kg。
    キーボード1.2kg。
  30. 主な添付品
    キーボード、保証書、サービス網一覧表、お客様登録カード、グリーティングカード、ケーブルラベル、電源ケーブル、アース線
  31. 添付FD4枚
    N88-日本語BASIC(86)Ver6.1関連(システムディスク、辞書ディスク1、辞書ディスク2、PCトレーニングディスク
  32. 添付マニュアル
    N88-日本語BASIC(86)Ver6.1関連3(ユーザーズマニュアル、リファレンスマニュアル、BASIC入門)、ガイドブック、日本語入力ガイド、ハードウェアマニュアル
  33. 発売
    1989/5

PC-9801ES2/ES5ラインナップ

  1. PC-9801ES2
    3.5インチFDD×2台。
    HDDなし(内蔵可)。
    価格448,000円
  2. PC-9801ES5
    3.5インチFDD×2台。
    内蔵HDD40MB(SASI)。
    価格638,000円

オプション

  1. PC-9801-26K:サウンドボード。FM音源3重和音/SSG音源3重和音の計6重和音8オクターブを実現するためのボード。スピーカー搭載、外部スピーカー端子付き、MSX規格のジョイスティックポート2個つき。ESの拡張スロットに実装。

ESでは何故かFM音源がオプションになっており、3.5インチFDD内蔵モデルは標準装備という原則の例外になっている。

EPSON互換機「PC-386M」の圧勝となったPC-9801ES

ESで採用されたi386SXは、内部処理は32ビットながらデータパスは16ビットなのでデータのオンオフは16ビットずつの2回となること(命令セットは同じ)、またアドレスパスは24ビットとなっており、i386DXが完全32ビットなのに比べると大幅に劣る。当時はMS-DOS全盛期であり、32ビットOSもなく、高速な16ビット機として使うのが普通だったから、386DX/386SXにこだわる必要はなかった。

5インチFDD搭載モデルに比べ、3.5インチFDDモデルは安い、というのが特徴だったが、半年後に登場するRA/RS/RXでこの原則が崩れている。RX21とEX2では1万円RX21の方が安く、またRS21とES2では5万円もRS21の方が安く設定された。

ESの価格は初代RA/RXに対して設定されていたので、RA/RS/RX三兄弟よりも高くなってしまった(実売価格は不明)。ESは価格設定も問題があったといえるだろう。

3.5インチFDDモデルはE型番になったが、その後再度U型番に戻るのも早かった。

寸評:CPUと価格のバランスがとれないマシン

結論

ESと同じ386SX 16MHzを採用し、FM音源標準装備のEPSON「PC-386M」は328,000円で、ESよりも12万円も安かった。PC-386Mは640KBだが、PC-9801ESは1MBのメモリを搭載している、という人もいるかもしれないが、当時1MBのRAMボードは数万円程度しかしなかった。PC-9801ESとPC-386Mは性能が同じであることを考えると、今回はEPSON互換機の圧勝だった。

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