「ビジネスの発展にフレキシブルに対応する、中核モデル」※FS
「拡張性と経済性を追求した、32ビットデスクトップマシン」※FX
FA/FS/FXはFAが486SX、FS/FXが386SXというラインナップになる。F型番は以前にも使われていたのが再使用されたが、以前のF型番機と混同の元になりそうな感もある。
D型番機の時はCPUとどれも据え置きで足踏み状態だったが、F型番機ではCPUがアップしている。すべてが32ビットCPUとなり、Windows3.0にも対応できる。
FS/FXは1992/5発売。なお、FS/FXともCPUはクロックが異なるだけなので、ここでまとめて取り上げる。
PC-9801FS/FXスペック
- CPU
FS:i386SX 20MHz
FX:i386SX 12MHz
※V30エミュレーションモードあり。8MHz相当
※切り換えて稼働。 - コプロセッサ
使用可。387SXを使用。 - ROM
N88-BASIC(86)及びモニタ96KB。 - メインRAM
1.6MB。 - メインRAM増設
全機種とも14.6MBまで拡張可能。本体メモリ専用スロット12MB。 - ビデオRAM
256KB。 - テキストRAM
12KB。 - テキスト表示
英数カナ80文字×25行 / 80文字×20行 / 40文字×25行文字 / 40文字×20
行
※切り換えて使用。
文字及びグラフィック記号(248種)
文字単位にアトリビュート設定可。リバース、ブリンク、シークレット、8色表示カラー(黒、青、赤、マゼンタ、緑、シアン、黄、白)。 - カラーグラフィックス
640×400ドット2画面
640×200ドット4画面
※アナログRGB接続時4096色中16色
※デジタルRGB接続時8色表示 - モノクログラフィックス
640×400ドット4画面
640×200ドット16画面 - 漢字表示標準搭載
文字構成:16×16ドットゴシック体
文字種類:JIS第1、JIS第2、拡張、非漢字等約7,600種
ユーザー定義文字機能188種。
画面構成:40文字×25行、40文字×20行
※グラフィックス/テキスト画面に表示可 - 画面合成
テキスト/グラフィックス画面の合成可(優先順位付け可) - バックグラウンドカラー
8色表示可(専用高解像度ディスプレイ使用時) - 内蔵FDD
5.25インチ2HD/2DDのFDDを2台内蔵。
Uモデルは3.5インチ2HD/2DDのFDDを2台内蔵。 - HDD
内蔵可、SCSI I/Fが必要。※内蔵済みモデルあり - 外付けFDD用I/F
2HD - ファイルスロット
1個。SCSI仕様の機器を内蔵可。 - SCSI I/F
専用スロットに実装。内蔵HDD実装時及び、ファイルスロット対応機器実装時に必要(増設コネクタあり)
※HDD搭載済みモデルは標準搭載 - キーボード
(スカルプチャータイプ) JIS標準配列準拠、テンキー、コントロールキー、15ファンクションキー、キャピタルロック可、HELP、COPY、BS、INS、DEL、XFER、NFERキー。
セパレートタイプ(本体とカールケーブルにより接続) - シリアルI/F
RS232C準拠 - プリンタI/F
セントロニクス社仕様準拠 - マウスI/F
バスマウス対応 - CRT接続
アナログRGB、デジタルRGB、モノクロディスプレイ - サウンド
FM音源3重和音、PSG音源3重和音の計6重和音8オクターブ標準装備。外部オーディオ接続端子付き - 拡張スロット
16ビットのCバス4個 - サービスコンセント
2個 - 電源
AC100V±10%、50/60Hz - 使用条件
10~30℃,20~80%(但し結露しないこと) - 外寸
本体:(W)380×(D)335×(H)150㎜。
キーボード:439(W)×183(D)×31(H)㎜ - 重量
FS2:9.4kg
FS/U2:8.6kg
FS5:10.4kg
FS/U5:9.6kg
FS7:10.4kg
FS/U7:9.6kg
FX2:9.4kg
FX/U2:8.6kg
FX5:10.4kg
FX/U5:9.6kg
キーボード:約1.2kg - 主な添付品
グリーティングカード、キーボード、電源ケーブル、アース線、ケーブルラベル、保証書、お客様登録カ-ド、サービス網一覧表 - マニュアル
ガイドブック、N88ーBASICガイド - FD
98トレーニングディスク - 発売
1992年5月
デジタルRGB端子とモノクロディスプレイ端子は共用。
FS/FXはi386SXで、FSは20MHz、FXは12MHzを採用。これで、全機種32ビット化されたとはいえ、生まれるのが1年遅かった印象があった。
ラインナップ
PC-9801FS
- PC-9801FS2
5.25インチFDD×2台。
HDDなし(内蔵可/SCSI)。
価格348,000円 - PC-9801FS/U2
3.5インチ×FDD2台。
HDDなし(内蔵可/SCSI)。
価格348,000円 - PC-9801FS5
5.25インチ×FDD2台。
40MBHDD内蔵(SCSI)。
価格468,000円 - PC-9801FS/U5
3.5インチ×FDD2台。
40MBHDD内蔵(SCSI)。
価格468,000円 - PC-9801FS7
5.25インチ×FDD2台。
100MBHDD内蔵(SCSI)。
価格538,000円 - PC-9801FS/U7
3.5インチ×FDD2台。
100MBHDD内蔵(SCSI)。
価格538,000円
PC-9801FX
- PC-9801FX2
5.25インチ×FDD2台。
HDDなし(内蔵可/SCSI)。
価格278,000円 - PC-9801FX/U2
3.5インチ×FDD2台。
HDDなし(内蔵可/SCSI)。
価格278,000円 - PC-9801FX5
5.25インチ×FDD2台。
40MBHDD内蔵(SCSI)。
価格398,000円 - PC-9801FX/U5
3.5インチ×FDD2台。
40MBHDD内蔵(SCSI)。
価格398,000円
オプション
PC-9801FA-02:SCSIインタフェースボード。内蔵HDDやファイルスロット機器増設に必要。専用スロットに実装。PC-9821Aシリーズでも使用可。
ファイルスロットはFDDの下に設けてあり、SCSI仕様の機器が押し込むだけで簡単に取り付けられる。インタフェースはバックにSCSIカード専用スロットがあるので、そこに取り付けるが、内蔵HDDと共用している。SCSI I/Fには増設コネクタがあり、外付け機器を増設することができる。
ファイルスロット対応機器は、NEC純正品の他、サードパーティからもMOやCD-ROMドライブなどが発売された。
機器の内部増設が簡単に行える
増設メモリやHDDの取り付けは、本体カバーを開けずに、前面パネルを外せばすぐできるように作り直されており、コプロセッサも前面パネルを外せばマザーボードが現れ、ソケットが見えるので、すぐに取り付けできる。
拡張スロットは、ドライバー式をやめ、手で回してねじ込む方式のドライバーレスビスに改められた。
割高感が否めないシリーズ
互換機メーカーのEPSONは全機種486に移行したのが1992年。NECは依然として386SXマシンを主力に置いていた。また、1992年は当時、DOS/Vマシンという名で、PC/AT互換機が参入しつつあり、486DX 33MHzマシンが30万円台で出ていたことを考えると、割高感が否めない。
FA/FS/FXのラインナップは短く、最終的にはFAだけが残り、FS/FXは早々に姿を消している。実際に、1992年12月になると秋葉原などで営業していたステップでは、FAの希望小売価格458,000円に対し、実売価格は268,000円にまで下がっていた。
寸評:486へ移行せよ
結論
「最先端技術を行く98」のイメージが崩れたのがこのFA/FS/FXシリーズで、EPSON互換機は全機種486に移行したのにNECはかなり遅くまで386SXを主軸に据えていたことになる。本来FAは486DX 25MHz、FS/FXにしても少なくとも486SXに移行するべきだったと言える。