ライバルの互換機メーカーエプソンPC-386Lや東芝のダイナブックJ3100に対抗して発売されたのがこのLSシリーズで、特徴としては、CPUにi386SXを採用したことと、ダイナブックでも使われていたプラズマディスプレイを採用したことである。
PC-9801LS2/LS5スペック

- CPU
i386SXの16MHzを搭載。
V30 8MHz
※いずれか切り換えて稼働。 - コプロセッサI387SX
※i386SX稼働時のみ使用可 - ROM
N88-BASIC(86)及びモニタ96KB - メインRAM
1.6MB
※最大4.6MBまで内蔵可能(メモリ専用スロットに内蔵) - VRAM
256KB - テキストRAM
12KB - テキスト表示
80文字×25行、80文字×20行 40文字×25行、40文字×20行
※上記のいずれかを選択可
文字及びグラフィック記号(248種)
キャラクタ単位にアトリビュート設定可。リバース、ブリンク、シークレット、カラー8色(黒、青、赤、マゼンタ、緑、シアン、黄、白。)。
※カラー8色はアナログディスプレイ接続時。本体プラズマ使用時は8階調表示 - カラーグラフィックス表示
640×400ドット時2画面
640×200ドット時カラー4画面
※本体プラズマ使用時は16階調表示
※アナログRGBディスプレイ接続時4096色中16色表示 - モノクログラフィックス表示
640×400ドット時8画面
640×200ドット時16画面 - 画面合成
テキスト画面/グラフィックス画面合成時優先順位設定可 - バックグラウンドカラー
8階調表示可(専用高解像度ディスプレイ接続時は8色表示) - 漢字表示
文字構成:16×16ドットゴシック体。
テキスト画面/グラフィックス画面どちらにも表示可
JIS第一水準/第2水準漢字、拡張漢字、非漢字等約7,600文字。
ユーザー定義文字188種設定可。
画面構成:40文字×25行、40文字×20行 - 液晶モニタ
16階調のプラズマディスプレイ搭載。 - 外部ビデオ出力
アナログRGBセパレート信号出力(75Ωアナログインタフェース、カラー) - キーボード(スカルプチャータイプ)
JIS標準配列準拠、コントロールキー、10ファンクションキー、キャピタルロック可、HELP、COPY、BS、INS、DEL、XFER、NFERキー
本体キーボード一体型。
テンキー接続可。 - マウスI/F
バスマウス仕様 - FDD
3.5インチ2HD/2DD2台内蔵 - FDD増設
3/4台目外付けI/F内蔵(2HD) - HDD
LS5は40MBHDDを内蔵済み(SASI) - プリンタI/F
8ビットパラレルインタフェース。セントロニクス社仕様準拠 - シリアルI/F
RS-232C準拠 - サウンド機能
オプション、拡張BOXが必要 - 拡張スロット
オプションの拡張BOXを接続することで16ビットのCバス3個利用可 - カレンダ時計
電池によるバックアップ - 電源
AC100V±10%、50/60Hz。バッテリ稼働可 - 温湿度条件
10~35℃、20~80%(但し結露しないこと) - 外形寸法
(W)339×(D)380×(H)103㎜ - 重量
LS2:8.1kg
LS5:8.8kg - 消費電力
100W(最大120W) - 添付品
グリーティングカード、電源ケーブル、アース線、プリンタケーブル、ヒンジキャップ、保証書、お客様登録カード、ケーブルラベル、サービス網一覧表 - 添付マニュアル
ガイドブック、日本語入力ガイド、N88ー日本語BASIC(6.0)関連(N88ーBASIC(86)入門、ユーザーズマニュアル、リファレンスマニュアル) - 添付FD
PCトレーニングディスク、N88ー日本語BASIC(86)6.0システムディスク、辞書ディスク(1)、辞書ディスク(2) - 発売年
1988/11
※LS2には20MB/40MBのHDDを内蔵しLS5相当にするアップグレードサービスを有償にて実施。
PC-9801LS2LS55ラインナップ
- PC-9801LS2
3.5インチFDD×2
HDDなし
価格628,000円 - PC-9801LS5
3.5インチFDD×2
HDDなし(内蔵可)
価格866,000円
V30の32ビット化は諦めたNEC
CPUに386SXを利用したのは、単にコスト削減のためだろう。外部バスが16ビットのままなら比較的楽に286マシンとの設計を大差なくすることができる。
V30の扱いが8MHz固定となったところを見ると、NECはV30を32ビット化すること(すでにV60/V70があった)はあきらめた、ということらしい。
秋のNEC新製品発表会で出展されたモデルで、プラズマディスプレイはオレンジ色だった。また、バッテリ駆動はできず、AC電源が必要となる。
この展示会では、PC-9801互換機をどう思うか、というアンケートがあり、如何にNECがエプソン互換機を意識(対抗?神経を尖らせていた?ナーバス)していたか分かるエピソードとなっている。
結論:プラズマだけのマシン
結論
AC電源がないと使えない(もっとも、バッテリ稼働機も実用的ではなかった)ことや高価格であることから、あまり売れている様子はなかった。シリーズとしても長くは続かず、トランスポータブルのT型番機や98NOTE NS等へ置き換わっている。