「戦略的ビジネスを実現する32ビット標準機」
PC-9801RA前期は386DXを16MHzで稼働させたが、後期であるRA21/51は386DXを20MHzにアップさせた。EPSON互換機に対抗して発売されたのがRA/RS/RXの三兄弟で、型番の後ろに「1」がついており、Rシリーズは最終機種、ということになり、後継機種は別の型番になる。
三兄弟、というラインナップはその後Dシリーズ、Fシリーズにも引き継がれている。
PC-9801RA21/51スペック

- CPU
i386DX 20 / 16MHz
V30 8MHz
※いずれか切り換えて稼働。 - コプロセッサ
i387DX
※i386DX動作時のみ使用可
i8087
※V30動作時のみ使用可。 - ROM
N88-BASIC(86)及びモニタ96KB。 - メインRAM
1.6MB - メインRAM増設
本体内専用スロットを利用することで14.6MBまで内蔵可能。 - ビデオRAM
256KB。 - テキストRAM
12KB。 - テキスト表示
英数カナ80文字×25行 / 80文字×20行 / 40文字×25行文字 / 40文字×20
行
※切り換えて使用。
文字及びグラフィック記号(248種)
文字単位にアトリビュート設定可。リバース、ブリンク、シークレット、8色表示カラー(黒、青、赤、マゼンタ、緑、シアン、黄、白)。 - カラーグラフィックス
640×400ドット2画面
640×200ドット4画面
※アナログRGB接続時4096色中16色
※デジタルRGB接続時8色表示 - モノクログラフィックス
640×400ドット4画面
640×200ドット16画面 - 漢字表示標準搭載
文字構成:16×16ドットゴシック体
文字種類:JIS第1、JIS第2、拡張、非漢字等約7,600種
ユーザー定義文字機能188種。
画面構成:40文字×25行、40文字×20行
※グラフィックス/テキスト画面に表示可 - 画面合成
テキスト/グラフィックス画面の合成可(優先順位付け可) - バックグラウンドカラー
8色表示可(専用高解像度ディスプレイ使用時) - 内蔵FDD
5.25インチ2HD/2DD自動切り替えFDDを2台内蔵。 - 外付けFDD用I/F
2HD - HDD
内蔵可(SASI)※内蔵済みモデルあり - キーボード
(スカルプチャータイプ) JIS標準配列準拠、テンキー、コントロールキー、15ファンクションキー、キャピタルロック可、HELP、COPY、BS、INS、DEL、XFER、NFERキー。
セパレートタイプ(本体とカールケーブルにより接続) - シリアルI/F
RS232C準拠準拠 - プリンタI/F
セントロニクス社仕様 - マウスI/F
バスマウス対応 - CRT接続
アナログRGB、デジタルRGB、モノクロディスプレイ - サウンド
オプション(拡張スロット内に実装) - 拡張スロット
16ビットのCバス4個 - サービスコンセント
2個 - 電源
AC100V±10%、50/60Hz - 使用条件
10~30℃,20~80%(但し結露しないこと) - 外寸
本体 (W)380×(D)335×(H)150㎜。
キーボード (W)435×(D)180×(H)34㎜ - 重量
RA21:9.4kg。
RA51:10.8kg。
キーボード1.2kg。 - 主な添付品
キーボード、電源ケーブル、アース線、保証書、グリーティングカード、お客様登録カード、ケーブルラベル、ケーブルカバー、サービス網一覧表 - 添付FD
N88-日本語BASIC(86)Ver6.1関連(システムディスク、辞書ディスク(1)、辞書ディスク(2)、PCトレーニングディスク - 添付マニュアル
N88-日本語BASIC(86)Ver6.1関連3(ユーザーズマニュアル、リファレンスマニュアル、BASIC入門)、ガイドブック、日本語入力ガイド、 - 発売
1989/10
※HDD内蔵モデルの価格が下がった他は価格据置。HDDなしモデルには、SASI仕様のHDDを組み込み可能で、内蔵メモリボードは旧RA用との互換性がない。
※386DXは内部処理/外部バスとも32ビットだから、増設メモリは拡張スロット(16ビットのCバス)ではなく、メモリ専用スロット(32ビット)に増設しないと速度低下が発生することに注意。
PC-9801RA21/RA51ラインナップ
- PC-9801RA21
5.25インチFDD×2
HDDなし(内蔵可)
価格498,000円 - PC-9801RA51
5.25インチFDD×2
内蔵HDD40MB(SASI)
価格668,000円
筐体デザインは三兄弟とも同じものを使っているので、ロゴを見ないと型番が分からなくなる。共通のものを使ったことはコストダウンに大きく貢献している。
3.5インチFDD内蔵型も望まれていた
当時386DX搭載機には3.5インチFDDモデルがなかった。NECは5.25インチFDDを主力に据えていたのだが、世界的には3.5インチが普通になりつつあった。ノートPCでは3.5インチFDが採用されていた。1990年に入って、PC-H98シリーズでは3.5インチFDD内蔵型には型番の後ろに/Uをつけて区別していたが、性能は内蔵FDDの違いの他は全く同じだった。PC-9801でも近くそうなるであろうことは予想できたし、望まれていた。
当時は高速16ビット機として利用
当時はまだ32ビットOSが決まらない状況で、32ビット機といえど高速な16ビット機として、MS-DOSで利用している状況だった。マルチタスクなら、当時の16ビット機で十分にこなせる。32ビット機の本領はGUI(現在のWindowsのようなもの)で発揮するが、386DXといえど力不足で、やはり486になるまで無理だろうか。そういうことを考えると、32ビットOSが普及する頃には32ビット機全体がモデルチェンジされるだろう。
そんな遠い先のことよりも、今高速性を必要としている人にはRAシリーズはお勧めできるだろう。
寸評:32ビットの標準機
結論
CPUのクロック周波数も16MHz→20MHzと順調にアップしてきて、最先端を行くPC-9801、という印象が続いている。1990年後半になると実売価格も下がってきたので、購入を勧めてもよいが、初めてのマシンとして32ビット機が使いたいのならRSで十分かもしれない。