「ビジネス機能をコンパクトに擬縮したパーソナル16ビット」
不人気機種のU2は1年程度でモデルチェンジされ、RAMの128KBから384KBへの増量、VRAMを倍増化し16色ボードの標準装備により640×400ドット時4096色中16色表示で2画面、FM音源サウンドの標準化、2HDと2DDの両用FDDの搭載と、コンパクト16ビット機としては大幅にバージョンアップされた。つまり、5.25インチのFシリーズとVMシリーズ以上の違いがあり、2万円のアップで発売されたのである。
NECはフロッピーを変更するのが好きなメーカー、という人もいたが、実際に、8インチのフロッピー、5インチの2HDと2DD、3.5インチの2HDと2DDと、5種類も記録メディアがあり、特に過渡期は混乱が生じたこともあった。
3.5インチの2HD FDD機が新たにラインナップに加わり、市販ソフトの動作条件には「VM/UV以降」と書かれるようになった。
PC-9801UV2スペック

- CPU
μPD70116-10(V30) 10/8MHz
※切り替えて使用。 - コプロセッサ
i8087
※メインCPU8MHz時のみ使用可 - ROM
N88-BASIC(86)及びモニタ96KB - メインRAM
384KB。最大640KB。
※メモリ増設時は専用スロット内にPC-9801-21K(128KB)を使用すると拡張スロットを占有しない。 - VRAM
256KB - テキストRAM
12KB - サウンドRAM
16KB - テキスト表示
80文字×25行、80文字×20行 40文字×25行、40文字×20行
※上記のいずれかを選択可
文字及びグラフィック記号(248種)
キャラクタ単位にアトリビュート設定可。リバース、ブリンク、シークレット、カラー8色(黒、青、赤、マゼンタ、緑、シアン、黄、白)。 - カラーグラフィックス表示
640×400ドット時2画面
640×200ドット時カラー4画面
※4096色中16色表示(アナログRGBディスプレイ接続時)
※8色表示(デジタルRGBディスプレイ接続時) - モノクログラフィックス表示
640×400ドット時8画面
640×200ドット時16画面 - 画面合成
テキスト画面/グラフィックス画面合成時優先順位設定可 - バックグラウンドカラー
8色指定可 - 日本語表示
文字構成:16×16ドットゴシック体。
テキスト画面/グラフィックス画面どちらにも表示可
JIS第一水準2,965種/第2水準漢字3,384種、非漢字885種標準搭載。
※拡張漢字(388種)はオプション
ユーザー定義文字188種設定可。
画面構成:40文字×25行、40文字×20行 - ビデオ出力
アナログRGBセパレート信号出力(75Ωアナログインタフェース、カラー)
RGBセパレート信号出力(TTLインタフェース、カラー)
コンポジットビデオ信号出力(輝度変調、モノクロ)※ライトペン接続可
家庭用テレビ出力可(別売TVアダプタ経由) - キーボード(スカルプチャータイプ)
JIS標準配列準拠、テンキー、コントロールキー、10ファンクションキー、キャピタルロック可、HELP、COPY、BS、INS、DEL、XFER、NFERキー
セパレートタイプ(本体とカールケーブルにより接続) - FDD
3.5インチ2HD/2DD2台内蔵 - FDD増設
3/4台目外付けI/F内蔵(2HD) - HDD
使用可(I/Fボード別売) - プリンタI/F
8ビットパラレルインタフェース。セントロニクス社仕様準拠 - シリアルI/F
RS-232C準拠 - マウスI/F
バスマウス接続可 - カセットI/F
オプション、拡張スロットに内蔵(PC-9801-13) - サウンド機能
FM音源3音/SSG音源3音の計6重和音8オクターブ標準装備 - スピーカー内蔵
外部スピーカー接続端子内蔵 - 拡張スロット
2個(16ビットのCバス仕様) - カレンダ時計
電池によるバックアップ - 電源
AC100V±10%、50/60Hz - サービスコンセント
1個 - 温湿度条件
10~35℃、20~80%(但し結露しないこと) - 外形寸法
本体:398(W)×335(D)×87(H)㎜
キーボード:435(W)×180(D)×34(H)㎜ - 重量
本体7.2kg
キーボード1.2kg - 消費電力
100W(最大120W) - 添付品
ガイドブック、ユーザーズマニュアル、リファレンスマニュアル、リファレンスブック、N88-BASIC(86)システムディスク、デモンストレーションプログラムディスク、モノクロディスプレイケーブル、お客様登録カード、サービス網一覧、保証書 - 発売年
1986/5 - 本体標準価格
318,000円
U2時代からのプラズマディスプレイは298,000円であるが、モノクロ液晶に比べると画質が落ちるため、広告でも見かけなくなった。また、筐体は金属製だから、持ち運んで使うのには全く適してなく、これも広告では見かけなくなった。
メインメモリは384KB標準搭載なので当時のほとんどのアプリには十分だ。また、VRAMが倍増化したので、VMのアプリと共通化した。こうなるとU2とは何だったのか?と思う人もいるだろう。
V30のCPUクロックは10/8MHzにアップされ、付属のデモンストレーションは10MHzにするとちょうど良いアニメーションとFM音源の組み合わせになっていた。なお、ジョイスティックポートはなく、その部分はカバーで塞がれている。
拡張スロットは2個だが、一つにはハードディスクインタフェース、もう1個にはRAMボードを入れるという使い方でかなりの力を発揮できた。
寸評:真の3.5インチFDDスタンダード機
結論
このPCはPC-9801の中で随一のコストパフォーマンスでお買い得であるのは間違いない。また、FM音源が標準装備であることから、ゲームもするのであれば買って損はないだろう。ただ、3.5インチのFDはまだ5インチより倍位していたから、それだけが唯一のネックだったが、1~2年程度で大差はなくなっていった。