かつて日本で標準機として使用されていたPC-9801。ここで取り上げるPC-9801UV2は、当時人気のあったPC-9801VM2のコンパクト版という雰囲気が出ています。拡張スロットこそ2個ですが、16色ボードの標準装備で4096色中16色表示、FM音源標準装備で、VM2よりコストパフォーマンスが高いことも分かります。
5.25インチFDD内蔵型はFM音源オプションで主にビジネス用途、3.5インチFDD内蔵型はFM音源標準装備で主に個人用途向け、という棲み分けもこのVM/UVから始まり、結構長く(5年程度)続いていたと思います。当時はまだホビー用途のPC-8800シリーズが現役だったこともあるでしょう。
当時筆者はある電子系の専門学校に通っていましたが、同じ学部の学生の間で人気があったのはやはり5.25インチFDD内蔵型のPC-9801VM2でした。人気があった、といっても所有している学生は少なく、憧れのマシン、という感じでしたが…。
ハードスペックと付属のデモンストレーションプログラムなど

付属のN88-BASIC(86)DISK-BASICやデモンストレーションディスクを入れると最初にこの画面が現れ、それからシステムが立ち上がったりデモプログラムが稼働しました。
- CPU
μPD70116-10(V30) 10/8MHz
※切り替えて使用。 - コプロセッサ
i8087
※メインCPU8MHz時のみ使用可 - ROM
N88-BASIC(86)及びモニタ96KB - メインRAM
384KB。最大640KB。
※メモリ増設時は専用スロット内にPC-9801-21K(128KB)を使用すると拡張スロットを占有しない。 - VRAM
256KB - テキストRAM
12KB - サウンドRAM
16KB - テキスト表示
80文字×25行、80文字×20行 40文字×25行、40文字×20行
※上記のいずれかを選択可
文字及びグラフィック記号(248種)
キャラクタ単位にアトリビュート設定可。リバース、ブリンク、シークレット、カラー8色(黒、青、赤、マゼンタ、緑、シアン、黄、白)。 - カラーグラフィックス表示
640×400ドット時2画面
640×200ドット時カラー4画面
※4096色中16色表示(アナログRGBディスプレイ接続時)
※8色表示(デジタルRGBディスプレイ接続時) - モノクログラフィックス表示
640×400ドット時8画面
640×200ドット時16画面 - 画面合成
テキスト画面/グラフィックス画面合成時優先順位設定可 - バックグラウンドカラー
8色指定可 - 日本語表示
文字構成:16×16ドットゴシック体。
テキスト画面/グラフィックス画面どちらにも表示可
JIS第一水準2,965種/第2水準漢字3,384種、非漢字885種標準搭載。
※拡張漢字(388種)はオプション
ユーザー定義文字188種設定可。
画面構成:40文字×25行、40文字×20行 - ビデオ出力
アナログRGBセパレート信号出力(75Ωアナログインタフェース、カラー)
RGBセパレート信号出力(TTLインタフェース、カラー)
コンポジットビデオ信号出力(輝度変調、モノクロ)※ライトペン接続可
家庭用テレビ出力可(別売TVアダプタ経由) - キーボード(スカルプチャータイプ)
JIS標準配列準拠、テンキー、コントロールキー、10ファンクションキー、キャピタルロック可、HELP、COPY、BS、INS、DEL、XFER、NFERキー
セパレートタイプ(本体とカールケーブルにより接続) - FDD
3.5インチ2HD/2DD2台内蔵 - FDD増設
3/4台目外付けI/F内蔵(2HD) - HDD
使用可(I/Fボード別売) - プリンタI/F
8ビットパラレルインタフェース。セントロニクス社仕様準拠 - シリアルI/F
RS-232C準拠 - マウスI/F
バスマウス接続可 - カセットI/F
オプション、拡張スロットに内蔵(PC-9801-13) - サウンド機能
FM音源3音/SSG音源3音の計6重和音8オクターブ標準装備 - スピーカー内蔵
外部スピーカー接続端子内蔵 - 拡張スロット
2個(16ビットのCバス仕様) - カレンダ時計
電池によるバックアップ - 電源
AC100V±10%、50/60Hz - サービスコンセント
1個 - 温湿度条件
10~35℃、20~80%(但し結露しないこと) - 外形寸法
本体:398(W)×335(D)×87(H)㎜
キーボード:435(W)×180(D)×34(H)㎜ - 重量
本体7.2kg
キーボード1.2kg - 消費電力
100W(最大120W) - 添付品
ガイドブック、ユーザーズマニュアル、リファレンスマニュアル、リファレンスブック、N88-BASIC(86)システムディスク、デモンストレーションプログラムディスク、未使用フロッピーディスク、モノクロディスプレイケーブル、お客様登録カード、サービス網一覧、保証書 - 発売年
1986/5 - 本体標準価格
318,000円
デモプログラムはFM音源のBGMが入る

当時のPCには性能を紹介するためのデモンストレーションプログラムがFDで添付されていましたが、時計、電卓、カレンダー、パズル、ピアノ、お絵かきの6類のプログラムが入っていました。おそらくN88-BASIC(86)で作成されたのでしょう。UV2はFM音源標準搭載なので、バックグラウンドミュージック(BGM)が流れます。なお、製品付属のデモンストレーションと店頭用は異なっており、店頭用は製品付属のものに加えて、さらにビジネスシーンのデモンストレーションが流れていました。

アナログ時計です。

1ヶ月分のカレンダーです。

電卓はテンキーからの方が便利でしょう。

パズルゲームです。なかなか揃いません。
今回撮影しませんでしたが、ピアノとお絵かきプログラムもあります。マウスが必要です。
地球がくるくる回りベジタブルのデモンストレーションアニメ

デモプログラムを何も動作させないでいると、自動でアニメーション画面に切り替わります。地球がくるくる回り、野菜の絵が流れるデモアニメで、BGMはCPUを10MHzに設定しておくとちょうど良く合っていました。付属のデモプログラムと店頭で流されていたデモプログラムとでは種類が異なり、店頭用は続けてビジネスシーンのアニメが流れました。
UV初期に当たるのがPC-9801UV2
UV2はUV初期にあたります。モデルチェンジ機のUV21はUV中期にあたり、メインメモリが640KB標準装備(専用スロット内にPC-9801-21Kを2枚増設しただけ)となり前面パネルがVM21を模したものに変更されたのみです。後期のUV11はコンパクトな筐体に変わったことで、性能面に変更はありません。なおUV11は拡張メモリの互換性はなく、UV初期/中期からの流用はできず、買い換えざるを得ません(誰かが言っていたが、PC-9801はモデルチェンジの度お金がかかるようにできているようだ)。
PC-9801UV2のFDDは横並び

PC-9801はMS-DOSが標準で、市販ソフトを使う場合、640KB標準が条件とするものが増えてきました。そこでPC-9801-21Kを2枚専用スロット内に増設しましたが、HDDを接続すると一太郎を使うにはEMSが必須となる場面が出てきます。 サードパーティからEMSメモリが市販されており、2個ある拡張スロットの1個にはEMSメモリ、もう一つにはHDD I/Fを入れるという使い方でかなりの力を発揮できるマシンでした。
購入当初はN88-BASIC(86)で簡単なプログラムを入力したりしていました。やがてMS-DOSの市販ソフトを使うようになり、V30搭載機とはいえ、かなり長く使用したマシンでした。
当時3.5インチフロッピーの価格が5.25インチのものより4倍位していたから、それだけが唯一のネックではありましたが、その後1年しないうちに3.5インチFDの価格は大きく値崩れしていきました。
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