ベストセラーとなったPC-9801VM2は、1985年7月発売開始されています。NECが独自に開発したi80186互換のV30を搭載し、4086色中8色表示を可能にしたことが大きな特徴です。VM2は2HD/2DD両用のFDDを2台搭載、VM0の方はFDDオプションです。
PC-9801VF2はPC-9801Fシリーズの後継機種で、VMシリーズと同じ1985年7月発売開始されました。CPUはVMと違い8MHz固定となっています。また、FDDは2DDを2台搭載しています。FDDなしモデルはありません。1985/09発売のVM4は、VM2に20MBのHDDを内蔵させたものです。HDDを納めるため、ケースはその分横長になっています。
「16ビットパソコンは高次元へと限りなく加速する」※VM0/VM2
「拡がるビジネス・パワーを実感させるこの性能」※VM4
「16ビットパソコンをリードする高水準の機能」※VF2
PC-9801VM/VFスペック
機能 | 仕様 |
---|---|
CPU | V30を8MHz/10MHz切り換えて稼働。 ※VF2はV30を8MHz固定稼働。 |
ROM | N88-BASIC(86)及びモニタ96KB。 |
メインRAM | VM0/VM2/VM4:384KB。VF2はRAM256KB内蔵。 本体内にPC-9801-21Nを増設することで最大640KBまで拡張可。 |
ビデオRAM | 192KB。 |
テキストRAM | 12KB。 |
テキスト表示 (英数カナ) |
80文字×25行 / 80文字×20行 / 40文字×25行文字 / 40文字×20行 切り換えて使用 文字及びグラフィック記号(248種)8色表示カラー(黒、青、赤、マゼンタ、緑、シアン、黄、白)、キャラクタ単位に指定可。ユーザー定義文字機能 リバース、ブリンク、シークレット |
グラフィックス表示 | ※アナログRGB接続時 640×400ドット2画面4096色中8色表示 640×200ドット4画面4096色中8色表示 (PC-9801-24使用時各16色に増加) ※デジタルRGB接続時 640×400ドット2画面8色表示 640×200ドット4画面8色表示 ※モノクロはこの倍 |
漢字表示 | JIS第1水準漢字ROM/JIS第2水準漢字ROM標準搭載。 JIS第1水準漢字2965種 JIS第2水準漢字3384種 非漢字885種 ユーザー定義文字機能188種 拡張漢字ROM(オプション) ※グラフィックス/テキスト画面に表示可 |
画面合成 | テキスト/グラフィックス画面の合成可(優先順位付け可) |
シリアルI/F | RS232C |
プリンタ | セントロニクス社仕様に準拠 |
内蔵FDD | VM2/4は2HD/2DD両用FDD2台内蔵 VM0はオプション。2HD/2DD両用FDDを2台内蔵可(PC-98XA-05を利用)。VF2は2DDのFDD2台内蔵。 |
8インチFDD | 接続可 |
外付け用FDDI/F | 2HDのFDD接続可 |
HDD | 外付け可(I/Fボード別売) ※VM4は20MB(SASI)内蔵(増設HDD端子あり) |
マウスI/F | バスマウス接続可 |
カセット(CMT)I/F | オプション、拡張スロット内実装(300ボー/1200ボー) |
CRT接続 | アナログRGB、デジタルRGB、モノクロディスプレイ(ライトペン接続可) |
サウンド | オプション |
拡張スロット | 16ビットのCバス4個 |
カレンダ時計 | 電池によるバックアップ |
外寸法 | 本体(W)420×(D)345×(H)150㎜ ※VM4は470(W)×345(D)×(H)150㎜ 8.3kg(VM0)10.3kg(VM2/VF2)12.5kg(VM4) キーボード(W)470×(D)195×(H)38㎜ 1.6kg |
本体重量 | VM0:8.3kg VM2/VF2:10.3kg VM4:12.5kg |
主な添付品 | :ガイドブック、N88-日本語BASIC(86)ユーザーズマニュアル、N88-日本語BASIC(86)リファレンスマニュアル・N88-日本語BASIC(86)プログラミング入門、N88-日本語BASIC(86)リファレンスブック、キーボード、電源ケーブル、 モノクロCRTケーブル、保証書、お客様登録カード、ケーブルラベル、サービス網一覧表、N88-日本語 BASIC(86)システムディスク、デモプログラムディスク、未使用フロッピー1枚 |
Mシリーズでは2HDのみしか扱うことができなかったFDDの問題も、VMシリーズでは2HD/2DD両用FDDを搭載することで解決しています。VM0は8インチFDD接続を前提としたためFDDは内蔵されていませんが、オプションで2台内蔵でき、VM2と同じになります。
VM0/VM2/VM4はメインメモリは384KB標準実装となっているので、当時のMS-DOSアプリを扱うには十分でした。不足なら640KBまで増設できます。それも、専用スロットを使うので、本体汎用スロットを使わずに済みます。
VM4ではSASI仕様の20MBHDDが内蔵されていますが、当時はまだMS-DOSはフロッピーベースで十分であり、HDDは用がなかったのです。確かにHDDは必要なソフトやデータを片っ端から入れておけるので便利ですが、MS-DOS自体FDDベースで設計されていたので、やや使用が面倒ではありました。基本的に、HDDは拡張スロット内にI/Fボードを実装して外付けするのが一般的でした。
翌年1986年にVXシリーズが登場し、PC-9801用のMS-Windows1.0が登場すると、情勢が変わったし、サードパーティからHDDが発売されてくると徐々に一般ユーザーにも普及し始め、ソフトもHDD対応が常識となっていきました。
グラフィックスはデジタルRGB利用時は640×400ドット時8色表示ですが、アナログRGB利用時は640×400ドット時4096色中8色選択となります(オプションで16色表示)。
VF2はメインメモリは256KBとVMよりも容量が少ないので、384KBに増設する必要があります。また、FDDは2DDのみの対応です。それ以外はVMと同じですが、すでにFDDは2HDの時代に入っており、Fシリーズの後継機種はこれで終了し、VMシリーズに統一されています。
オプション
品番 | 品名 | 機能 | 希望小売価格 |
---|---|---|---|
PC-9801-21N | 128KB増設メモリ | 本体内専用スロットに実装することで、640KBまで増設可(VMでは2枚、VFでは3枚必要) | 10,000円 |
PC-9801-24 | 16色ボード | 4096色中16色表示を実現するためのボード。本体内専用スロットに実装 | 20,000円 |
PC-9801-18 | 拡張漢字ROMチップ | JIS第一/第二水準に含まない漢字388文字内蔵。本体内ソケットに実装 | 7,000円 |
PC-98XA-05 | 2台内蔵用2HD/2DDのFDDドライブ | PC-98XA用だが、VM0/用にも使用する | 160,000円 |
ホビー志向向けオプション
品番 | 品名 | 機能 | 希望小売価格 |
---|---|---|---|
PC-9801-26/K | サウンドボード | FM音源3音とSSG音源3音の6重和音8オクターブのサウンドボードで、PC-8801mk2SRと同じ機能を実現。ボード上にスピーカーが搭載されており、バックには外部オーディオ端子とMSX規格のジョイスティック端子2個が用意されている。拡張スロットに実装 | 25,000円 |
PC-9801-25 | スーパーインポーズボード | ビデオやテレビとパソコン画面を合成する。640×200ドットのデジタルRGBのみ対応。V30機のみ使用可 | 58,000円 |
PC-9801VM/VFラインナップ
品番 | 内蔵FDD | 内蔵HDD | 発売 | 希望小売価格 |
---|---|---|---|---|
PC-9801VM0 | なし(内蔵可能) | なし(外付け可) | 1985/7 | 295,000円 |
PC-9801VM2 | 2HD/2DD兼用 5.25インチFDDx2台 |
なし(外付け可) | 1985/7 | 415,000円 |
PC-9801VM4 | 2HD/2DD兼用 5.25インチFDDx2台 |
20MB(SASI) | 1985/9 | 830,000円 |
PC-9801VF2 | 2DD専用 5.25インチFDDx2台 |
なし(外付け可) | 1985/7 | 348,000円 |
VMシリーズは、発売と同時にベストセラーとなり、ジャストシステムの一太郎が発売されたことと合わせて、「一太郎マシン」と呼ばれたこともあります。ちょうど、PC/AT互換機が「Lotus1-2-3マシン」と呼ばれていたのと非常によく似ており、ソフトはそのマシンの命運を握っているということのたとえです。
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