「活動範囲をさらに拡げた新世代ビジネスマシン」
このシリーズは、エプソンのPC-9801互換機「PC-286」の登場で、あわてて発売したような印象を受ける。何が変わったか、といえば、80286のCPUクロック周波数が10MHz動作するようになったことだけだ。
VX0/2/4を買った人には何ともやりきれないが、このあたり、NECの姿勢はやはり残念である。
個人向けにはVX21の方がよく出ていたが、まだHDD内蔵型の値段が高かったこととも関係している。
PC-9801VX01/21/41スペック
- CPU
i80286 10/8MHz
V30 10/8MHz
※いずれか切り換えて稼働。 - コプロセッサ
i80287
※80286動作時のみ使用可
i8087
※V30稼働時の8MHz時のみ使用可。 - ROM
N88-BASIC(86)及びモニタ96KB。 - メインRAM
640KB - ビデオRAM
256KB。 - テキストRAM
12KB。 - テキスト表示
英数カナ80文字×25行 / 80文字×20行 / 40文字×25行文字 / 40文字×20
行 ※切り換えて使用。
文字及びグラフィック記号(248種)
文字単位にアトリビュート設定可。リバース、ブリンク、シークレット、8色表示カラー(黒、青、赤、マゼンタ、緑、シアン、黄、白)。 - カラーグラフィックス
640×400ドット2画面
640×200ドット4画面
※アナログRGB接続時4096色中16色表示
※デジタルRGB接続時8色表示 - モノクログラフィックス
640×400ドット4画面
640×200ドット16画面 - 日本語表示
文字構成:16×16ドットゴシック体
文字種類:JIS第1水準漢字2965種
JIS第2水準漢字3384種
非漢字885種
ユーザー定義文字機能188種。
拡張漢字388文字はオプション
画面構成:40文字×25行、40文字×20行
※グラフィックス/テキスト画面に表示可 - 画面合成
テキスト/グラフィックス画面の合成可(優先順位付け可) - バックグラウンドカラー
8色表示可(専用高解像度ディスプレイ使用時) - 内蔵FDD
VX21/VX41は2HD/2DD両用FDD2台内蔵。
VX01はオプション。2HD/2DD両用FDDを2台内蔵可(PC-98XL-05を利用)。 - キーボード
(スカルプチャータイプ) JIS標準配列準拠、テンキー、コントロールキー、10ファンクションキー、キャピタルロック可、HELP、COPY、BS、INS、DEL、XFER、NFERキー。
セパレートタイプ(本体とカールケーブルにより接続) - シリアルI/F
RS232C準拠 - プリンタI/F
セントロニクス社仕様に準拠 - 外付け用FDDI/F
2HDのFDD接続可 - HDD
外付け可(I/Fボード別売)
※VX41/VX41WNは20MBHDDを内蔵済み - マウスI/F
バスマウス接続可 - カセット(CMT)I/F
オプション、拡張スロット内実装可(300ボー/1200ボー)
※V30モード時のみ使用可 - CRT接続
アナログRGB
デジタルRGB
モノクロディスプレイ
家庭用テレビ接続可(別売テレビアダプタが必要) - サウンド
オプション - 拡張スロット
16ビットのCバス4個 - カレンダ時計
電池によるバックアップ - サービスコンセント
2個 - 電源
AC100V±10%、50/60Hz - 使用条件
10~30℃,20~80%(但し結露しないこと) - 外寸法
VX01/VX21:(W)398×(D)335×(H)87㎜。
※VX41/VX41WN:(W)470×(D)345×(H)150㎜
キーボード:(W)470×(D)195×(H)38㎜ - 重量
VX01:9.8kg。
VX21:11.6kg。
VX41:13.6kg。
VX41WN:13.6kg。
キーボード:1.2kg - 主な添付品
グリーティングカード、キーボード、電源ケーブル、モノクロCRTケーブル、ガイドブック、ハードウェアマニュアル、N88-日本語BASIC(86)関連マニュアル(ユーザーズマニュアル、リファレンスマニュアル、プログラミング入門、リファレンスブック)、保証書、お客様登録カード、ケーブルラベル、ケーブルカバー、サービス網一覧表。
※VX4WNにはMS-DOS/WS-Windows関連マニュアルも付属。 - 発売
1987/6
新VXでは、EGCをサポートしたBIOS、N88-BASIC(86)が搭載され、これに加えてグラフィックス用VRAMにデュアルポートRAMを採用したことにより、データの読み出し、書き込みが同時に行えるようになった。EGCの能力が完全に発揮できるようになったため、CPUのクロックが10MHzに向上した以上にグラフィックスの速度が向上している。但し、サードパーティ各社は、「早いVM」のコンセプトで製品開発していたので、EGCを活用したソフト/ハードは出てこなかった。
PC-9801VX01/VX21/VX41ラインナップ
- PC-9801VX01
FDDなし(内蔵可)
HDDなし(外付け可)。
価格353,000円
※VX01にFDDを内蔵する場合は、PC-98XL-05を使用する事。 - PC-9801VX21
5.25インチFDD×2台。
HDDなし(外付け可)。
価格433,000円 - PC-9801VX41
5.25インチFDD×2台。
HDDなし(外付け可)。
価格630,000円 - PC-9801VX41WN
5.25インチFDD×2台。
HDD内蔵済み(SASI)。
価格658,000円
※WINDOWS1.0Aインストール済み
HDDの価格が下がったので、HDD搭載モデルは旧VXよりも大幅に値下げされている。
MS-Windows1.0は、1.0Aにマイナーチェンジされて、速度面である程度実用に耐えるものとなった。但し、この解像度ではWindowsを使うには狭い画面で、やはりハイレゾモードの低価格化が望まれるところである。
ビジネスもホビーも98で
NECとしては、ホビーは88、ビジネスは98と考えていたせいだろう、同時期発売されていたPC-88VAと比較すると、FM音源はオプションだし、グラフィックスは同時発色数も少なく、面白味に欠けているのも事実だったが、個人向けとしても結構出ていた。やはり、PC-9801を選んでおけばビジネスにもホビーにも両方使える、という状況になっていたからであった。
個人レベルならまだHDDは必要性が薄かったので、VX21がよく出ていた。必要が出たらあとから外付けHDDを取り付ける、というのが一般的だった。
寸評:EPSON互換機に対抗した間に合わせのマイナーチェンジ機
結論
新VXシリーズは、発売開始時、新製品発表会と題して、ユーザー登録した人に招待状が送付され、サンシャインシティで展示会が行われた。早速見に行った記憶がある。アンケートに購入意向を聞く項目もあったが、旧VXを買った人が、では、旧VXを中古に売って新VXを買うか、というと…