「パソコン最先端を目指すあなたへ向けて、高性能、高機能98MATE登場。」
発売されて1年も経たないのにまたモデルチェンジされ、Ap2/As2の発売となった。今回からキーボード/マウスコネクタが後ろに配置され、同時に14.6MBの壁がなくなり、71.6MBまでメモリが使えるようになった。
ころころモデルチェンジが行われている印象が強いPC-9801だが、これはPC-9821Aでも同じだった。
なお、Mモデル(5.25インチFDD内蔵型)にはHDD装着済みモデルはなし、FDD2台内蔵のみのベーシックなモデルのみとなっている。やはり、ノート形の普及で、3.5インチFDが普通になって来たこともあるのだろう、その後発売されるX型番機などは3.5インチFDD内蔵型のみラインナップされる。
PC-9821Ap2/As2スペック

- CPU
Ap2はi486DX2 66MHz。
As2はi486SX 33MHz。ODP使用可。 - セカンドキャッシュメモリ
Ap2では標準128KB。As2は内蔵可
※最大256KB - ROM
N88-BASIC(86)及びモニタ、システムセットアップメニュー他128KB。 - メインRAM
M2/U2モデルは3.6MB内蔵。
S3社製 86C928アクセラレータ内蔵モデルは5.6MB内蔵。
MGA-IIアクセラレータ内蔵モデルは7.6MB内蔵。 - メインRAM増設
71.6MB。Ap2/U8及び、Ap2/C9Wは73.6MB。
※本体メモリ専用スロットに増設可。 - ビデオRAM(本体グラフィックス用)
512KB。 - テキストRAM
12KB。 - テキスト表示 ※MS-DOS時のみ
英数カナ80文字×25行 / 80文字×20行 / 40文字×25行文字 / 40文字×20
行
※切り換えて使用。
文字及びグラフィック記号(248種)
文字単位にアトリビュート設定可。リバース、ブリンク、シークレット、8色表示カラー(黒、青、赤、マゼンタ、緑、シアン、黄、白)。 - グラフィックス表示
640×400ドット2画面4096色中16色表示。
640×200ドット4画面4096色中16色表示。
640×480ドット1画面1677万色中256色。
640×480ドット2画面1677万色中256色。 - 画面合成 ※MS-DOS時のみ
テキスト画面とグラフィックス画面合成可(優先順位設定可) - バックグラウンドカラー※MS-DOS時のみ利用可
8色表示可(専用高解像度ディスプレイ使用時) - As2/U7W,Ap2/U8W,Ap2/C9W搭載アクセラレータ
S3社製86C928を本体内ローカルバスに接続。VRAM1MB。
640×400ドット
640×480ドット(1,677万色中256色、1,677万色)
1,024×768トット/1,120×750ドット(1,677万色中256色)
※本体グラフィックス/テキスト画面との合成表示は不可。 - Ap2/C9搭載アクセラレータ
PC-9821A-E11を標準実装(Matrox社製 MGA-II )VRAM:2MB。拡張スロット内ローカルバスに実装済み。
640×480ドット(1,677万色中256色、1,677万色)
1,024×768トット(1,677万色中256色)
1,280×1,024ドット(1,677万色中256色)
※本体グラフィックス/テキスト画面との合成表示は不可。 - 漢字表示※MS-DOS時のみ
文字構成:16×16ドットゴシック体。
文字種類:JIS第1、JIS第2、非漢字、拡張漢字等約7,600文字。
ユーザー定義文字機能188種。
画面構成:40文字×25行、40文字×20行
※グラフィックス/テキスト画面に表示可 - 内蔵FDD
Uモデルは3モード対応3.5インチ2HD/2DDのFDDを内蔵。
Mモデルは5.25インチ2HD/2DDのFDDを内蔵。
U2/M2はFDD2台内蔵、HDD内蔵モデルは1台内蔵(1台増設可) - HDD
IDE/SCSIいずれか内蔵可。
As2/U7Wは170MB、As2/U8W、Ap2/U8Wは340MB、Ap2/C9W、Ap2/C9Wは540MBのIDE仕様のHDDを内蔵しMS-DOS5.0A/Windows3.1インストール済み。 - CD-ROM
Ap2/C9Tは倍速CR-ROMドライブをファイルスロット内に内蔵済み。 - キーボード
(スカルプチャータイプ) JIS標準配列準拠、テンキー、コントロールキー、15ファンクションキー、キャピタルロック可、HELP、COPY、BS、INS、DEL、XFER、NFERキー。
セパレートタイプ(本体とカールケーブルにより接続) - シリアルI/F
RS232C準拠 - プリンタI/F
セントロニクス社仕様準拠 - 外付けFDD用I/F
2HD(オプション、拡張スロット内に実装) - マウスI/F
バスマウス仕様。Windows3.1モデルには標準添付
PC-98DO/P-11を装着してアタリ規格のジョイスティックを装着可能。この場合マウスとの併用は不可。 - SCSI I/F
オプション、SCSI仕様の内蔵HDD実装時及び、ファイルスロット対応機器実装時に必要(増設コネクタあり)※専用スロットに増設(PC-9821A-E10相当品) - ファイルスロット
1個。SCSI仕様の機器を内蔵可(要PC-9821A-E10相当品)。 - CRT接続
アナログRGB - サウンド
YM2608採用。FM音源6重和音、リズム音源6重和音、PSG音源3重和音の計6重和音8オクターブ標準装備(86音源互換)/PCM録音・再生機能。
マイクロホン入力(モノラル、ミニジャック、本体前面)
ライン入力 (ステレオ、ミニジャック、本体背面)
ヘッドホン出力 (ステレオ、ミニジャック、本体前面)
ライン出力 (ステレオ、ミニジャック、本体背面)
スピーカ出力 (モノラル)
※Windows3.1モデルはマイクロホン付属。 - 拡張スロット
16ビットのCバス4個。うち2個は32ビットローカルバス兼用。※Ap2/C9Tモデルはアクセラレータ用にローカルバス1個使用済み。 - サービスコンセント
2個 - 電源
AC100V±10%、50/60Hz - 使用条件
10~30℃,20~80%(但し結露しないこと) - パワーマネジメント機能
内蔵FDD/内蔵HDDのモータON/OFF制御、外付け省エネ対応ディスプレイの制御。 - 外寸
(W)380×(D)335×(H)150㎜。
キーボード 439(W)×183(D)×31(H)㎜ / 約1.2kg - 重量
Ap2/U2:9.2kg。
Ap2/U8W:11.0kg。
Ap2/C9W:11.0kg。
Ap2/C9T:10.7kg。
Ap2/M2:10.1kg。
As2/U2:9.2kg。
As2/U7W:10.2kg。
As2/U8W:10.2kg。
As2/M2:10.1kg。
キーボード 439(W)×183(D)×31(H)㎜ / 約1.2kg - 主な添付品
ガイドブック、お客様登録カード、保証書、サービス網一覧表、電源ケーブル、アース線、デモンストレーションプログラム、MS-DOS5.0A他アップグレードディスク、ソフトウェア セットアップガイド ※HDD内蔵モデルには、マウス、マイク(PC-9821A-U01相当品)、システムインストールディスク、ソフト関連マニュアル、バックアップディスク/マニュアルセット購入券も添付。 - 1993年11月発売
初代A-MATEではHDD内蔵モデルのFDDは1台だけで増設不可だったが、評判がよくなかったのか、2台目のFDDはフロントカバーを外して1台目のFDDの下にあるFDDベイに取り付けられるように変更された。もっとも、HDDの仮想FDD機能により、FDD1台でも2台あるように扱うことができる。
3台目以降のFDD接続I/Fはなくなり、必要な場合は拡張スロットに別途I/Fを挿すように変更された。また従来通り2HDのみの対応。
VRAMは本体グラフィックス用とアクセラレータ用は別になっている。
ラインナップ
5.25インチFDD内蔵モデルであるMモデルにはHDD内蔵モデルはラインアップされていない。ビデオアクセラレータ内蔵モデルの内、Matrox社製 MGA-II採用のものは、ローカルバススロットの4番目に挿してある。Ap2のWindowsインストール済みモデルはCD-ROMドライブが標準装備であることが特徴的だった。なお、S3社製 86C928 (VRAM:1MB)搭載モデルは本体内ローカルバスに接続されており、拡張スロットはすべて空いている。
PC-9821Ap2※W/T型番はWindows3.1インストール済みマシン
- PC-9821Ap2/U2
3.5インチFDD×2台内蔵
HDDなし(内蔵可)。
メインRAM3.6MB、最大71.6MB。
価格448,000円 - PC-9821Ap2/U8W
3.5インチFDD×1台内蔵
340MBHDD内蔵(IDE)。
MS-DOS5.0A/Windows3.1インストール済み。
メインRAM5.6MB、最大73.6MB
アクセラレータS3社製 86C928 (VRAM:1MB)。
価格580,000円 - PC-9821Ap2/C9W
3.5インチFDD×1台内蔵
510MBHDD内蔵(IDE)。
MS-DOS5.0A/Windows3.1インストール済み。
メインRAM5.6MB、最大73.6MB
アクセラレータS3社製 86C928(VRAM:1MB)。
CD-ROMドライブ内蔵済み。
価格700,000円 - PC-9821Ap2/C9T
3.5インチFDD×1台内蔵
510MBHDD内蔵(IDE)
MS-DOS5.0A/Windows3.1インストール済み。
メインRAM3.6MB、最大71.6MB。
アクセラレータMatrox社製 MGA-II (VRAM:2MB)
CD-ROMドライブ内蔵済み。
価格800,000円 - PC-9821Ap2/M2
5.25インチFDD×2台内蔵
HDDなし(内蔵可)。
メインRAM3.6MB、最大71.6MB。
価格462,000円
PC-9821As2※W型番はWindows3.1インストール済みマシン
- PC-9821As2/U2
3.5インチFDD×2台内蔵
HDDなし(内蔵可)。
メインRAM3.6MB、最大71.6MB。
価格328,000円 - PC-9821As2/U7W
3.5インチFDD×1台内蔵
170MBHDD内蔵(IDE)。
MS-DOS5.0A/Windows3.1インストール済み。
メインRAM3.6MB、最大71.6MB
アクセラレータS3社製 86C928(VRAM:1MB)。
価格418,000円 - PC-9821As2/U8W
3.5インチFDD×1台内蔵
340MBHDD内蔵(IDE)。
MS-DOS5.0A/Windows3.1インストール済み。
メインRAM3.6MB、最大71.6MB。
アクセラレータS3社製 86C928(VRAM:1MB)。
価格458,000円 - PC-9821As2/M2
5.25インチFDD×2台内蔵、HDDなし(内蔵可)。
メインRAM3.6MB、最大71.6MB。
価格342,000円
71.6MBまでメモリ使用可能になったが…
これまでは、14.6MBまでしかメモリが使えず、2MB単位でメモリを増設するので、メモリボードには増設サブボードを使い15.6MBまでメモリを取り付けらたが、残り1MBは無駄になっていた。今回の仕様変更で、この制限がなくなり、71.6MBまで増設して使えるようになったが、メモリボードや増設サブボードの値段は高くて、実際にはそこまですると高価格になるのが落ちだった時代である。また、Windows3.1は16ビットOSだから、メモリを生かし切れず、WindowsNT等の32ビットOSでなければフル活用はできなかった。
CPUは486系で、CPUを換装して高速化する試みもあり、サードパーティからは換装用CPUも幾つか発売された。
値段は下がったが、As2では何故かCPUがi486DXからi486SXに落ちている。それ以外の基本機能は初代MATE-Aと同じで、ローカルバス、ファイルスロット、PCMサウンド機能等が使用できる。同時に出たMATE-Bと異なりHDDなしのベーシックなモデルがあるので、自分でMS-DOS/Windows3.1をインストールでき、HDDもサードパーティのものから選ぶこともできた。また、のちに発売される32ビットOSのWindowsNTやOS/2もこのマシン以降からが対応機種とされていた。
オプションの例
- PC-9821A2-002:セカンドキャッシュメモリ。容量128KB。価格30,000円
- PC-9821A-E04L:オーバードライブプロセッサ(487SX)。As2用。価格92,000円
- PC-9821A2-E02:増設用FD I/Fボード。2HDのみ対応。拡張スロットに実装。価格17,000円
アクセラレーターボード等の例
- PC-9821A-E09:フルカラーウィンドウアクセラレーターボードA。S3社製86C928、VRAM2MB。価格110,000円
- PC-9821A-E09-01:PC-9821A-E09用の増設VRAMボード。1,024×768トット時1677万色表示が可能となる。容量2MB。価格80,000円
- PC-9821A-E11:ウィンドウアクセラレーターボードA2。Matrox社製MGA-II、VRAM:2MB。価格110,000円
- PC-9821A-E11:E08:ビデオキャブチャボード。価格85,000円
- PC-9821A-E11:E02:98ハイレゾボード。価格70,000円
※いずれも拡張スロット内ローカルバスに実装。
ファイルスロット機器の例
- PC-CC60F:マルチスピン倍速CD-ROMドライブ。価格58,000円。
- PC-CC60FS:PC-CC60FのMS-DOS版ソフトウェアセットモデル。価格88,000円。※1994年12月末までの限定品。
※利用にはPC-9821A-E10相当品が必要。
ファイルスロット機器や内蔵HDD、増設メモリはサードパーティ各社からも多数発売された。特に増設メモリはNEC純正品を売っているのを見たことがない。
コメント
本来Ap/As/Aeで14.6MBの壁をなくすべきだったといえるだけに、こういうモデルチェンジはやりきれなさを感じる。アクセラレータはWindows3.1インストール済みモデルにしか搭載されていないというのも良くない。全機種標準搭載とするべきだった。