「CAD/簡易サーバー用途に応えるプロフェッショナル98、新基準を築く。」
前年の1993年11月に発売されたPC-9821Bを作り直したモデルがこのPC-9821Xシリーズで、PCIスロットが標準装備されています。以前あったPC-98XAをイメージさせる名前になっています。通称X-MATEは、1998年8月に最終モデルが発売されましたが、このときの型番も「Xa」でした。
このラインでは、HDDなしのベーシックモデルも用意されていますが、他のモデルはMS-DOS5.0A/Windows3.1がインストール済みとなっています。
PC-9821Xaスペック

- CPU
Pentium 90MHz ※セカンドキャッシュ内蔵(256KB) - ROM
BIOS、N88-BASIC(86)、システムセットアップメニュー他128KB - メインRAM
7.6MB。最大127.6MB。※本体メモリ専用スロットのサブボードを外し、32MBのサブボード×4枚実装することで可。サブボードは2枚単位で実装する。 - ビデオRAM
512KB。 - テキストRAM
12KB。 - テキスト表示(MS-DOS利用時のみ)
テキスト表示(MS-DOS時のみ利用可)
英数カナ80文字×25行 / 80文字×20行 / 40文字×25行文字 / 40文字×20行 ※切り換えて使用。
文字及びグラフィック記号(248種)
キャラクタ単位にアトリビュート(リバース、ブリンク、シークレット、8色表示カラー[黒、青、赤、マゼンタ、緑、シアン、黄、白])設定可 - カラーグラフィックス(MS-DOS利用時のみ)
640×400ドット2画面
4096色中16色
1677万色中256色表示(MS-DOS6.*のみ) - 画面合成※MS-DOS時のみ利用可
テキスト/グラフィックス画面の合成可(優先順位付け可) - バックグラウンドカラー※MS-DOS時のみ利用可
8色表示可(専用高解像度ディスプレイ使用時) - アクセラレータ
Matrox社製のMGA-II。本体PCIスロットに実装済み(U1はオプション)
※ビデオRAM 2MB。 - アクセラレータ画面 ※MS-DOS時利用不可
640×480ドット (1677万色中256色/1,677万色)
1024×768ドット (1677万色中256色/オプションで1,677万色全色可)
1280×1024ドット(256色) - 漢字表示標準搭載(MS-DOS利用時のみ)
文字構成:16×16ドットゴシック体
文字種類:JIS第1、JIS第2、拡張、非漢字等約7,600種
ユーザー定義文字機能188種。
画面構成:40文字×25行、40文字×20行
※グラフィックス/テキスト画面に表示可 - キーボード
(スカルプチャータイプ) JIS標準配列準拠、テンキー、コントロールキー、15ファンクションキー、キャピタルロック可、HELP、COPY、BS、INS、DEL、XFER、NFERキー。
セパレートタイプ(本体とカールケーブルにより接続) - 内蔵FDD
3モード対応3.5インチFDDを1台内蔵(1台増設可) - HDD
IDE/E-IDE仕様。 - CD-ROM
IDE仕様CD-ROMドライブをファイルベイに実装可。 - シリアルI/F
RS232C準拠 - プリンタI/F
セントロニクス社仕様準拠 - マウスI/F
バスマウス仕様 - CRT接続
アナログRGB - サウンド
PCM録音/再生機能(ステレオ)標準装備。マイクロホン入力(モノラル、ミニジャック、本体前面)。ライン入力 (ステレオ、ミニジャック、本体背面)。ヘッドホン出力 (ステレオ、ミニジャック、本体前面)。ライン出力 (ステレオ、ミニジャック、本体背面)。スピーカ出力 (モノラル)。 - 拡張スロット
16ビットのCバス3個。 - PCIスロット
2個(HDD内蔵モデル「C9W」は1個アクセラレータ実装済み。4倍速CD-ROM内蔵モデル「C10W」はSCSI I/F実装済み) - ファイルベイ
1個(但しC9W/C10WはファイルベイにCD-ROMドライブを実装済み)。
※ファイルスロットとの互換性なし - パワーマネジメント
内蔵FDD/内蔵HDDのモータON/OFF制御、省エネ対応ディスプレイの制御(専用ディスプレイを接続し、Windows3.1使用時制御可能)。 - サービスコンセント
1個 - 電源
AC100V±10%、50/60Hz - 使用条件
10~30℃,20~80%(但し結露しないこと) - 外寸
本体380(W)×420(D)×150(H)㎜(ゴム足含む)
キーボード:439(W)×183(D)×31(H)㎜ - 重量
Xa/U1:9.6kg
Xa/U8W:10.1kg
Xa/C9W:11.2kg
Xa/C10W:11.6kg
キーボード:1.2kg - 備考
HDD内蔵モデルはMS-DOS5.0A/Windows3.1インストール済み。 - 発売
1994/7 - 価格改定
1994/12/9 - 備考
プラグ&プレイサポートソフトウェアを付属(U1モデルを除く)
PC-9821Xaラインナップ
- PC-9821Xa/U1
3.5インチFDD×1(3モード対応)
HDD内蔵可。
PCIスロット×2個
価格640,000円。
価格改訂後520,000円 - PC-9821Xa/U8W
3.5インチFDD×1(3モード対応)
HDD270MB。
PCIスロット×2個
価格640,000円。
価格改訂後カタログ落ち - PC-9821Xa/C9W
3.5インチFDD×1(3モード対応)
HDD540MB
IDE仕様のCD-ROM倍速ドライブを実装済み。
PCIスロット×2個(アクセラレータ実装済みのため空きは1個)
価格730,000円。
価格改訂後560,000円 - PC-9821Xa/C10W
3.5インチFDD×1(3モード対応)
HDD1GB
SCSIⅡ仕様のCD-ROM4倍速ドライブを実装済み。
PCIスロット×2個(アクセラレータ及びSCSI I/F実装済みのため空きはなし)
価格880,000円。
価格改訂後710,000円
発売後価格変更もあり、10~20万円程度下げられています(C8Wは生産中止?)。
オプションの例
- PC-9821X-B01
Matrox社製アクセラレータ。チップ搭載。U1を除き実装済み。
価格88,000円。 - PC-9821X-B01-01
PC-9821X-B01用の増設VRAM。2MB。
価格30,000円。 - PC-9821X-B02
SCSI-II I/Fボード。PCIスロットに実装。
価格42,000円。 - PC-9801-86
PC-9821Aシリーズと同等のサウンド機能(FM音源6音、リズム音源6音、SSG音源3音、ADPCM録音再生)を実現するためのボード。ジョイスティック1本接続可。専用マイクロホン付き。拡張スロットに実装。
価格25,000円
CD-ROMドライブはC9WではIDE仕様の倍速ドライブ、C10WではSCSI仕様の4倍速ドライブがファイルベイに内蔵されています。このシリーズから、IDEを拡張したE-IDEが採用されており、現在のATAPIと通じています。
X-MATEからPC/ATと同じ形状のPCIバスが実装されるようになり、ボードを取り付けるには本体カバーを開ける必要があります。Xa/U1では2個使えますが、U8W/U9Wではアクセラレータに1個使用しているので空きは1個のみとなり、C10WではアクセラレータとSCSI I/Fに使用しているので自由に使えるスロットはありません。
アクセラレータはU1を除いてPCIスロットに実装されており、当時早いといわれたMatrox社製のMGA-IIが採用されており、2MBのビデオメモリが実装されています。1024×768ドット 1,677万色中256色表示ができますが、オプションのPC-9821X-B01-01をボード上に実装するとビデオメモリは4MBに増え、1,677万色全色表示も可能になります(640×480ドットでは標準で1,677万色表示可)。
本体テキスト/グラフィックスは、一旦アクセラレータにケーブルで接続され、改めてアクセラレータからCRTに接続する、という形がとられています。本体テキスト/グラフィックスはMS-DOSでのみ利用可能で、Windows等での利用はできません。
XaモデルはX-MATEとも呼ばれ、PCIスロットの採用、E-IDEの採用など、ほとんど内部構造はPC/AT互換機に近いものに仕上がっています。それでも、やはりPC/AT互換機よりも価格が高い印象があります。
コメント
PC-9801は元々国内の工場で生産されていたが、コストダウンを図るため、この頃から海外生産にシフトして来つつあった。ROM-BASICはA-MATEの頃から搭載されてはいたもののFDD/HDDからの立ち上げが前提になったため使用できなくなっている。