「ハートふたつのやさしいパソコン。」
PC-98DOのモデルチェンジ機PC-98DO+は、CPUをV33(80286相当)に変更し、88モード時のサウンド機能をPC-8801MA2相当にアップしたマシン。
もう一つのカタログコピーは、「”98のビジネスソフトも使いたい。でも88のホビーソフトも魅力的。”こんなワガママ新しいDO+なら、心地よくひきうけてくれます。」
PC-98DO+スペック

- CPU
98モード時V33A 16MHz。
88モード時μPD7008AC(Z80H相当品)4/8MHz切り替え - ROM
98モード:N88-BASIC(86)及びモニタ96KB。
88モード:N88-BASIC他128KB - RAM
98モード時:640KB。EMS拡張メモリ内蔵可(98NOTE用を使用する)。
88モード時:192KB。 - VRAM
98モード時:256KB。
88モード時:48KB。 - テキストRAM
98モード時:12KB。
88モード時:4KB。 - テキスト表示
英数カナ80文字×25行/80文字×20行/40文字×25行/40文字×20行。
キャラクタ単位にアトリビュート設定可。リバース、ブレイク、シークレット、8色表示。
※88モードのV2時のみ時512色中8色表示。 - グラフィックス表示
■98モード時
640×400ドット2画面、640×200ドット4画面各4096色中16色表示。
モノクロ時640×400ドット時8画面、640×200ドット時16画面。
■88モード時
640×200ドット1画面512色中8色から選択、
モノクロ時640×200ドット3画面/640×400ドット時1画面 - 画面合成
可(98モード時のみテキスト・グラフィックス画面優先順位設定可) - 漢字表示
JIS第1/JIS第2、非漢字等。
(16×16ドット)40文字×25行/40文字×20行。
98モード時のみ拡張漢字及びユーザー定義文字188種設定可。
98モード時テキスト/グラフィックス両画面に表示。
88モード時はグラフィックス画面のみ表示。 - バックグラウンドカラー
■98モード時
8色表示可(専用高解像度ディスプレイ使用時)
■88モード時
8色中1色指定可
512色中1色指定可 ※注N88-BASICのV2モードのみ可能 - 内蔵FDD
5.25インチFDDを2台内蔵。
※98モードは2HD/2DD。88モードは2HD/2D - キーボード
(スカルプチャータイプ) JIS標準配列準拠、テンキー、コントロールキー、10ファンクションキー、キャピタルロック可、HELP、COPY、BS、INS、DEL、XFER、NFERキー。
セパレートタイプ(本体とカールケーブルにより接続) - HDD内蔵可能(SASI) ※98モードのみ
- シリアルI/F
RS232C準拠 ※98モードのみ - プリンタI/F
セントロニクス社仕様準拠 - マウスI/F
バスマウス仕様。変換コネクタ(オプション)を装着すれば、98モードでもPC-8801用マウスやアタリ規格のジョイスティックを接続できる。 - CRT接続
アナログRGB - サウンド
98モード時:FM音源/SSG音源各3重和音の計6重和音8オクターブ。
88モード時:OPNA(YM2608)FM音源6重和音+リズム6音+SSG音源3重和音+ADPCM1音の録音再生。
※両モードとも外部オーディオ接続端子付き - 拡張スロット
16ビットのCバス1個 ※98モードのみ - サービスコンセント
1個 - 電源
AC100V±10%、50/60Hz - 使用条件
10~30℃,20~80%(但し結露しないこと) - 外寸
本体:W380×D335×h128㎜
キーボード:W435×D180(D)×H34㎜ - 重量
本体:9.2kg
キーボード:1.2Kg - 添付品
キーボード、電源ケーブル、ケーブルラベル、サービス網一覧表、お客様登録カード、保証書等 - 添付マニュアル
ガイドブック、日本語N88-BASIC(86)関連(入門書、ユーザーズマニュアル、リファレンスマニュアル)等 - 添付FD
日本語N88-BASIC(86)システムディスク、88モード用システムディスク(システム及びフォーマットコマンド、バックアップコマンド格納) - 価格
278,000円 - 発売
1990/10
※MSーDOSやN88-日本語BASIC(88モード用)はオプションです。
動作制限
- 98モード時:数値演算コプロセッサの使用は不可。
- 88モード時:辞書ROMは内蔵されていない。PC-8801用拡張カードの使用は不可。RAM増設は不可。ハードディスクの使用不可。RS-232Cインタフェースの使用不可。キーボードはPC-9801用のものを使用。
オプションの例
- PC-98DO/P-11:PC-98DO+のマウスコネクタに装着してアタリ規格のジョイスティックやPC-8801用マウスを接続するためのアダプタ。2,000円
- PC-98DO*-36:40MBHDD(専用スロットに実装) 150,000円
- PC-88d42-MW:N88-BASICシステムディスク。88モード用。
- 純正専用スロット内蔵EMSメモリ
■PC-9801N-02:1MB増設RAMカード 65,000円
■PC-9801N-01:2MB増設RAMカード 140,000円
最後の88アーキテクチャ採用機
98モード時は、CPUにV33A 16MHz、EGC、増設用FDD端子を搭載し、 HDD内蔵可能(SASIの40Mバイトのみ)、98NOTE用の増設EMSメモリカードスロットを装備し、一太郎など当時のPC-9801の標準的なソフトウェアを動かすに足る仕様を備えた(80286以上用のプロテクトメモリやソフト、拡張カードは使用出来ない)。
PC-98DO+はV30系CPUながらEGCによるグラフィックスの高速化を図っており、ゲームソフトで動作条件が「VX以降」とある場合、286以上をいっているのかEGCをいっているのかあやふやな部分があり、これを利用するゲームソフトが動作するのかどうか微妙な部分がある(PC-9801UR/UFと同じ)。
88モードではサウンドボード2相当音源を文字通り内蔵することで、PC-8801MA2相当の機能となっている。マウス変換コネクタPC-98DO/P-11をマウスコネクタに装着することで、98モードでもYM-2608B内蔵のジョイスティックポート経由でアタリ規格のジョイスティックを使用出来、この機能は後のPC-98GSやA-MATE、それにCanbeではないMULTiに引き継がれている。
PC-8801は前年1989年11月にMCとFE2という廉価機を発売、これを持ってPC-8801約8年の歴史にピリオドが打たれていた。すでに大多数のPC-8801ユーザーはPC-9801を買い足して2台併用する形でPC-9801へと移行しており、また一部のゲームユーザーはX68000等に移行していった。
98と88両方2台揃えた方がよほど簡単
例の「よいパソコン悪いパソコン」ではこのような評価がされていた。前機種PC-98DOと同じく、試用はされてないので「いざ使ってみると」がなく、「結論」のみとなっている。
PC-9801とPC-8801の両方のソフトが動く、といってもいろいろな制限があるので、取扱説明書をよく読まないとおかしなことが起こりかねない。それならPC-9801と中古でPC-8801の2台両方揃えた方がよほど簡単だろう。
今後88モード用にどれだけゲームが開発されるのかとなるとこの水陸両用機(?)も先が長くなさそうだ。
寸評:今年中には終わりか?
結論
機能的には特に問題はなかったが、すでにPC-8801を持っている人はPC-9801を購入して2台両方揃えた方が簡単に使えるし、すでにPC-8801の最終機種が発売されて1年経っており、初めてPCを買う人は単にPC-9801を買えば良いので結果的にヒットすることはなかった。