「プロフェッショナルの高度な要求に応える16ビット最高峰。」
PC-98XAのハイレゾリューションモードに加えて、VMシリーズのノーマルモードを搭載し、PC-9801との互換性を持たせたのがこのPC-98XLである。ノーマルモードを搭載することで、PC-9801シリーズ用のソフトが使えるようになったが、これはかなり苦肉の策だった。
前面の切り替えスイッチで、ハイレゾモードとノーマルモードの切り替えが行える。ハイレゾモードは(H)、ノーマルモードは(N)と記する。
PC-98XLスペック

- CPUモード
(H)i80286 10MHz / 8MHz ※CPUクロックはいずれか切り替えて稼働。
(N)i80286 8MHz
(N)V30 10/8MHz
※ハイレゾモード/ノーマルモードいずれか切り換えて稼働。 - コプロセッサ
i80287(H)(N)
※80286稼働時のみ使用可
i8087(N)
※V30の8MHz稼働時のみ使用可 - ROM
(H)モニタ及びローダー64KB。
(N)N88-BASIC(86)及びモニタ96KB。 - RAM
標準1MB。
最大(H)7.5MB。(N)7.6MB - ビデオRAM
(H)512KB。
(N)256KB。 - テキストRAM
12KB。 - テキスト表示
(H)80文字×25行。
(N)80文字×25行/80文字×20行。40文字×25行/40文字×20行。
(H)(N)文字単位にアトリビュート設定可。リバース、ブリンク、シークレット、8色表示(黒、青、赤、マゼンタ、緑、シアン、黄、白)。 - カラーグラフィックス表示
■ハイレゾリューションモード
(H)1120×750ドット1画面。
(H)4096色中16色表示
■ノーマルモード
(N)640×400ドット2画面
(N)640×200ドット4画面
(N)4096色中16色表示 - モノクログラフィックス
■ハイレゾリューションモード
(H)1120×750ドット1画面。
(H)16階調濃淡表示1画面
(H)モノクロ表示4画面。
■ノーマルモード
(N)640×400ドット8画面
(N)640×200ドット16画面。 - 画面合成
可(グラフィックス/テキスト優先順位設定可) - 日本語表示
JIS第1水準漢字/JIS第2水準漢字等約7,600文字。
ユーザー定義文字188種。
テキスト/グラフィックス画面に表示可。
(H)40文字×25行、24×24ドット、明朝体。
(N)40文字×25行/40文字×20行、16×16ドット、ゴシック体。 - 内蔵FDD
2HD/2DD両用FDD内蔵または内蔵可 - FDD外付け用I/F
あり(1MB用) - HDD
内蔵可(SASI) - キーボード
(スカルプチャータイプ) JIS標準配列準拠、テンキー、コントロールキー、15ファンクションキー、キャピタルロック可、HELP、COPY、BS、INS、DEL、XFER、NFERキー。
セパレートタイプ(本体とカールケーブルにより接続) - シリアルI/F
RS232C準拠 - プリンタI/F
セントロニクス社仕様準拠 - マウスI/F
バスマウス仕様 - CRT接続
アナログRGB、デジタルRGB - サウンド
オプション、拡張スロット内に実装 - 拡張スロット
16ビットのCバス4個。 - サービスコンセント
2個 - 電源
AC100V±10%、50/60Hz - 使用条件
10~30℃,20~80%(但し結露しないこと) - 外寸
本体(W)470㎜×(D)420㎜×(H)150㎜
キーボード:(W)470㎜×(D)195㎜×(H)×38.5㎜ - 重量
model1:13.2kg
model2:15.1kg
model4:16.5kg
キーボード:1.5kg - 添付品
キーボード、アース線、電源ケーブル、プリンタケーブル、RS-232Cチェック用ループコネクタ、ケーブルラベル、ガイドブック、ハードウェアマニュアル、サービス網一覧表、お客様登録カード、保証書、グリーティングカード等 - 発売
1986/11 - 備考
メモリを増設する際は、PC-98XL-01をまず増設すること。model0にFDDを内蔵する場合は、PC-98XL-05を使用すること。
PC-98XLラインナップ
- PC-98XLmodel1
FDDなし(内蔵可能)
HDDなし(内蔵可能)
495,000円 - PC-98XLmodel2
5.25インチFDDx2
HDDなし(内蔵可能)
575,000円 - PC-98XLmodel3
model31:5.25インチFDDx1
HDD 20MB内蔵(SASI)
835,000円
グラフィックスはアートとして使うよりも、CADに使うのがもっとも最適な方法で、また当時普及しつつあったDTPとして使うのも良いであろう。当時はまだ640×400ドットのノーマルモードで十分であり、一部の企業や研究機関などでしか需要がない状況だった。
個人用途に使えるハイレゾ対応ソフトはほとんどなく、店頭で売っているのを見たことがなかった。
速度はVXと同じで、思ったほど早くない。処理速度の向上を願ってこのマシンを買うと失望するだろう。
結論:ハイレゾはまだまだ
結論
1987年6月には早くも新VXが登場したので、このマシンの優位性は高解像度というだけになってしまった。しかし、グラフィックスに関してそれほどの高解像度を必要としないのなら、こんな高価なマシンを買うより、新VXを買った方が良いに決まっている。