「GUI環境に対応する高性能・省スペースを実現したビジネスパソコン。」
NESAバスを搭載したH98シリーズにも片づけるのが容易なトランスポートブル機が登場しているが、いずれも恐ろしく高価で、とても個人では手が出るようなマシンではない。勿論企業とて同じであろう。すでにノートPCがシェアを伸ばしており、このようなマシンの投入は疑問だった。
PC-H98Tスペック

- CPU
486SX 25MHz - コプロセッサ
使用可(487SX) - ROM
(H)64KB。
(N)N88-BASIC(86)及びモニタ96KB。 - メインRAM
model1:1.5MB
model2:3.5MB ※2MB分はPC-H98T-B01で実装済み
model2C:3.5MB ※2MB分はPC-H98T-B01で実装済み - メインRAM増設
最大12MB - ビデオRAM
model1/2(H)512KB (N)256KB。
model2C(H)1MB(N)512KB - テキストRAM
16KB。 - テキスト表示
(H)80×25行
(N)80×25行/80×20行/40×25行/40×20行。※切り換えて使用。
(H)(N)文字単位にアトリビュート設定可。リバース、ブリンク、シークレット、16階調。※Cモデルのみ8色または16色表示。 - グラフィックス表示
(H)1120×750ドット1画面。
(N)640×400ドット2画面。
(N)640×200ドット4画面。
model1/model2は本体液晶画面使用時モノクロ8階調表示。
model2Cは本体カラー液晶画面使用時4096色中256色、1677万色中256色選択。
外部アナログRGBディスプレイ接続時4096色中16色、1677万色中16色表示。model2Cのみ1677万色中256色表示にも対応する。 - モノクログラフィックス表示
(H)1120×750ドット表示。4画面。
(N)640×400ドット8画面。
(N)640×200ドット16画面。 - 画面合成
可(優先順位設定可) - 漢字表示
JIS第1、JIS第2、拡張、非漢字等約7,600文字。
ユーザー定義文字188種。
(H)40文字×25行、24×24ドット。明朝体。
(N)40文字×25行/40文字×20行、16×16ドット。ゴシック体。
※各テキスト/グラフィックス画面に表示可。 - 液晶画面
model1及びmodel2は白黒液晶(8諧調)
model2CはTFTカラー液晶。 - 外部CRT接続
アナログCRT接続可 - 内蔵FDD
3.5インチ2HD/2DDのFDDを2台内蔵。 - FDD外付け用I/F
2HDのものが使用可 - HDD
model1:内蔵可(98NOTE用)
model2 / model 2C:HDD20MB内蔵 - シリアルI/F
RS232C準拠 - プリンタI/F
セントロニクス社仕様準拠 - マウスI/F
バスマウス仕様 - サウンド
オプション。拡張スロット内に実装。 - 拡張スロット
NESAバス兼16ビットのCバス2個 - 電源
AC100V±10%、50/60Hz - 使用条件
10~30℃,20~80%(但し結露しないこと) - 外寸:(W)375×(D)450×(H)135㎜
- 重量
model1:11kg
model2:11.4kg
model2C:12.8kg - 主な添付品
グリーティングカード、ガイドブック、AC電源ケーブル、アース線、プリンタケーブル、ケーブルラベル、ケーブルカバー、サービス網一覧表、お客様登録カード、保証書他 - 発売
1992年11月
オプションの例
- PC-H98T-B01:増設RAMボード。2MB。
※採用されているCPUである486SXというのは、486DXからコプロセッサを省いたもので、それ以外は同じ性能・バスを持ちます。コプロセッサは487SXで、これを挿入すると486SXは動作停止し、487SXのみが動作する、変種の486DXです。
PC-H98Tラインナップ
- PC-H98T model 1
CFLエッジライト白黒液晶(8階調)
メモリ標準1.5MB、最大14MB
3.5インチFDD×2台
HDDなし(内蔵可)
価格820,000円 - PC-H98T model 2
CFLエッジライト白黒液晶(8階調)
メモリ標準1.5MB、最大14MB
3.5インチFDD×2台
HDD20MB内蔵(ノート用HDDパック)価格980,000円 - PC-H98T model 2C
TFTカラー液晶(256色)メモリ標準3.5MB、最大12MB
3.5インチFDD×2台
HDD0MB内蔵(ノート用HDDパック)
価格1,750,000円
価格はいずれも高価で、TFTカラー液晶内蔵機は175万円もしており、如何にカラー液晶自体が高額だったかが、よく分かるだろう(しかも当時はまだフルカラー表示もできない)。
この値段では、企業ユーザーとて導入にためらってしまいそうな感があるし、企業で使用されていたのはNESAバスを採用していないノーマルなPC-9801RA等で、それで十分な役割を果たしていた。小型軽量を望むなら98NOTEがあり、それで十分すぎる程の役目を果たしてくれるだろう。
寸評:最初で最後のH98ラップトップ機
コメント
大企業でも難色を示す価格設定では売れない。小型軽量化はどんどん進歩しており、98NOTEが大きなシェアを伸ばすまでになっていた。NESAバス搭載のトランスポータブル機は、最初で最後となった。