Vixen 天体望遠鏡の特徴

Vixenといえば、皆さんご存じの光学機器メーカーで、日本ではトップシェアを誇り、望遠鏡販売店だけでなく、カメラ店や大型家電店でも取り扱いのあるメーカーです。世界でも、ミード、セレストロンに次ぐ20%のシェアを誇ります。

売り上げのうち、天体望遠鏡の占める割合は40%、次いで双眼鏡の30%、顕微鏡の30%となっていて、同社のモットーは「高機能な製品を低価格で売る」ということです。

因みに、筆者が初めてVixen製品を購入したのは天体望遠鏡ではなく顕微鏡関連製品からでした。

1.Vixen製品はエレクトロニクス技術との融合がもっとも進んだ国内製品

経緯台では、片持ち式載せ換え可能な経緯台の「ポルタⅡ」が有名で、その小型版である「ミニポルタ」があります。初心者向けに思われがちですが、ベテランユーザーにもセカンド機として愛用する人が多いです。かつては、カスタム経緯台/カスタムD経緯台というR200SSまで搭載できるものがかつてラインナップされていたことがあります。

全自動導入型経緯台には、STARBOOK TypeS、略称SBSで制御する「SKYPOD」があり、片持ち式で載せ換え可能になっていますが、SBSの生産となり、これに合わせる形でSKYPODも生産終了しました。

Vixenは世界で初めて自動導入装置「スカイセンサー」を発売しました。これはご存じの通り、見たい天体を指定してボタンを押せば自動的にそちらに向くといったもので、最先端のエレクトロニクス技術をいち早く導入したメーカーです。現在では一歩進めて星図をカラー液晶に出してそれを見ながら操作する「STARBOOK」シリーズを開発し、現在では3代目に当たるSTARBOOK TENを出しており、最先端という点でも定評があります。インターネットからファームウェアをダウンロードしてバージョンアップが容易にできるようになっています。星図を見ながら制御できますが、PCと接続して天体プラネタリウムソフトから制御することもでき、どのPCにも搭載されているLAN接続なので、RS232CをUSB変換して接続する必要がなく優れています。

初心者から中級者向けの機材が多く、上級者はタカハシ製品などに流れていくといわれていましたが、最近では上級者向けの光学機材もラインされつつあり、AX103S屈折鏡やAXD赤道儀などがあります。但し、AXD赤道儀は価格的に個人では自動車を買うか赤道儀を買うかというくらい高額な機材です。

Vixen開発のスマホアプリ「Comet Book(コメットブック)」は彗星がいつどの方角に見えるかをわかりやすく表示するアプリで、app store(iOS用)/Google play(Android)/kindle fire対応アプリ(amazon)からダウンロードできます。

2.ロングセラーのGP/GPD赤道儀は生産終了

1976年のポラリス赤道儀、そのモデルチェンジ機ニューポラリス赤道儀を経て、1984年にスーパーポラリス、通称SP赤道儀が出ており、SPでは赤経体と赤緯体を分離できる構造になっています。1988年にはその強化版であるSP-DXが発売されています。ポラリス赤道儀から、ダイキャスト成型が採用され、共通規格で鏡筒・ウエイト・三脚・カメラ・アイピースなどを自由に組み替えて使用できるシステム望遠鏡となりました。

GP赤道儀はグレードポラリスの略称で、1992年に発売されており、モーターや極軸望遠鏡をオプションとしたGPEとすべてを装備したGPがあります。1994年には強化版であるGPDが発売されています。現行のGP2はGPE、GPD2はGPDのモデルチェンジ機という位置づけですが、基本的にはモーターがオプションで、色が白に変わっただけと考えればよいでしょう。

GP/GPDからアリミゾ方式が採用され、アリミゾレールをアリミゾプレートに落とし込んでネジを締めるだけと簡単、しかも脱落しないということから、世界中の望遠鏡で採用され、事実上世界標準規格になっています。

GP(重量4kg)はモーターや極望などはすべてオプションで、目的に応じて取り付けます。GPDは極望は取り付け済ですがモーターは別途オプションです。現時点では天体ナビゲーションシステム(STARBOOK)がなく、メーカーの対応が望まれます。GPDでも重量は8.5kgあるので、持ち運びには腰を痛めないように注意が必要です。

ロングセラーのGP赤道儀は生産終了となり、代わってAP赤道儀が発売されていますが、これはポラリエの赤道儀版、という位置づけであり、GPの後継機種とは言い難いものがあります。また重量制限があり、R200SS/VC200L/VMC200Lは搭載できません。また、STARBOOKONEがコントローラですが、メモリ環がありません。自動導入コントローラーSTARBOOKTENは接続できません。初心者は手を出さない方が無難と思います。

なお、GP/GPDシリーズ用のSTARBOOKTENが開発され、CP+2017で参考出展されました。ベルト駆動方式ということですが、実際に製品化されるかは不明です(GP系は生産終了している。もっとも、GP3とかGPD3でも出す、というなら話も分かるが、それは希望が持てない)。

3.アトラクスとスフィンクス

アトラクスは業務提携していたセレストロンのC11(SC280L)を搭載するために開発されたもので、それ以前の中型赤道儀にはサターン赤道儀/センサー赤道儀がありました。

アトラクスは、1999年のSS2000PC版NAT、2007年のSB版NATを経て、アトラクスデラックス、通称AXDが発売されています。なお2016年CP+でAXJ赤道儀が開発され、無塗装の状態で参考出展されましたが、これは本当のAX系のジュニア版です。2017年CP+では塗装済みでほとんど製品同様で参考出展されましたが、高性能エンコーダーが搭載可能で、手動で赤経軸や赤緯軸を動かしてもSTARBOOKTENに反映されるので、設定のやり直しが必要なくなりました。海外製品では特に珍しいことではありませんが、早期の製品化が望まれます。

2000年代になると、安直なGPコピー製品が出てくる中、その対策の意味があったかどうかは分かりませんが、スフィンクス、通称SX赤道儀が2003年に発売されました。さらに強化版のSXD赤道儀が2007年に発売されています。

ここまでは、下位機種を先に開発し、その上位機が開発されるといった流れですが、2011年発売のSXP赤道儀では、逆に上位機のAXDのダウンサイジング機が開発されるといった流れになっています。SXDは2012年にSXPと同じSBT+パルスモーターに換装したSXD2にモデルチェンジされています。

初代SX赤道儀のモデルチェンジ機として、SX2赤道儀が発売されましたが、「STARBOOKONE」という上下左右の制御しかできないコントローラーが付属しており、メモリ環もないので、結局オプションの自動導入コントローラー「STARBOOKTEN」をすぐに買い足すようになると思います。さらに極軸望遠鏡もオプションであり、STARBOOKTENと極軸望遠鏡を買い足すとSXD2と2千円程度しか差がなくなり、これなら最初からSXD2を買った方が良い、ということになるでしょう。かつての8ビットパソコンPC-8001MK2SRとPC-8801mk2SRの関係と全く同じです。

4.ビクセンのOTA(鏡筒)

屈折鏡から反射鏡、カタティオプトリック方式まで揃っており、固定方式はアリミゾ仕様ですから、自由に載せ換えて使うことができます。アリミゾ方式の他社赤道儀などに載せることも勿論可能です。

最近のVixenに見られる高級路線

3枚玉EDレンズを採用したAX103S、最近ではAXD赤道儀でも言えますが、Vixenで入門した人がタカハシなど他社に行かずに引き続きVixenを使ってもらいたいという考えがあるのか、いたずらに高価格な機種が出てきています。AXD赤道儀やVSD100OTAなど。

なお、大型据え付け赤道儀にはカタログには載っていない完全受注生産のGAIAX赤道儀があり、登場時点ではSS2000PCかSBを切り替えて使う方式でしたが、2012年現在はSBTによるパルスモーター制御に改められています。

Vixen望遠鏡は望遠鏡販売店の他、カメラ販売店、大型家電店、関連子会社のビクセンマーケッティングで購入できます。

Vixenワンダーくらぶトナかい

2005年に発足したクラブで、個人会員と(天文や野鳥など)同好会等を対象にした団体会員があります。個人会員は正会員と準会員とがあります。いずれにもメールマガジンが毎月送付されます。また、これまで年に数回イベントが行われた他、CP+等の発表会で会員である旨を告げると記念品がもらえるようです。

準会員は年会費無料ですが正会員は年会費1000円で特典として入会時会員証と記念品(ウエストポーチ)、毎年カレンダーが送られてきます。団体会員の特典も個人正会員と同じですが年4回以上観測会や野鳥観察会などを行っていること、観測会や野鳥観察会などでカタログなどを配布可能であること、Vixenのイベント時にボランティアスタッフとして参加可能であること等といった条件があるので事前に問い合わせてください。

個人ではカレンダーを安く買える会といった気軽な気持ちで参加するのも一考でしょう。

あとがき
Vixenとしては高級路線という考えはなく、今後も初心者から上級者まで満足できるラインナップをはかっていく、としている。但し、個人的な感想ではあるが、製品開発にどこか抜けたところがあると感じられ、SX2にSTARBOOKTENを接続すると上位のSXD2とほとんど変わらない価格になったり、AP赤道儀にメモリ環がなかったりと、よく「ビクセンクオリティ」といわれる部分が見られるのが気がかりである。
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