Vixen 自動導入装置 SS2000PCからSTARBOOKへ

日本で光学機器のトップメーカーといえばビクセンであり、世界市場においてもミード、セレストロンに続く20%のシェアを確保しています(Wikipediaより)。ビクセンが発売した(している)赤道儀と自動導入装置についてまとめてみました。

赤道儀は、ポラリス・ニューポラリスの後にスーパーポラリス赤道儀が発売され、現在のグレードポラリス(GP)へと移行していますが、SPシリーズからは赤緯体と赤経体を分離できる構造になりました。

現在でこそ多くの望遠鏡メーカーでは自動導入装置を搭載済とした赤道儀ないし経緯台を発売していますが、かつてはすべて手動で導入する必要がありました。そういった中で世界で最初に自動導入装置を開発、発売したのはVixenのマイコンスカイセンサーから始まっています。

※ハレー彗星ブームの中ビクセンは44,800円という低価格なスカイセンサーを発売し、当時ライバル関係といえたミザールも当時としては画期的だった光学式エンコーダ搭載のコントローラを発売しましたが、10万円以上と高額だったこと等から人気を集めることはできなかったそうです。

外部リンク:ミザール天体望遠鏡の特徴

1.ポラリス赤道儀

現行のGP2はグレードポラリス、GPD2はグレードポラリスデラックスであり、最初に発売されたポラリス(1976年)から始まっています。その後、ニューポラリス、赤緯体と赤経軸を分離できるSP(スーパーポラリス。1984年5月)と強化版であるSPDX(スーパーポラリスデラックス)が発売されています。SPシリーズを機能強化したGPシリーズは1992年6月から発売開始されています。GP/GPDからはアリミゾが標準装備され、他のメーカーでも採用されるなど、事実上アリミゾ方式は業界標準の地位となっています。GP/GPDはグリーン系色、GP2/GPD2は白をベースとした色である他は変わりません。なお発売当初GPDはモーター付きでしたがSS2000の発売前後からオプションとなりました。

2.アトラクス赤道儀

元々は当時業務提携していたセレストロンのC11を載せるために開発された大型赤道儀で、初代機はDD1/スカイセンサーを搭載したパルスモーター、2代目機NATはスカイセンサー2000PC(SS2000PC)orSTARBOOK(SB)を搭載したDCモーター機でした。因みに、SB版NATは写真派を自称するある人は絶対に出ない、と言い張っていたことがあります。3代目機とされるAXDはまったく別物、というイメージですがSB10を搭載したパルスモーター機となります。

SS2000PCの生産中止に伴い、SB版NATが発売されたときは、緯度メモリやロゴマークが青地になる等しましたが、どうも似合わない配色という感じで、黒地の方がよかったと思います。

3.スフィンクス赤道儀

2003年夏から発売開始されたもので、当時は火星ブームでした。全体は白でモーターカバーなどはスケルトンブルーでしたが、コントローラーであるSB(星本)も同じで、星図を見ながら自動導入が行えるという当時としては画期的なものでした。初代SXはグッドデザイン賞となっています。その後、強化版であるSXDが2007年に発売されますが、カラーリングはモーターカバーは白でスケルトン部分は黒字に金文字、ロゴマークは黒字にゴールド(Vixen文字は赤)とするなど、渋い印象でなかなかよいデザインといえます。3代目に当たるSXPはAXDと同じSBTを搭載し、モーターもパルスモーターにするなど、ユーザーからの要望に応えたものとなっています。

2012年発売のSXD2はSBT搭載機としてSXDをモデルチェンジしたもので、SXPとどう違うのか、といわれますが、SXD2はSXの機能強化版、SXPはSXDのダウンサイジング機といえば分かると思います。

自動導入コントローラ/天体ナビゲーション

初代スカイセンサー以降に発売された自動導入装置/天体ナビゲーションは以下の通りとなります。

1.スカイセンサー3S/3D

GPシリーズのDD-1モータ対応のスカイセンサーで、GPシリーズの他、SPシリーズにも使用できます。初代アトラクスにも対応します。コントローラを取り替えるだけで自動導入/オートガイドに対応でき、外付けエンコーダにも対応があるので自動導入はOFFにしてデジタル表示を見て手動で導入させることもできたようです。このスカイセンサーは32倍速が最大だったので実用性があるとはいえなかったようです。

2.スカイセンサー2000PC(SS2000PC)

※開発時はスカイセンサー4としていた。

1997年にSS2000として発売、1998年からニューアトラクスにも対応したSS2000PCとなり、ファームウェアのバージョンアップでSS2000からSS2000PCにすることができます。SS2000PCでは専用のエンコーダ内蔵DCモータが付属し、GPシリーズ/SPシリーズに取り付けて使用します。1200倍速ですがニューアトラクスでは安全のため600倍速に抑えてあります。モータは発売時期によりMT2/MT3/MT4があり、MT2とMT4では互換性があり修理対応がありますが、MT3は既に修理対応ができなくなっています。

SS2000PCでは外付けエンコーダ(既に純正エンコーダは発売終了)に対応し、PCとの接続はRS232C方式です。オートガイダーとの接続はAGA-1方式なので大多数のSBIC方式に対応するには、変更ケーブルが必要です。

SS2000PCはかつて誠報社がタカハシ赤道儀のコントローラ用に改造した製品を販売していたこともあります(非公認)。またビクセンから正規ライセンスを得て昭和機械製作所赤道儀に搭載した製品もありました。

SS2000PCはSX赤道儀発売と合わせて製造中止とされましたが、2003年11月に100台再生産、また2005年にはGP2/GPD2と合わせてモーターカバーを白に変更して100台再生産されています。

なお2013/5現在、SS2000PCは内蔵電池の交換とバージョンアップを除いて修理対応は終了しているのでご注意下さい。

3.STARBOOK(SB。初代)

2003年に発売されたSXシリーズ用に開発されたもので、星図をカラー液晶画面に出して制御するものですが、LANケーブルで繋いでインターネットからファームウェアをダウンロードしてバージョンアップしたり、PCから制御することができます。モーターはSX/SXD/ニューアトラクスに専用コントローラとして付属し、SB単体での販売はありません。オートガイダーはSBIC方式で、AGA-1に対応するには本体スイッチを入れ替えます。

デザインはゲーム機のような印象で、SX赤道儀もそれを強調したカラーリングとなっており、筆者個人としてはあまり好きになれませんでした。SXD赤道儀は渋い印象で高級感がありますがSBはゲーム機っぽい感じでアンバランスな印象です。但し、PCとの接続方式を使われなくなりつつあったRS232C方式をやめてLANにしたり、星図を出して制御できることなど、評価できる点が多く、SBのデザイン/カラーリングだけは何とかしてほしいと思います。

ニューアトラクスでもSBに変更されることは予想できましたが、実際に対応するのは4年後の2007年11月となりました。

2013/5現在、生産終了しました。

4.STARBOOK TypeS

2005年に発売された経緯台SKYPod専用コントローラで、2007年からはGPシリーズ用としても使えるようになり、単体販売も行われています。液晶画面はモノクロで、バージョンアップやPC接続にはLANを使用します。オートガイダーはSBIC方式です。使用するときはモータ側の電源を入れると同時にコントローラ側電源として単3乾電池4個を入れておく必要があります。

※このコントローラはSPシリーズ赤道儀には使えません。

5.STARBOOK TEN(SBT)

AXD及びSXP、SXD2専用コントローラとして付属します。モータは従来のDCモータに代わってパルスモータに変更され、カラー液晶画面は夜間時モードとして赤色表示をさせることもできます。拡張スロットが用意され、内蔵専用オートガイダーを組み込めるようになっており、オートガイダーでとらえた天体をカラー液晶に映し出すことも可能としています。勿論外付けオートガイダー端子も備わっています。デザインは白とグレーをベースにしたコントローラらしいものとなりました。

STARBOOK(SB/星本)はコントローラとしてだけでなく、単体で星図を見るのにも使用できます。こうした使い方には、SB/SB10ではACアダプタが必要ですがSBTypeSは乾電池専用で使えます。

STARBOOK共通の部分は、1.プログラム書き換えで機能アップができるようにフラッシュメモリを採用。2.PCとの接続はLAN方式。3.星図を画面に出して制御する。といったことです。

自動導入コントローラと赤道儀との関係

世界で初めて自動導入コントローラー「スカイセンサー」を発売、その後、スカイセンサー3D/3Sが発売されていましたが、最大32倍速なので実用的速度とはいえなかったと思います。それでも、ボタンを押すだけで見たい天体の方向に望遠鏡が動くので当時としては画期的だったといえます。初代アトラクスでは購入時に3DかDD-1が選べたと思います。勿論後からコントローラを変えることもできましたが。

1997年:スカイセンサー(SS)2000発売。これに合わせたのか、GPD用のモーターはオプション取り付けに変更された。
1999年:SS2000PC発売。合わせて、SS2000PCを搭載したニューアトラクス発売。
2003年:スターブック(星本)を搭載したSXW/SXC発売。これに合わせて、SS2000PCは在庫販売のみとなったが同年12月に100台再生産された。
2005年:塗装を白にしたGP2とGPD2を発売、同時にSS2000PCを100台再生産。
2006年:スターブックタイプS(SBS)スカイポッド経緯台発売。
2007年:SXD、星本版アトラクス発売。GP/GPDシリーズ用にSBS単体発売。
2008年:AX103S鏡筒発売。
2010年:AXD発売。
2011年:3代目SXであるSXP発売
2012年:SXD赤道儀をモデルチェンジしたSXD2発売。

ここ10年くらいの主なビクセン製品の発売歴をまとめましたが、星本が出てからアトラクスに対応するのに4年くらいかかったようでした。

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あとがき
2013/5現在、大事なことなので繰り返しますが、SS2000PCは内蔵電池の交換とバージョンアップを除いて修理等サポートは終了となっています。またSX赤道儀と初代STARBOOKも生産終了です。修理等サポートは一般の家電製品やパソコンなどと同様に生産終了から7年間と考えて下さい。
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